細野透の「赤信号・黄信号・青信号」 不定期
細野 透

[第44号]名鉄不と野村不が「ユニークなコロナ対応マンション」

2020年10月01日

大手不動産各社による「新提案」競争

 マンション大手デベロッパー各社は最近、「新型コロナ問題に対応するための、様々な工夫を盛り込んだ新築分譲マンション」の販売活動を、次々にスタートさせています。

 前回(第43号)は、次の①②を紹介しました。

 ①三菱地所レジデンス
   「テレワークが可能な『箱の間』を持つマンション」
 ②東京建物
   「地域開放型コワーキングスペースを持つマンション」

 それに続いて今回は、「コロナ問題に対応するための新たな提案を盛り込んだ、新築分譲マンション2例」を紹介したいと思います。

 ③名鉄不動産など4社
  各住戸に1台ずつ「ロボットコンシェルジュ」を装備したマンション
 ④野村不動産
  「DOMA-STYLE(土間スタイル)」と「つながROOM」を導入したマンション

 

「各住戸に1台ずつ、ロボットコンシェルジュが居るマンション」

 名鉄不動産・大和ハウス工業・近鉄不動産・第一交通産業の4社は、名古屋市緑区に建設している新築分譲マンション「(仮称)MMプロジェクト、192戸」の各住戸に1台ずつ、「ロボットコンシェルジュ」を装備することになりました。

 コンシェルジュとは、アパートでは管理人を指し、ホテルにおいては客の要望に応えたり、代行・案内してくれるスタッフを指す言葉です。

 この「MMプロジェクト」に導入されるのは、シャープのコミュニケーションロボット「ロボホン」 です。

 マンション管理会社や管理組合からの連絡、宅配ボックスへの荷物の受け取り通知などがあると、住戸に居るロボホンが手をあげてそれを知らせ、住民が問いかけると内容を説明してくれるそうです。

 さらに、各住戸の住民がロボホンと対話することによって、エアコン・照明・テレビなど家電製品の操作や、カーテンの開閉も可能になるそうです。

 それに加えて、自宅にいる子供の様子をロボホンのカメラで撮影し、その映像を外出先からスマートフォンで確認する機能も、搭載しているそうです。

「ロボホン」の役割
「ロボホン」の役割(プレスリリースに添付されていた画像データを使用)

 ロボホンはシャープ製で、身長19.8cm、体重395g〜360gです。詳しい情報はシャープの公式サイト「RoBoHoN」に掲載されています。 

 URL< https://robohon.com >

「(仮称)MMプロジェクト」の完成予想写真
「(仮称)MMプロジェクト」の完成予想写真(プレスリリースに掲載された画像データを引用)

 プレスリリースのURL
 <https://www.meitetsufudosan.co.jp/pdf/200707.pdf>
 <https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000526.000012900.html>

 

土間スタイル」および「つながROOM」を導入したマンション

 野村不動産は、神奈川県藤沢市に建設している新築分譲マンション「プラウド湘南藤沢ガーデン、93戸」に、「DOMA-STYLE(土間スタイル)」および「つながROOM」を導入しています。

 「DOMA-STYLE(土間スタイル)」とは、住戸内にある玄関スペースの割合を通常よりも高め、その一角に「窓付き、タイル貼りの土間スペース」を確保したものです。

 そして、この土間スペースから、洗面室へ直接出入りできるプランになっています。そのため、外から帰ってきたときに、手についた汚れや雑菌等を洗い落としてから、部屋に入ることが可能です(清潔さの獲得)。

 したがって、立派な新型コロナ対策ということになります。

土間スペースの説明図
「土間スペースの説明図(プレスリリースに添付されていた画像データを使用)」

 一方、「つながROOM」とは、次の図に示したように、2つの洋室の間に約2畳の空間を設け、その両側に引き戸をつけたものです。これによって、3つの室内空間(2つの洋室+約2畳の空間)を、素早く変化させることが可能になりました(可変性の獲得)。

 例えば、引き戸を全部開ければ、3室をつなげて利用することができます。また引き戸を閉じれば、「つながROOM」を単独の個室として利用することが可能です。

 「つながROOM」には可動棚やコンセント、ダウンライト等を完備しています。したがって、新型コロナに対応して自宅で「テレワーク」しなければならない場合にも、すぐに「テレワークルーム」を確保することが可能になります。

つながROOM概念図
「つながROOM概念図(プレスリリースに添付されていた画像データを使用)」

「プラウド湘南藤沢ガーデン」の完成予想写真
「プラウド湘南藤沢ガーデン」の完成予想写真(プレスリリースに添付されていた画像データを使用)

プレスリリースのURL
 <https://www.nomura-re.co.jp/cfiles/news/n2020073101724.pdf>

 

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細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。

 建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

 著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。