細野透の「赤信号・黄信号・青信号」不定期

[第13号]丘に立つ「ジオ神戸中山手通」で行った6回の歩行実験

2018年03月13日

細野 透 ( ほその とおる )

「神戸海洋気象台」の跡地

 

 先日、神戸に出張してきました。目的は、阪急不動産と野村不動産が4月上旬に販売を予定する、分譲マンション「ジオ神戸中山手通」の取材です。

 所在地は神戸市中央区中山手通7丁目。マンションの敷地は「神戸海洋気象台」の跡地で、全体として小高い丘になっています。広さは1万平方メートル超とたっぷりしていて、建物は地上15階、総戸数256戸と大規模です。

 マンションを取材するとき、私は事前に準備作業を行います。今回はデベロッパーの阪急不動産から、あらかじめパンフレット、図面集、クオリティブックなどを送付してもらいました。

 資料を重ねると厚さは実に4cmにもなります。その資料にざっと目を通して、「もっと知りたいこと、よく分からなかったこと」などをメモして、取材に備えるのです。

 それに加えて、ウェブサイトの「マンション口コミ掲示板」にも、目を通します。口コミ掲示板の内容はマンションによって“当たり外れ”があります。

 “当たり”──マンションについて真面目に話し合っている場合
 “外れ” ──そうではない場合

 「ジオ神戸中山手通」の場合には、最寄り駅からの徒歩時間が1つの焦点になっていました。物件概要には次のように書いてあります。

 地下鉄西神山手線「県庁前駅」から徒歩9分
 神戸高速東西線「花隈駅」から徒歩10分
 JR東海道本線(神戸線)「元町駅」から徒歩13分

 これについて、掲示板では、次のような議論が交わされていました。

 一「各駅からマンションに向かうと上り坂になる」
 二「逆にマンションから各駅に向かうと下り坂になる」
 三「よって、マンションに向かうときの時間と、駅に向かうときの時間は異なるはずである」

 なかなか面白い視点ですね。

「ジオ神戸中山手通」の完成予想写真

「ジオ神戸中山手通」の完成予想写真。マンションの北側(写真手前)には緑が豊かな宇治川公園があり、南側(写真奥)には、神戸の都心と神戸港が広がる。マンションは小高い丘の頂きに立つ(画像は阪急不動産の提供)

 

平地では道路距離80メートルを徒歩1分に換算

 
 最寄り駅からの徒歩時間に関しては、不動産の広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約」に基本方針が示され、「施行規則」にディテールが示されています。

 施行規則第10条(10)──「徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること」

 これを分かりやすく説明します。

 一 直線距離ではなく、道路に沿って測定した距離(道路距離)をベースにする。

 二 道路距離80メートルを徒歩1分に換算する──1分間で80メートルという距離は、女性がハイヒールで歩くときの速度を参考にしたという説もありますが、事実かどうかは分かりません。

 三 80メートル未満の端数が出たときは、切り上げて1分とする──例えば道路距離が100メートルなら、20メートルの端数が出るため、所要時間は「2分」になります。

 四 横断歩道や踏切り等を横断するとき、信号待ちの時間は考慮しなくてよい──信号が赤だったときの待ち時間が含まれないため、実際には「信号の数×1分」程度の時間が加わることがあります。

 五 坂道があるため実際に歩く時間が長くなるときでも、道路距離80メートルを徒歩1分に換算してよい──これは平坦な道路でも、坂道(上り坂、下り坂)でも、階段(上り階段、下り階段)でも、道路距離が80メートルなら、徒歩時間はすべて1分という考え方です。

 さて、「ジオ神戸中山手通」の場合には、駅からマンションに向かう道は上り坂であるのに加えて、信号もあるので、「徒歩9分」とはいっても、実際にはもう少し時間がかかると思われます。

 また、逆にマンションから駅に向かう道は下り坂なので、もう少し時間が短くなると思われます。

 すなわち、「駅からマンションに向かう場合」および「マンションから駅に向かう場合」に何分かかるのかは、実際に自分で歩いて確かめるしかないのです。

 

図で見る「坂道の勾配と身体的負担の関係」

 
 坂道や階段を歩くとき、参考になるいい資料があります。「移動形態の負担量と負担感の評価方法に関する研究」(土木学会第60回年次学術講演会、平成17年9月、名城大学藤井貴浩、同・松井寛、同・西本将典、同・枅川幸詩)に掲載された下の図です(図は同論文から引用)。

 図「道路の勾配と心拍数およびエネルギー消費量の関係」

道路の勾配と心拍数およびエネルギー消費量の関係

 この図には、平地を歩いたとき、坂道や階段を歩いたとき、ES(エスカレーター)やEV(エレベーター)に乗ったとき、静止しているときについて、「心拍数(空色)」および「エネルギー消費量(赤色)」が示されています。平地を歩いたときの数値を1.0として、それと比較しているのです。
 
 このうち、身体が使うエネルギー消費量(赤色)に注目しましょう。

 「平地を歩く」──エネルギー消費量1.0

 「坂を上がる」
  勾配5%の坂──エネルギー消費量1.3
  勾配9%の坂──エネルギー消費量2.4

 「坂を下りる」
  勾配5%の坂──エネルギー消費量1.1
  勾配9%の坂──エネルギー消費量1.1

 勾配5%というのは、水平に100メートル進んだとき、上に5メートル上がる坂道です。

 勾配5%の坂を上がるときのエネルギー消費量1.3とは、「少しがんばって歩いている」という感じです。その一方、下りるときのエネルギー消費量は1.1なので、「平地とほぼ同じ感じ」です。

 次に勾配9%というのは、水平に100メートル進んだとき、上に9メートル上がる坂道です。

 勾配9%の坂を上がるときのエネルギー消費量は2.4なので、「ものすごくがんばって歩いている」という感じです。ちなみに、階段を上がるときのエネルギー消費量もほぼ2.4なので、想像がつくと思います。

 その一方、勾配9%の坂を下りるときのエネルギー消費量は1.1なので、こちらもまた「平地とほぼ同じ感じ」です。

 なお、自転車で坂を上がる場合、普通の人だと勾配が5%くらいから「少しきつく」なり、鍛えている人でも勾配が10%を超えると「かなりきつく」なるそうです。

 これで予備知識が身につきました。それでは、いざ現地へ!

 

「ジオ神戸中山手通」および最寄り駅の位置関係


 取材の当日は、JR神戸駅の東側に立つ「ハウジング・デザイン・センター神戸(HDC神戸)」内にある、「ジオ神戸中山手通マンションサロン」を14時半に訪ねるというアポでした。

 しかしながら、私は新神戸駅に12時15分に到着しました。アポまでの2時間強を活用。最寄り駅からマンションまでの「歩行実験」を繰り返して、徒歩時間を「確認してみよう」という作戦です。

 なお現地では今、2019年8月の竣工を目指して工事中なので、敷地は工事用の塀で囲まれて中に入ることはできません。

 ここでまず、マンションの案内図を眺めておくことにしましょう(画像は阪急不動産の提供)。

マンションの案内図


 「ジオ神戸中山手通」に加えて、地下鉄西神山手線「県庁前駅」、神戸高速東西線「花隈駅」、JR東海道本線「元町駅」など最寄り駅の位置が分かります。円が3つ描かれていますが、これはそれぞれ「ジオ神戸中山手通」から500メートル圏、1000メートル圏、1500メートル圏を示しています。

 

県庁前駅とマンションの間を往復(実験1・実験2)


 地下鉄西神山手線「県庁前駅」から、「ジオ神戸中山手通」の敷地まで歩いた場合に必要になる、各種のデータを下にまとめました。

【実験その1──県庁前駅からマンション東側の主入口へ(上がり坂)】
 物件概要の表示──徒歩9分
 道路距離──約700メートル
 県庁前駅の標高──約25メートル
 マンション敷地(東側主入口)の標高──約48メートル
 平均勾配──3.3%(標高差23メートル)
 エネルギー消費量──平地の1.2倍
 信号──2カ所
 実際に歩いた結果──徒歩8分台

 まず道路距離80メートルを徒歩1分と考えるので、道路距離が約700メートルの場合には次のような計算をします。

 「約700÷80=約8.75」──端数を繰り上げて、徒歩9分になります。

 次に道路の平均勾配を計算します。県庁前駅の標高が約25メートル、マンション敷地(東側主入口)の標高が約48メートルなので、標高差は23メートルになります。

 「標高差(23メートル)÷道路距離(700メートル)=平均勾配(3.3%)」

 先ほど見た図「道路の勾配と心拍数およびエネルギー消費量の関係」と照らし合わせると、上がり坂の平均勾配が3.3%のとき、エネルギー消費量は平地の1.2倍になります。

 ただし、今回は「ゆるい坂になった南北方向の道」と「平坦な東西方向の道」が、半分ずつ混じり合っています。そのため、実際に歩いているとき、「小高い丘」であることをはっきり意識したのは、敷地のすぐそばに近づいたときだけでした。

 すなわち、エネルギー消費量が平地の1.2倍とはいっても、体感的には「少しがんばるレベル」でした。それゆえに、赤信号のため1回待ったにもかかわらず、全体では8分台に収まりました。

 後で振り返ると、「実験その1」だったので、気を引き締めて普段より早いペースで歩いていたのかもしれません。

【実験その2──マンション東側の主入口から県庁前駅へ(下り坂)】
 物件概要の表示──徒歩9分
 エネルギー消費量──平地の1.1倍
 実際に歩いた結果──徒歩8分

 マンションから県庁前駅に向かう道は、信号待ちが1回あったにもかかわらず、徒歩8分で済みました。全体がなだらかな下り坂であるゆえに、エネルギー消費量は平地の1.1倍と「楽勝」でした。よって、「ニュートンの万有引力の法則」にも助けられて、足運びが軽快になった結果と思われます。

 なお「ニュートンの万有引力の法則」とは、リンゴの樹から落ちたリンゴは地面に到達するし、地面が坂になっていたら低い方に転がっていく、というような内容です。

 

花隈駅からマンションの間を2往復(実験3〜実験6)


 次は神戸高速東西線「花隈駅」」からマンションへ向かう試験です。この場合、A(標高差が多いコース)と、B(標高差が少ないコース)という2つのコースを往復しなければなりません。すなわち。実験3から実験6まで、合計で4回も歩くことになります。

 これは、どういうことでしょうか。実はこのマンションには、2つの入口があるため、それを考慮しなければならないのです。

 標高差が大きいコース(物件概要に記されている)
   花隈駅 ➡ マンション東側の主入口 ➡ 花隈駅

 標高差が小さいコース(物件概要に記されていない)
   花隈駅 ➡ マンション西側の副入口 ➡ 花隈駅
 
【実験その3(標高差が大きいコース)──花隈駅からマンション東側の主入口へ(上がり坂)】
 物件概要の表示──徒歩10分
 道路距離──約800メートル
 花隈駅の標高──約4メートル
 マンション敷地(東側主入口)の標高──約48メートル
 平均勾配──5.5%(標高差約44メートル)
 エネルギー消費量──平地の1.4倍
 信号──1カ所
 実際に歩いた結果──徒歩12分

 これは物件概要に徒歩10分と記されたコースで、道路距離にして約800メートル、標高差にして約44メートルあり、マンション東側の主入口に通じています。

 平均勾配が5.5%なので、エネルギー消費量は平地の1.4倍にもなる、ややきついコースです。特に駅から敷地に近づいた後に続く100メートルくらいの急な上がり坂では、息が「ハァッ、ハアッ」と荒くなってきます。

 よって、さすがに徒歩10分というワケにはいかず、信号待ち1回の時間を含めて12分かかりました。

【実験その4(標高差が大きいコース)──マンション東側の主入口から花隈駅へ(下り坂)】
 物件概要の表示──徒歩10分
 エネルギー消費量──平地の1.1倍
 実際に歩いた結果──徒歩9分

 逆にマンションから花隈駅に向かうときには、エネルギー消費量は平地の1.1倍とほぼ変わりません。このため下り坂を「ニュートンの万有引力の法則」に助けられてリズミカルに歩くと、信号待ち1回の時間を含めても9分台で済みました。

【実験その5(標高差が小さいコース)──花隈駅からマンション西側の副入口へ(上がり坂)】
 物件概要の予想表示──徒歩11分
 道路距離──約830メートル
 花隈駅の標高──約4メートル
 マンション敷地(西側副入口)の標高──約34メートル
 平均勾配──3.6%(標高差約30メートル)
 エネルギー消費量──平地の1.2倍
 信号──1カ所
 実際に歩いた結果──徒歩10分

 このマンションには東側の主入口(標高約48メートル)とは別に、西側に副入口(標高約34メートル)があります。「実験その5」と「その6」は、この副入口を使います。

 西側の副入口を使うコースは、物件概要には記されていません。よって道路距離が約830メートルであることを手がかりに、「約830÷80=約10.4」という計算を根拠にして、「物件概要の予想表示──徒歩11分」としておきました。

 さて、すでに行った「実験その3」では、花隈駅からマンション東側の主入口へ向かう上がり坂は、平均勾配が5.5%なので、エネルギー消費量が平地の1.4倍でした。

 しかし花隈駅からマンション西側の副入口へ向かう上がり坂は、平均勾配が3.6%なので、エネルギー消費量も平地の1.2倍に抑えられます。いわば「苦労が半減」です。

 よって東側の主入口コースだと花隈駅から徒歩12分もかかったのに、西側の副入口コースだと信号待ち1回の時間を含めて約10分で済みました。

 そして、西側の副入口から住戸階に向かうときエレベーターに乗ると、坂道に換算して14メートル分の高さを「楽々」と移動できます。

【実験その6(標高差が小さいコース)──マンション西側の副入口から花隈駅へ(下り坂)】
 物件概要的な予想表示──徒歩11分
 エネルギー消費量──平地の1.1倍
 実際に歩いた結果──9分

 マンション西側の副入口から花隈駅に向かうときには、エネルギー消費量は平地の1.1倍と余り変わりません。そのため、「ニュートンの万有引力の法則」に助けられて下り坂をリズミカルに進むことができ、信号待ち1回の時間を含めて、何と9分で済みました。

 このとき、忘れてはならないのは、マンションと駅の間を行き来する6回の歩行実験のうち、6回目だったという事実です。「これで最後!」と思えば、足取りが軽くなってきます。それゆえの9分だったのかもしれません。

 

この実験結果を信用できるのか?


 6回の歩行実験の結果を一覧表にまとめてみました。

歩行実験の結果


 これを要約しましょう。まず下がり坂(実験2・4・6)です。
  〔実験2・4・6──物件概要の徒歩時間に比べて、実際に歩いた方が早い〕

 この結果には、リンゴが転げ落ちる「ニュートンの万有引力の法則」を思い浮かべて、多くの皆さんが納得するのではないでしょうか。私自身も納得しています。

 次に上がり坂(実験1・3・5)です。
  〔実験1・5──物件概要の徒歩時間に比べて、実際に歩いた方が早い〕
  〔実験3──物件概要の徒歩時間に比べて、実際に歩いた方が遅い〕

 自分で実験しておきながら、こんな指摘をするのは変かもしれませんが、「実験1・5の結果は信用できないかもしれません」。

 人の性格を大きく二分する方法として、「イソップ童話」に登場するアリ型とキリギリス型があります。アリは働き者タイプなので、上がり坂でも「テキパキ」歩くと思います。よって早く着くはずです。

 一方、キリギリスは楽をしたいタイプなので、上がり坂は「ノンビリ」歩くと思います。よって遅く着くはずです。

 歩行実験をしていた最中の私は、大げさにいえば「真実を追究しよう」という使命感に燃えていたので、アリ型に変身。上がり坂であってもテキパキと歩いたため、実験1と5にその成果が現れたと思われます。つまり、精神的には「行け行け状態」なのです。

 一方、実験3ではコースの最後に平均勾配が5.5%、エネルギー消費量が平地の1.4倍という数字以上にきつい上がり坂が待ち構えていて、息が「ハァッ、ハアッ」と荒くなってきました。そのため、自ずとアリからキリギリスに戻って、スピードを落としてしまいました。それゆえに、歩いた方が遅くなったと思われます。つまり、実験3の結果は信用できるのです。

 この記事ですでに、「移動形態の負担量と負担感の評価方法に関する研究」に掲載された、図「道路の勾配と心拍数およびエネルギー消費量の関係」を紹介しました。

 私はこの論文を初めて読んだとき、「勾配とエネルギー消費量」の関係ではなく、「勾配と歩く速度」の関係を求めた方が実用的と考えていました。けれども、今になってやっと大切なことが分かりました。

 「歩く速度」には性格(アリとキリギリス)が関係してくるので、客観的な数字を求めるのが難しいということです。

 

斜面都市では「最寄り駅から徒歩何分」という表記の改善が必要


 私は6回の歩行実験を終えた後、人口の多い斜面都市に関しては、「駅からマンションまで、あるいはマンションから駅までをひとくくりにして、徒歩何分と表記する方法」を改善した方がいいと感じました。

 次に掲載する図は、日本開発構想研究所の西沢明研究主幹が執筆した論文、「日本の斜面都市」から引用したものです。

図「傾斜度15%以上の人口集中地区が多い上位20都市」
傾斜度15%以上の人口集中地区が多い上位20都市
(青色は「傾斜度15%以上の人口集中地区の面積(ヘクタール)」)
(赤色は「傾斜度20%以上の人口集中地区の面積(ヘクタール)」)

 これによると、神戸市には傾斜度15%以上の人口集中地区が、1997ヘクタールも存在します。

 先に掲載した図「道路の勾配と心拍数およびエネルギー消費量の関係」は、上がり坂の勾配(傾斜度)が5%を超えると、身体にかかる負担が急激に増えていくことを示しています。

 すなわち、傾斜地に立つ分譲マンションの物件概要欄に記された「徒歩○分」という数字が、上がり坂の勾配がきつくなるにつれて不正確になっていくのです。

 日本には、傾斜度15%以上の人口集中地区を持つ都市が、少なくありません。よって、「不動産の表示に関する公正競争規約」の「施行規則」を、そろそろ見直す時期が来ているのではないでしょうか。

 そして、行き(マンション ➡ 駅)と帰り(駅 ➡ マンション)に分けて、上がり坂と下り坂の影響を考慮した方がいいと思います。

 

ユーザーが評価する5つのポイント


 さて歩行実験が終わった後、「ジオ神戸中山手通マンションサロン」を訪ねて、阪急不動産の企画担当者と販売担当者に取材しました。

 マンションサロンを見学に来たユーザー(想定購入者)に聞くと、このマンションを評価する主な理由は次の5点ということです。

(1)神戸の都心、すなわち三ノ宮駅、トアロード、旧居留地、元町駅、旧居留地、南京町、元町通商店街などが、マンションから2キロ圏に収まる。

(2)海にも山にも近くて、健康な生活を送ることができる。

(3)敷地が「神戸海洋気象台」跡地の小高い丘で、開放感があり、眺望にも恵まれている。

(4)敷地面積が1万平方メートルを超えるという「希少性」。こういう物件は、神戸市全体でも35件と少ないし、中央区にはわずか1件しかない。

(5)住戸の専有面積は70平方メートル台が107戸(42%)、80平方メートル台が92戸(36%)、90〜110平方メートル台が57戸(22%)という内訳で、「永住思考」の広い間取りが多い。

 私はこのマンションを取材しながら、いろいろな建築書に書かれた、「傾斜地には個性的な集合住宅が誕生するケースが多い」という指摘を思い浮かべていました。

 このマンションも、集合住宅の分野では高い定評のある「日建ハウジングシステム」が設計しただけあって、実に個性的です。ただし、個性的ということは、マンションの構造をきちんと理解するためには、かなりの時間がかかることを意味しています。

 マンションの図面、パース、建築模型を詳しく検討するだけではなく、建設現場にも足を運んで敷地の様子を観察。「自分の予算と希望に叶うのはどんな住戸であるのか」を、時間をかけてじっくり研究する必要があります。

 なお、第1期の販売価格は3598万円(専有面積76平方メートル、坪単価約156万円)から1億300万円(同約114平方メートル、同約297万円)の予定です。

 最後に配置図を添付しておきます。上が北側で、下が南側です(画像は阪急不動産の提供)。

 配置図

 

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細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。

 建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

 著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。

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