田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第186号]賑わいが戻る三宮〜市の施策の成果!?

2023年02月22日

住まいサーフィンの人気コンテンツ「今、旬なマンションランキング」。全体のランキング(※)で関西から唯一ランクインしていたのが「ワコーレシティ神戸元町」(神戸高速鉄道「花隈」駅徒歩5分/177戸)だった。

世界の高級ホテルの開業ラッシュが続き世界から注目されている観光都市京都でもなく、JR大阪駅近接のビッグプロジェクト「うめきた2期」や2025年開催の大阪万博で盛り上がる大阪でもなく、両都市に比べニュースなどで取り上げられる頻度が少ない神戸がランクインしているのは、不動産市場をウォッチしている人からすればそれほど驚くことでもない。神戸の都心は京都大阪と同様、進化中である。

既に完了している神戸三宮阪急ビル(2021年4月開業)、神戸ポートミュージアム(2021年10月オープン)、中央区役所・中央区文化センター(2022年7月供用開始)以外にも、街の活性化が期待できる以下のようなプロジェクトが進捗中だ。

●西日本最大級のバスターミナルの建設
JR三ノ宮駅近くに再開発事業として、周辺のバス発着を集約したバスターミナルを併設したビルが2027年に完成予定。

●三宮クロススクエア
三宮交差点を中心にフラワーロード界隈で6つの駅と街をつなぎ、整備する事業が進行中。地域の声を聞きながら街の賑わいを増すべくゆっくりと丁寧に進めていく計画で、2029年度に第一段階が完成目標となっている。

●三宮駅周辺歩行者デッキ
歩行者の回遊性向上を目指し、2027年以降に順次完成予定。

歴史ある史跡が豊富な京都。食事や買い物が楽しい大阪。わかりやすい特徴があるこの二都市に比べ、インバウンド需要やホテル開業等の流れから少し離れていた「インパクトに欠ける」神戸だが、コロナ禍では海と山に近い立地が再評価され、インバウンド需要激減による「被害」が少なかったこと、また「インパクトに欠ける」すなわち言い方を変えれば「バランスが良い」街であった神戸は、今改めて輝きを取り戻しつつある。

2020年に「神戸の玄関口に住宅は不要」と、タワーマンションに対して規制をかける条例を施行。当時はこのよう規制は時代に逆行する、人口減少を食い止めたいならタワマン否定はおかしい、とネガティブに捉える向きもあった。しかし今のところ、三宮周辺には住宅ではなく街の賑わいを増すためのインフラ整備するという施策は、着実に進み順調に推移している。先般筆者が三宮駅界隈を訪れた際は、駅周辺だけでなく各施設間も徒歩移動の人流ができ、その賑わいは京都や大阪に劣らないように感じた。

これをもってして神戸市の決定が正しかったと判断するには時期尚早であるが、今のこの勢いは数年は続くのではないか?

※参照:今、旬なマンションランキング
(2023年2月21日01:33現在の期間30日間/お気に入り登録数)

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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