田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第52号]阿倍野区ってどんな街?〜帝塚山からあべのハルカスまで

2017年06月28日

大阪市内は「駅近タワー」が目白押しだ。「今、旬なマンション(※)」の200戸以上を見ると「ブランズタワー梅田North」(大阪市営地下鉄「中津」駅徒歩1分/653戸)、「北浜ミッドタワー」(大阪市営地下鉄「北浜」駅徒歩1分/311戸)、「ザ・ファインタワー梅田豊崎」(大阪市営地下鉄「中津」駅徒歩1分/312戸)、「ブランズタワー御堂筋本町」(大阪市営地下鉄「本町」駅徒歩1分/276戸)と「市内中心部駅直結タワー」だけでも複数のマンションが販売されている。

そんな中、目をひいたものがあった。「阿倍野区の小規模マンション」だ。「100戸未満」のランキングで「ディモア阿倍野昭和町」、「プレミスト阿倍野駅前」、「プレサンスロジェ阿倍野松崎町」と3つのマンションがベスト10入りしている。

関西圏以外はもちろん、神戸や京都の人にとってもわかりにくい阿倍野区。簡単に紹介してみたい。

(阿倍野=天王寺ではない!)
まず覚えておきたいのは「阿倍野=天王寺」ではないということ。大阪人でも、阿倍野=天王寺と思っている人もいるであろうが、阿倍野と天王寺は別だ。行政区域ではJR大阪環状線「天王寺」駅の北側が天王寺区、南側が阿倍野区となる。ただ、別とはいえ、ターミナル駅の北と南で隣接しているため、阿倍野区内も含め周辺一帯を「天王寺」と呼ぶ場合も多い。

ちなみに地下鉄谷町線「天王寺」駅(天王寺区)の地下街は「あべちか」。阪堺電軌上町線には「天王寺駅前」駅と「阿倍野」駅があるが両駅とも阿倍野区内にある。また「阿倍野区内も含め周辺一帯を天王寺」と書いたが、「天王寺区内も含め周辺一帯を阿倍野」と呼んでも、通じなくはない。阿倍野=天王寺ではない、とかいたものの混同されている例も非常に多い。

(帝塚山から商店街のある下町まで)
阿倍野区の特徴は、高級住宅街から下町まで、いろんな街の雰囲気が味わえることだ。

関西でも指折りの高級住宅街である「帝塚山」は、阿倍野区の南部エリアから隣接の住吉区一帯にあり、同じく高級住宅街である「北畠(きたばたけ)」と隣接している。この高級住宅街から東側へ10分も歩けば商店街と(いまではかなり少なくなったが)文化住宅の並ぶ下町「昭和町」「西田辺」となる。

北部エリアは先にも触れたJR「天王寺」駅南側の商業エリア。250店舗からなる大阪府下最大級のモール型ショッピングセンター「あべのキューズモール」や地上300m日本一の超高層ビル「あべのハルカス」がある。これらの商業エリアの西側に隣接するエリアはバブル期前からの再開発エリアで複数棟の「大阪市分譲マンション(周辺の方に馴染みある「あべの○○」という名称のマンション)」や民間分譲タワーマンションが並ぶ。そして、その西側は西成区域となり、昔の「赤線」、いわゆる「飛田新地」とよばれるエリアとなる。

(鉄道路線が充実)
もうひとつ、阿倍野区の特徴。鉄道路線が充実しているということ。

北端にあるJR「天王寺」駅は関西屈指のターミナル駅。大阪環状線、関西本線、阪和線が利用できる。区内の南北方向はは、西側を阪堺電軌上町線、中心部を地下鉄御堂筋線、東端をJR阪和線が利用できるため移動しやすい。また、北部エリアは近鉄南大阪線、地下鉄谷町線が通る。

北区や中央区といった大阪市内北部も魅力的だが、より大阪らしい雰囲気を味わいたいなら大阪市内南部、南のターミナル「天王寺」界隈はおすすめだ。なかでもJR環状線内側の天王寺区よりも相対的に不動産価格が安いJR環状線外側の阿倍野区はコストパフォーマンスが高いと言える。

大規模マンション、タワー物件以外が並ぶ阿倍野区。街も個性的だが、販売中マンションのラインナップも個性的だ。

(※参考)
6/27 「今、旬なマンション」(30日間/大阪市内/サイトリンク数/100戸未満)をみて。

 

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田中和彦 
株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。