細野透の「赤信号・黄信号・青信号」不定期

[第35号]不動産のプロが予測した「タワーマンションの将来性」

2020年01月11日

細野 透 ( ほその とおる )

物件仕入れ担当者、営業担当者など104名が回答

 不動産のプロ、すなわち不動産会社の代表者、物件仕入れ担当者、営業担当者は、「タワーマンションの将来性」について、どのように考えているのでしょうか。

 不動産担保ローンを取り扱う「SBIエステートファイナンス」が、不動産のプロを対象に2019年10月上旬に回収し、11月に結果を発表した「2種類のアンケート」のエッセンスを紹介しましょう。

 まず、その日程を確認しておきます。

 10月8日──アンケート回収日(104名が回答)
 10月12日──台風19号の大雨で、武蔵小杉に立つタワマンの地下に浸水
 11月5日──「アンケート結果その1」発表
 11月19日──「アンケート結果その2」発表

 このようにアンケートは、「武蔵小杉のタワマンが浸水する」前に、回収されています。よってタワマン浸水の影響は、考慮されていないことになります。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000026655.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000026655.html

 

タワマンの資産価値が下がりにくい条件 

【質問】最寄り駅から東京都心までの距離が同じタワーマンションがあった場合、「30年後になっても資産価値が下がりにくい」と思う条件を、3点選んでください。

 1位「通勤・通学に便利なターミナル駅の近く」22.1%。
 2位「駅前が賑やかでショッピングモールやスーパーなどがあるエリア」20.2%。
 3位「駅前の再開発が最近行われたか、10年以内に再開発が予定されているエリア」15.0%。

 資産価値が下がりにくい条件の上位を、「立地」が独占しています。

 4位「売主のブランド、実績」。やっと、売主(マンション・デベロッパー)が登場しました。
 5位「医療、介護、福祉施設などが充実しているエリア」。またもや立地です。
 6位「歴史的背景によるブランド価値があるエリア」。またもや立地です。

 7位「施工会社のブランド、実績」。建設会社の登場です。
 8位「学校、図書館・公共施設などが近くに多いエリア」。またもや立地です。

 9位「ゲストルーム、託児施設など、共用施設が充実している」。マンション自体の話です。
 10位「設計事務所のブランド・実績」。設計事務所が登場しました。

 このように1位〜10位のうち、立地が1位・2位・3位・5位・6位・8位を占めています。これを「立地至上主義」と呼びます。
 

タワマンの価値が上がる駅

【質問】近隣にタワーマンションが建っている駅の中で、そのマンションの価値が上がると思う駅を3つ選んでください。

 1位「中目黒」、2位「六本木」、3位「青山一丁目」、4位「高輪台」、5位「池袋」の順番です。
 これに対して、ランキング下位に位置する駅には、次のようなコメントが添えられていました。
 
 ◇都心から遠いため。
 25位「市川」、29位「川口元郷」

 ◇水害の恐れがあるため。
 13位「豊洲」、20位「勝どき」、順位不明「辰巳」

 ◇埋め立て地だから。
 28位「新豊洲」、順位不明「辰巳」、順位不明「千葉中央」

 ◇供給過多
 10位「武蔵小杉」、24位「東雲」、30位「月島」

 これを見ると「水害の恐れがある土地」や「埋め立て地」に建つタワマンは、「浸水リスクがある」として、警戒されていることが分かります。

 10位の「武蔵小杉」は、「水害の恐れ」ではなく、「供給過多」の方に分類されています。これは既に説明したように、台風19号の大雨が降る前に、アンケートが回収されたためです。

 

タワマンの価値が下がらない理由

【質問】築年数や広さが同等の場合、下記の物件種別の中ではどの物件の価値が落ちにくいと考えますか?

 1位「一戸建て」33.7%
 2位「タワーマンション(高さ150m以上の物件)」22.1%
 3位「大規模マンション(200戸以上)」21.2%
 4位「中規模マンション(50戸〜200戸未満)」15.4%
 5位「小規模マンション(50戸未満)」3.8%

 このうち、2位「タワーマンション」に関しては、価値が下がらない理由として、次のようなコメントが添えられています。

 「人気エリアに立地していることが多いため」
 「新規で建てることが難しく、絶対数に限りがあるため」
 「資産価値的にも立地が良い場所に多いので」
 「購入者が日本人だけに限らず、外国人にも需要があるから」

 少し長いコメントもあります。

  「タワーマンションを購入する客層は、それなりの富裕層であること、コミュニティがあることなどから、価格が落ちにくいと考えている。実際に自分のマンションでそう感じるから(購入後20年経過)」

 

今後建設されたタワマンの価値が上がる駅

【質問】山手線の駅の中で、今後タワーマンションが建設された場合に、そのマンションの価値が上がると思う駅を3つ選んでください。 

 1位「高輪ゲートウェイ」11.2%
 2位「渋谷」10.9%
 3位「恵比寿」8.7%
 4位「東京」8.3% 

 このうち1位「高輪ゲートウェイ」に関しては、価値が上がる理由として、次のようなコメントが添えられています。

 「再開発が進んでいるため」
 「飛行機、リニアモーターカーのアクセスが良いため」
 「新駅周辺は価値が高くなるため」

また2位「渋谷」に関するコメントです。

 「渋谷は、ビジネスと商業の鉄板のエリアであり、駅近にタワーマンションないため、駅近にタワーマンションが出来れば100%値上がりすると思う」

 

30年後に物件の価値が落ちる要因

【質問】不動産物件の30年後を見据えた場合に、不動産価値が下落する要因として最も影響度が高いと思うものを3つまで選んでください。

 上の表に見るように、30年後に物件の価値が落ちる要因は、次の順番です。

 1位「エリア周辺の過疎化」22.1%
 2位「自然災害の発生」19.0%
 3位「近隣に嫌悪施設(高速道路、火葬場、刑務所等)の建設予定」15.2%。

 

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細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。

 建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

 著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。