細野透の「赤信号・黄信号・青信号」 不定期
細野 透

[第6号]名古屋の伏見エリアに野村不動産のタワーマンションが続々

2017年08月10日

都心生活を満喫できる便利な場所

 

 名古屋市中区にある「伏見エリア」では、都市再開発に伴う大規模タワーマンションの建設が相次いでいます。

 伏見エリアとは、地図に示したように、地下鉄東山線&鶴舞線「伏見駅」を中心にした地域で、住所表示でいうと中区栄1〜2丁目、錦1〜2丁目、丸の内1〜2丁目に該当します。

 東山線を利用すると、リニア新幹線の2027年開業を控えて開発が進む名古屋駅から伏見駅間までの乗車時間は3分で、また伏見駅から賑わいの中心となる栄駅まではわずか2分に過ぎません。そして街路を歩いても、名古屋駅と伏見駅間、伏見駅と栄駅間はそれぞれ十数分程度で済むのです。

 このため、伏見エリアは、名古屋の都心生活を満喫できる便利な場所として、じわじわと人気を集めています。

伏見エリア

(作図は筆者)

  伏見エリアにおけるタワーマンション時代の幕を開けたのは、図1番に示した、野村不動産・NIPPO・三菱地所レジデンスの3社による「プラウドタワー名古屋栄」(29階、347戸)でした。次いで図2番に示した、積水ハウスによる「グランドメゾン御園座」(40階、304戸)がこれを追いかけました。 

 そして、今年8月下旬には、図3番に示した、野村不動産による「プラウドタワー名古屋伏見」(21階、75戸)の第1期販売が開始されます。その販売拠点になるのが、今年7月下旬に中日ビルの中にオープンしたばかりの総合型マンションギャラリー、「プラウドラウンジ名古屋」です。

 さらに、図4番に示した、野村不動産と旭化成不動産レジデンスが事業協力者になる「錦2丁目7番街区再開発計画」では、41階・全300戸のタワーマンションが建設される予定になっています。

 

わずか半年で完売した「プラウドタワー名古屋栄」

 

 「プラウドタワー名古屋栄」は、平均坪単価が約283万円と高額だったにもかかわらず、2015年11月に販売を開始してからわずか半年で完売。“名古屋都心パワー”の象徴として関係者を驚かせました。

 この物件は、1万平方メートル超の敷地を持つ「納谷橋東第一種市街地再開発事業」の一環として、30年がかりで進行。中央に設けた4層のテラスを囲むような形でマンション、商業施設、業務施設が配置されたコンパクトシティです。建物は今年7月下旬に完成しました。

 

image

納屋橋再開発プロジェクトの完成写真。手前(西側)を堀川が流れる。写真中央の高層棟が「プラウドタワー名古屋栄」で、その足元にスーパー、銀行、クリニック、専門店、カフェ、レストランなどがある。また写真右手奥には、工事中の「グランドメゾン御園座」が見える(写真は野村不動産の提供)

 

配置図 

配置図(図は野村不動産の提供)

  一方、「グランドメゾン御園座」(40階、304戸)は、今年前半にようやく完売した模様です。建物自体は今年12月下旬に完成する予定です。

 

【プラウドタワー名古屋栄の概要】

 所在地─名古屋市中区栄1丁目

 交通─地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」駅徒歩6分

 敷地面積─約5990平方メートル

 総戸数─347戸

 規模─地上29階

 完成時期─2017年7月下旬

 併設─スーパー、銀行、クリニック、専門店、カフェ、レストラン

 事業主─野村不動産

 施工─清水・大日本土木建設JV

 

【グランドメゾン御園座の概要】

 所在地─名古屋市中区栄1丁目

 交通─地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」駅徒歩1分

 総戸数─304戸

 規模─地上40階・地下1階

 劇場─1298席

 店舗─1区画

 事業主─積水ハウス

 監修─隈研吾建築都市設計事務所

 設計・施工─鹿島建設

 敷地面積─約4832平方メートル 

 完成時期─2017年12月(予定)

 

8月下旬に第1期販売される「プラウドタワー名古屋伏見」

 

 今年8月下旬に第1期販売が開始される「プラウドタワー名古屋伏見」は、21階建て75戸の免震タワーマンションです。所在地は名古屋市中区錦1丁目。最寄りの地下鉄東山線&鶴舞線伏見駅からは徒歩4分という距離になります。

 建物の敷地は、幹線道路の錦通から1本北に入った本重町通に面し、すぐ西隣には大正建築をモチーフにしたオリエンタルな風情の結婚式場が建っています。一方、東側に向かうと、すぐ近くに緑に包まれた御園小学校や、下園公園があります。

 住戸は大きくAタイプ(専有面積92.39平方メートル)、Bタイプ(60平方メートル)、Cタイプ(70.41平方メートル)、Dタイプ(46.79平方メートル)、Eタイプ(148.06平方メートル)、Fタイプ(126.95平方メートル)の6種類に分かれています。

 

 Aタイプ──南に面するバルコニーがあるほか、西側に多数の窓が付きます。

 Bタイプ──南に面するバルコニーがありますが、それ以外に窓はありません。

 Cタイプ──南に面するバルコニーがあるほか、東側に多数の窓が付きます。

 

 Dタイプ──北に面する広いバルコニーがあるほか、西側に窓が付きます。

 

 Eタイプ──南と北に広いバルコニーがあるほか、西側にも多数の窓が付きます。

 Fタイプ──南に面する広いバルコニーがあるほか、東側にも多数の窓が付きます。

 

 A〜Fタイプ住戸の開口部について詳しく説明したのは、マンションの周辺には数階〜十数階の建物が立つため、住戸のタイプと階数によって、見える景色がまったく違ってくるからです。したがって、各住戸からどんな景色が見えるのかについて、きちんと確認する必要があります。

 販売担当者に聞くと、「超高層ビルが集中する名古屋駅周辺が見える、西側の高層階にある住戸の人気が高い」そうです。また平均坪単価は300万円強の予定です。

プラウドタワー名古屋伏見の完成予想写真

プラウドタワー名古屋伏見の完成予想写真。西側に名古屋駅周辺の超高層ビルの夜景が見える(写真は野村不動産の提供)

 

【プラウドタワー名古屋伏見概要】

 所在地─名古屋市中区錦1丁目

 交通─地下鉄東山線・鶴舞線 「伏見」駅徒歩4分

 敷地面積─924.47平方メートル

 総戸数─75戸

 規模─地上21階

 入居時期─2019年3月下旬(予定)

 事業主─野村不動産

 施工─矢作建設工業

 

日銀名古屋支店近くに41階・300戸のタワーマンション

 

 最後に「錦2丁目7番街区再開発計画」について説明しましょう。7番街区とは、名古屋市中区錦2丁目に立つ「日本銀行名古屋支店」の、東南側に位置する街区です。

 

【錦2丁目7番街区再開発事業概要】

 所在地─名古屋市中区錦2丁目7番

 最寄駅─地下鉄「丸の内」駅 、地下鉄「伏見」駅

 建築主─錦2丁目7番街区市街地再開発組合(予定)

 用途─住宅(約300戸)、商業施設、駐車場

 敷地面積─約4940平方メートル

 建築面積─約3340平方メートル

 延床面積─約4万8100平方メートル

 階数─地上41階、地下1階

 着工─2018年(予定)

 竣工─2020年(予定)

 事業協力者─野村不動産、旭化成不動産レジデンス

 コンサルタント─タウンコム、日本設計

 

 この再開発事業が成立した場合には、野村不動産、旭化成不動産レジデンスが事業主になって、新たに41階・300戸のタワーマンションが建設されることになります。

 

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細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。

 建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

 著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。