田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第78号]うめきた2期、事業者決定。大阪復興の鍵は地下にある!?

2018年07月25日

【三菱地所を代表としたグループに決定】

大阪、いや関西復興の切り札として大きな期待を寄せられる関西最後の一等地「うめきた2期」のコンペ結果が発表された。開発事業者に決定したのは三菱地所を代表とした大阪ガス都市開発、オリックス不動産、関電不動産開発、積水ハウス、竹中工務店、阪急電鉄、三菱地所レジデンス、そして うめきた開発特定目的会社の9社JVグループ。2024年の街開きを目指して今後開発が進められる。

場所は、JR大阪駅北側、先行開発されたグランフロント大阪を中心とする「うめきた1期」の西側。敷地の中央を道路が通り、その道路を挟んで南北には合計約4.5haの都市公園となる。緑地の北側/南側にはそれぞれ2本づつの高層タワーを含む住宅、オフィス、ホテルが配置される。


【地上も楽しみだが本当に楽しみなのは地下】

4.5haの緑地、4.6haのビル。JR大阪駅隣接も大規模開発で大阪への人の流れがいままで以上に増化し、周辺が変化することは確実だ。この大阪のポテンシャルを押し上げる「うめきた2期」だが、長期的視点で人の流れに寄与するのは地上の緑地とビルではない。答えは地下にある。

2023年春、うめきた2期区域の地下には、JR西日本の新駅北梅田駅が開業する。JR大阪駅とさほど距離も離れていないが、この駅の持つ意味は大きい。ほぼJR大阪駅隣接といってもいいこの北梅田駅があることで、関空と大阪(梅田)がぐっと近くなるのだ。


【関空と大阪(梅田)が近くなる新駅の開業!】

関西への空路の玄関口、関西国際空港。ここから関西最大の都心部である大阪(梅田)エリアにアクセスするのはお世辞にも便利とは言えない。

関西空港から特急「はるか」を利用して大阪方面に向かう。新大阪駅には49分で到着。では、その手前にある大阪駅は? 答えは53分(乗り換え時間含まず)。理由は「はるか」が大阪駅に停車しないからだ。53分というのは新大阪駅への所要時間49分に一駅後戻りする時間4分を足した時間だ。乗り換えなしで移動するには大阪駅にも停車する関空快速を利用する必要があり、その場合は所要時間66分。新大阪駅に行くよりも17分も時間がかかる。

今までは大阪駅をバイパスするように北側を通過していた「はるか」が、北梅田駅の開業で大阪(梅田)エリアに泊まるようにあり、インバウンドの人の流れが変わることが予想される。北梅田駅の開業による人の流れの変化について書くには「なにわ筋新線」についても言及せねば不親切であるが、こちらの話は紙幅の関係上、別の機会に改めたい。

単なるハコモノ開発ではなく、広大な都市公園や鉄道インフラも同時に進められる「うめきた2期」。関西復興の起爆剤として経済界に期待されるととも、多くの人が新しい大阪の顔として2024年の開業を心待ちにしている。

 

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田中和彦 
株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。