田中和彦が斬る!関西マンション事情不定期

[第150号]劣化する社会インフラ~あなたのエリアは大丈夫?

2021年08月26日

田中 和彦 ( たなか かずひこ )

国土交通省から大変興味深い地図が公表されている。「全国道路構造物情報マップ(国土交通省道路局国道・技術課)」だ。サブタイトルは「損傷マップ」で、点検により修繕等の対策が必要とされた道路構造物が地図上に公表されている。掲載されている施設は橋梁、横断歩道橋など6種類。それぞれの分布には特徴がある。

 

■橋梁
「橋梁」の定義は「道路法の道路における橋長2.0m以上の橋、高架の道路等(以下「道路 橋」という。)のうち、国土交通省及び内閣府沖縄総合事務局が管理する道路橋」(「橋梁定期点検要項」平成31年3月国土交通省道路局国道・技術課)。地図を見て驚くが、日本地図が真っ黄になる(注:早期措置の必要な施設が黄色いドットでマッピングされている)。密度には差がある。大阪府下を例に取ると、「早期措置」は大阪市内や吹田市・豊中市等の北摂エリアでは少なく、門真市・大東市等の大阪東部エリアは該当施設が多い。「緊急措置」は市街地にはほとんど無く奈良県を筆頭に山間部に多い。

ただ、全てが措置が必要な状態で放置されているわけではない。詳細を確認すると「早期措置」「緊急措置」ともに措置状況が確認でき、市街地の「早期措置」については措置完了済みのものが多い。逆に言えば山間部の施設は「緊急措置」のものを含め措置未着手のものが多くある。

 

■トンネル
橋梁に比べるとドットの数は格段に少なくなる。橋梁に比べトンネルの方がメンテナンスが優れているのではなく、「橋の数よりトンネルの数の方が少ない」ことが理由であろう。

気になったのは数少ないトンネルに交通要衝のトンネルが含まれていること。名神高速道路の「千里山トンネル」や新御堂筋の北端にある「箕面トンネル」は「早期措置」かつ「措置未着手」となっている。すぐに崩落等の事故が起こるような状態ではないのであろう「措置未着手」とあると一抹の不安は残る。

 

■横断歩道橋
市街地の幹線道路にかかる横断歩道橋には1960年代、1970年代に架設されたものが多く、劣化しているものが多いのは想像にかたくない。筆者自身、表面が劣化して歩行しにくいものや劣化が激しく利用禁止となった歩道橋に出くわしたことも幾度かある。

当然ではあるが、施設は都市部に偏在しており山間部には少ない。措置状況については「措置完了済み」「措置着手済み」「措置未着手」とまちまちである。

 

他にもシェッド(雪崩、落石及び土砂崩れから道路を守ること目的として設置されたトンネル状の構造物)、大型カルバート(盛土部に道路や水路を通すことを目的として土中に設置された内空構造物)、門型標識等がマッピングされているので、興味があれば見て欲しい。

 

街選び・物件選びを目的として、「全国道路構造物情報マップ」を利用して個別の施設をチェックするのはあまり現実的ではない。この地図の使い方としてお勧めしたいのは、市区町村レベルで俯瞰してどのエリアの施設が更新されていないのか?を見ること。橋梁や横断歩道橋のマップを見ると、上記のコメントにも書いたが、どのエリアに劣化している(orしていた)施設が多いのかがわかる。このような地図を俯瞰して見ることでまた違った気付きを発見できる。

 

--------------
田中和彦 
株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。