細野透の「赤信号・黄信号・青信号」不定期

[第23号]「神宮東公園」に隣接する「エムズシティ神宮前」

2019年01月11日

細野 透 ( ほその とおる )

私鉄系不動産4社と名鉄不動産

 毎年、2月の下旬になると、不動産経済研究所から「全国マンション市場動向」と題するニュースリリースが発表されます。

 2018年版はまだ発表されていませんので、入手できる最新版である2017年版「全国マンション市場動向」を眺めることにしましょう。

 その中でいわゆる私鉄系不動産4社、すなわち阪急阪神不動産(旧・阪急不動産)、東急不動産、近鉄不動産、名鉄不動産の順番は次のようになっています。

 12位─阪急阪神不動産、発売戸数1164戸
     (首都圏464戸、近畿圏700戸、その他0戸)

 14位─東急不動産、発売戸数1061戸
     (首都圏374戸、近畿圏520戸、その他167戸)

 15位─近鉄不動産、発売戸数990戸
     (首都圏190戸、近畿圏620戸、その他180戸)

 19位─名鉄不動産、発売戸数856戸
     (首都圏378戸、近畿圏280戸、その他198戸)

 私鉄系の不動産会社なので、地元での発売戸数が多いと思うのですが、その期待(?)に応えているのは、近畿圏を地盤とする阪急阪神不動産および近鉄不動産の2社だけです。

 そして意外なことに、東急不動産は地元よりも近畿圏での発売戸数が多く、また名鉄不動産も地元よりも首都圏での発売戸数が多くなっています。

 視点を変えて、首都圏における発売戸数に注目すると、阪急阪神不動産、名鉄不動産、東急不動産、近鉄不動産の順になります。

 私はこのうち、阪急阪神不動産、東急不動産、近鉄不動産という3社の新築分譲マンションは何回も取材したことがあるのですが、名鉄不動産のマンションは取材したことがありません。

 そのため今回は、同社が地元の名古屋市で販売している、「エムズシティ神宮前」を取材しに行ってきました。

「神宮東公園」から見た「エムズシティ神宮前」の外観
(「神宮東公園」から見た「エムズシティ神宮前」の外観。画像データはすべて名鉄不動産の提供)

 

「1枚の空撮写真」から得られる情報

 「エムズシティ神宮前」の立地を把握するために、1枚の空撮写真を眺めることにしましょう。

 空撮写真

 写真の上側(北)から手前(南)に走る「黄色」の線は、JR東海道本線および名鉄名古屋本線のレールを示しています。

 写真上部に「名古屋駅」、中央付近にJR東海道本線「熱田駅」、そのすぐ下に名鉄名古屋本線「神宮前駅」があります(「黒色の四角形」の中に白色の文字)。

 左側の緑のエリアは「熱田神宮の杜」、右側の緑のエリアは「神宮東公園」です。「エムズシティ神宮前」の敷地は、右側の「白い垂れ幕?」の辺りです。

 

「神宮前駅」の西口と東口に「再開発計画」

 空撮写真だけでは分かりにくいので、次に「広域地図」を眺めることにしましょう。

 広域地図

 「エムズシティ神宮前」の敷地は、名鉄名古屋本線「神宮前駅」の東口から徒歩5分の距離にあります。またマンションの斜め向かい(北西側)に、「神宮東公園」があります。

 さらに、「神宮前駅」の西口と東口には、赤い文字で「再開発予定エリア」と明記してあります。実はこのエリアは名鉄(名古屋鉄道)が創業した土地で、再開発計画を主導するのも名鉄ということです。

 再開発の順番としては、まず「エムズシティ神宮前」に近い東街区を先行。2020年度を目標に商業施設や賃貸マンションを新設し、さらに駅前広場を整備し直す予定です。

 【エムズシティ神宮前の概要】
 所在地──愛知県名古屋市熱田区三本松町
 交通情報──名鉄名古屋本線「神宮前駅」徒歩5分
       JR東海道本線「熱田駅」徒歩10分
 敷地面積──約6600平方メートル
 建物──10階建て
 総戸数──186戸
 竣工日──2019年8月(予定)
 売主──名鉄不動産
 販売提携(代理)──長谷工アーベスト
 設計・施工──長谷工コーポレーション
 管理会社──長谷工コミュニティ

 

再開発事業は「マンションの資産価値を高めるプラス材料」

 私は「エムズシティ神宮前」のモデルルームを訪れて、売主である名鉄不動産・名古屋住宅事業本部・マンション販売部の部長および担当係長、それに販売代理である長谷工アーベスト・名古屋支店のプロジェクトマネージャーに取材しました。

 3人はこう強調しました。

「モデルルームを訪れたお客さんに、『空撮写真』と『広域地図』をお見せすると、ほとんどの方がこの物件のポテンシャルをすぐに理解されるようです」。

 それは、そうでしょうね。

 マンションの周辺に「緑の杜(もり)」や「緑の公園」があるのですが、ただの杜ではなく、三種の神器の一つとされる草薙神剣(草薙剣)をご神体とし、パワースポットとしても名高い「熱田神宮の杜」なのです。

 それに加えて、名古屋鉄道が「創業の地」として、「神宮前駅」の西口と東口の再開発に注力する計画がある事実も見逃すことができません。

 近所で進む再開発事業は、「マンションの資産価値を高めるプラス材料」であることは、間違いありません。

 

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細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。

 建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

 著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。