田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第79号]なにわ筋新線〜価値向上は中之島周辺と南海線沿線

2018年08月08日

前回は「うめきた2期」の事業者が決定したことに関連して、計画地の地下に2023年開業予定のJR「北梅田」駅が来街者増加のポイントとなることを書いた。JR東海道線「大阪」駅、阪急「梅田」駅、大阪メトロ「梅田」駅等がある中、なぜ新駅「北梅田」駅が重要かといえば、この駅が開業することにより関西国際空港と「新大阪」駅を経由して「京都」駅を結ぶ特急「はるか」が大阪(梅田)に停車するからだ。

と、ここまでは前回のおさらいだが、今回は「なにわ筋新線」の話。

「なにわ筋新線」はJR西日本と南海電鉄が共同運行する新線で、「新今宮」駅から「北梅田」駅をつなぐ路線。北から順に「北梅田」駅、「中之島」駅、「西本町」駅、「南海新難波」駅の4つの新駅が新設される。この新線ができることで「北梅田」駅から「JR難波」駅経由で「はるか」、「南海新難波」駅経由で「ラピート」を使って、大阪(梅田)から関空までのアクセスが格段に便利になる。

大阪(梅田)と関空の移動が便利になる以外に、各新駅界隈周辺が便利になることも期待が持てる。以下では「北梅田」駅を除く新駅3つで周辺等がどのように変わるのかを予想する。


「中之島」駅〜陸の孤島が「梅田から一駅」になり不動産価値上昇

京阪中之島線の「中之島」駅周辺に開業する。現在この周辺は京阪の駅があるといえども、あくまで京阪の支線であり、大阪(梅田)からのアプローチはバス。陸の孤島イメージがあった。これが大阪(梅田)から電車で一駅となると格段に利便性が上がる。

もともと国際会議場やリーガロイヤルホテル、大阪市立科学館、国立国際美術館等の施設があり文化的コンテンツが豊富なエリア。周辺不動産の価値アップという観点でみれば新駅の中で一番期待が高いのがこの「中之島」駅だ。


「西本町」駅〜駅周辺へのインパクト小、近鉄けいはんな線沿線は恩恵あり

大阪メトロ中央線「本町」駅と「阿波座」駅の中間あたりに開業する。現状でも四つ橋線を利用すれば西梅田一本の便利なエリアであり、周辺マンションに住む人にとっては便利になるだろうが、新線・新駅のインパクトは大きくない。

この駅の恩恵を受けるのは中央線乗り入れで東大阪から生駒方面に抜ける近鉄けいはんな線沿線住民。関空アクセスを含む各鉄道路線への乗り換えが容易になる。


「南海新難波」駅

場所はJR「難波」駅と南海「なんば」駅の中間あたり。大阪メトロや近鉄線との乗り換えが便利な場所だ。周辺エリアは「中之島」駅「西本町」駅周辺と比べると地下に地上にと商業施設等が密集した繁華街エリア。ただ、新駅開業により開発に拍車はかかるであろう。

しかし本駅開業による恩恵を受けるのは周辺エリアよりも南海沿線住民だ。これについては「西本町」駅設置による近鉄けいはんな線沿線住民が受けるメリットより大きい。南海の終点が難波から梅田になるというのは絶大だ。

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新駅周辺や各路線のアクセス向上でいろいろと期待が持てるなにわ筋新線。開業するのは2031年。短期的な値上がりを期待するのは危険だが、長期的には不動産価値の向上が見込まれるエリアが複数あるのは確かだ。

 

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田中和彦 
株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。