田中和彦が斬る!関西マンション事情不定期

[第100号]関西版 お部屋探しされている駅ランキング 1位!〜阪急「園田」駅が一位の理由は?

2019年06月28日

田中 和彦 ( たなか かずひこ )

昨年アルヒから発表された「本当に住みやすい街ランキング」でJR「尼崎」駅が1位に選ばれ、俄然注目を浴びた尼崎市(「住宅ランキング好き」という限られた層に対してであるが……)。今度は「goo住宅・不動産」の「関西版 お部屋探しされている駅ランキング(2018年度)」で「園田」駅が1位に輝いた。「で、園田ってどこ?」と思った人も多いであろう(特に首都圏の方)。関西の人でも、正確な場所がわからない人もいるに違いない。今回は関西でもっともお部屋探しされている駅、「園田」駅を紹介したい。


*抜群のアクセスの良さが魅力

「園田」駅は阪急神戸線の駅。兵庫県尼崎市の北東部、1km東は大阪府(豊中市)という行政境に近い場所にある。参考サイトにも書いてあるように、一番の魅力は「都心への近さ」だ。


阪急「梅田」駅から「中津」駅、「十三」駅、「神崎川」駅を経て4駅目が「園田」駅。各駅停車しか停車しないが「梅田」駅への所要時間は10分ほど。運行本数も日中が10分に1本、朝のラッシュ寺は1時間に8本と非常に多くあり、大阪方面への通勤は全く苦にならない。


園田界隈は、「梅田」駅から4駅ということで、大阪市中心部への距離がとても近い。直線距離で7km強。車で約20分ほどで移動ができる。タクシー移動で3,500円程度だ。歩いて通勤、という人は流石にいないであろうが仮に歩いたとしても2時間程度、ジョギングなら1時間程度の距離で災害時に「帰宅難民」となる可能性も低い。


ちなみに高速の出入り口が近いのも魅力。名神高速豊中インターは駅から真東へ約1km。大阪市内方面はもちろん、京都方面、神戸方面への移動も容易だ。


*なぜ園田は評価が低いのか?

こんなに便利なのにあまり注目されていない理由は何か?理由は二つ考えられる。


一つ目は「尼崎」という行政区のイメージの悪さ

昭和40年代、高度経済成長期の頃、沿岸部に多くの工場があった尼崎は光化学スモッグの発生や水質汚濁等の公害の発生が問題となった場所で、お世辞にも良い環境といえる場所ではなかった。その後状況は改善しているが一度もたれたイメージが元に戻るのは難しい。とくに今住宅を探している30〜40代の人の親世代にはそのイメージが色濃く残っている。


また、子世代に公害のイメージは少ないが、2005年に発生した未曾有の鉄道事故であるJR福知山脱線事故の現場であったり、2012年に起きた連続殺人死体遺棄事件が「尼崎事件」と呼ばれたりと、やはり印象は良くない。過去の公害は、エリアの価値を下げても致し方ない部分もあるが、21世紀に入ってからの事故・事件は行政区とは関係のない話で完全に風評被害。お気の毒としか言いようがない。


二つ目は行政境に位置すること

子供がいれば転校しないように学校区内で、子供がおらずとも住民票の移動や各種保険の手続き等が何かと勝手がわからず面倒なのでと、同じ行政区内で引っ越しをする人は多い。それが市町村レベルではなく、都府県がまたぐとなるとなおさら引越しへのハードルは高くなる。


ところが先にも書いたように園田の街は尼崎市の北東の端にあり、「ほとんど豊中市」といえる場所。実際に直線距離で見ると「園田」駅から尼崎市役所の距離は約4.4kmなのに対し豊中市役所は約3.8kmと「隣の市役所」の方が近い。東側が大阪府豊中市となる園田エリアは、府県をまたぐ引っ越しとなる東側エリアから住民を呼び込みにくい。しかも園田エリアの東側は、より梅田に近いエリアで園田エリアへの引っ越しは都心から遠くなる方向である上に、「北摂の高級住宅街」というブランドイメージが高い豊中市からと尼崎市とのブランド力の差も「引越し阻害要因」となる。


*今後も起きる「人気の下克上」

と、ここまでの情報だと園田にネガティブな感情を持たれたかもしれないが、イメージについてはあくまでイメージで実態の伴うものではない。山手高級住宅地がもてはやされたバブル期とは違い、今は住宅地に求められる要素として、利便性の高さが大きなウエイトを占める。そういう流れでJR「尼崎」駅が「本当に住みやすい街」として注目された解釈すれば阪急「園田」駅が「お部屋探しされている駅ランキング」のTOPとなるのもなんら不思議ではない。阪急京都線、阪急宝塚線で「梅田から4駅目」はそれぞれ「崇禅寺」駅(大阪市東淀川区)、「庄内」駅(豊中市)と行政区的には尼崎市より人気が高く尼崎市である「園田」駅の方が同スペックでリーズナブル。流行りの言い回すでいうと「コスパの良い街」となる。


行政境にあることについてはどのエリアでもある話であり、ブランド差の話も世田谷区と狛江市のようなもので、特段尼崎や園田だけの問題ではない。イメージが良いわけではないが便利で住みやすく、しかも家賃が安い。このような「人気の下克上」は今後も色々なエリアで起こるであろう。


(参考サイト)

【最人気は園田駅!】関西エリアでお部屋探しされている駅・路線ランキングを発表(PRWire)

https://kyodonewsprwire.jp/release/20190524676

 

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田中和彦 
株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。