田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第41号]不動産価値と人口動態~関西の新成人人口を見て

2017年01月16日

【新成人は2年ぶりに増加】
総務省統計局によると2017年の新成人人口(平成8年生まれ)は123万人で前年比2万人増。内訳は、男性は63万人,女性は60万人。2年ぶりに増加したそうである。
( http://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi980.htm )
この増加トレンドは近畿地方でも同様だ。各府県の公表値をもとに筆者が調べたところ、近畿2府4県の新成人人口は212,516人で昨年比3,882人増であった。比率でみると1.9%の増加。「万人単位」で精度は異なるものの全国では1.7%の増加であり、おおよそ近畿全体としては全国と同じトレンドである。

また、これを府県別にみると、面白い結果となる。2府4県、ともに増加していても増減率にはばらつきがある。例えば一番増加率の高いエリア、低いエリアはそれぞれどこだろうか?
増加率の低いエリアは、きっと多くの人が和歌山県と答えるのではないだろうか(和歌山の方、失礼!)。答えは和歌山ではない。和歌山県の新成人は前年に比べ252人増えて、2年ぶりに1万人台を回復している。では、一体どこなのか?

【京都市内は全国平均の3倍増加】
答えは兵庫県。兵庫県の新成人人口は前年比832人増、割合にして1.5%と、近畿圏で唯一全国平均を下回っている。
他の2府3県は、大阪府が3,402人増(3.9%増)、京都府が1,101人増(4.2%増)、滋賀県が440人増(3.0%増)、奈良県が299人増(2.1%増)、和歌山県252人(2.6%増)と2.1%~4.2%の幅で増加。すべて全国平均の1.7%を上回っている。

新築分譲マンションに限らず、中古マンションや町家の相場が高騰し、観光客数が増加に伴いホテル開発やホテル用地の獲得争いが過熱している京都府。新成人の人数だけで判断はできないものの、「若者の増加」しているということか?

京都府は南北に長い形で、北側は日本海に接しており、郊外エリアが広い。郊外部でそれほど大きな増加率を示すイメージも少ない。京都府の「増加トレンド」は京都市の影響が大きいからではないかと考え、京都市の新成人人口を調べたところ、京都市内においては新成人が大幅に増加していた。前年比721人増。増加率は5.0%と全国平均1.7%の約3倍であった。

一方、京都市を除く京都府エリアは380人増で増加率は3.2%。こちらは滋賀県並みの数字だ。

【成人の日、こどもの日の定点観測はオススメ】
人口動態は不動産価値の将来性をはかる指標として重要だ。不動産を持っている、もしくはこれから購入しようとしているエリアについて、人口が減るのか増えるのか、高齢化が進むのか進まないのか、などは大きな流れとして知っておきたい。特に現在不動産を保有しているエリアについては定点観測しておいて損はない。

定点観測、といってもそれほど難しいことをする必要はない。例えば成人の日、こどもの日、敬老の日には必ずニュースで新成人、こども、高齢者の人口の増減が報道される。それを毎年押さえておくだけで十分だ。
例えば、今回のニュースでは京都だけが新成人人口が減少したことがわかった。その理由については、府県や市レベルの数字だけを見ていてもわからないが、国勢調査等の数値を利用し町丁目毎の人口等をつぶさに見ていけば理由が見つかる可能性はある。その理由如何で「京都の不動産は売り時」となるかもしれないし、そうではないかもしれない。そのようなことを定期的に考える機会を持つ、それが定点観測の意義である。


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田中和彦 
株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。