●●●4月下旬に「2023年京都大会」を開催
私は「日本建築学会」および「日本マンション学会」の会員です。この2つの学会に入っていると、マンションに関する、「学術的なトレンド」をきちんと把握することができます。
このうち「日本マンション学会」から先頃、「2023年京都大会」に関するニュースレターが送られてきました。
●●●「京都大会」の概要
期間:2023年4月22日(土)~23日(日)
会場:京都工芸繊維大学・松ヶ崎キャンパス
テーマ:社会的資産としてのマンション再生・長寿命化への道筋
●●●「2023年京都大会」の開催趣旨 ---『2つの老いの問題』
マンションが広く普及し都市住宅として定着することで、社会的資産としての持続可能な維持管理が求められる時代となりました。
一方で高経年マンションも年々増加し、10年後の京都市内では「築30年以上となる分譲マンション」が全体の半数以上になる見込みです。
そのため、マンションの長寿命化に向けて、「建物・設備の老朽化」および「区分所有者の高齢化」という、『2つの老いの問題』を乗り越える取り組みが大きな課題となっています。
こうした問題について、『マンション管理に意欲的に取り組んでいる管理組合』からの報告をふまえた上で、「持続可能なマンション管理」の意義と、「長寿命化に向けた」必要な取り組みについて議論いたします。
●●●4月22日( 土 ) の「分科会」および「メインシンポジウム」
◼︎分科会9:30~12:00
第1分科会 「判例研究委員会」
第2分科会 「マンション福祉住環境研究委員会」
第3分科会 「マンション住環境まちづくり研究委員会」
◼︎メインシンポジウム 14:00~17:30
❶ 趣旨説明
❷ マンションの長寿命化に向けた取り組み(ビデオ上映)
❸ 旧耐震基準の区分所有マンションの耐震改修に向けて
❹ 京都市におけるマンション管理の適正化に向けた取組み
❺ マンション「再生」に向けた法制度の経緯と展望
❻ 高経年マンションの流通におけるファイナンスの影響力
❼ パネルディスカッション
❽ まとめ --- マンションの『適性管理』『適正変更』『適正建替え』『適正解消』に向けて
●●●関連行事「市民シンポジウム」
◼︎『高経年マンションから学ぶ 長寿命化の技』
会場「京都市男女共同参画センター『ウィングス京都』イベントホール」
4月21日(金)18:30~20:30
●●●プログラムの内容
❶ 趣旨説明
鈴木克彦(京都橘大学)
❷ 京都市によるマンション管理の支援策
京都市都市計画局住宅室住宅政策課
❸ 高経年マンションの管理実態
生川慶一郎(京都美術工芸大学)
❹ 長寿命化の技「マンション管理組合からの事例報告」
(1) 建築・設備の維持管理の技
(2) 管理組合運営の技
(3) 財務マネージメントの技
(4) コミュニティづくりの技
(5) 安心・安全の技
コーディネーター
鈴木克彦(京都橘大学)・関岡孝繕(京都市住宅政策課)
❺ まとめ「持続可能なマンション管理に向けて」
髙田光雄(京都美術工芸大学)
プログラムには、以上のような興味深い内容が並んでいました。私は「流石にマンション学会だなぁ」と感心した次第です。
細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。
建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。
著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。