田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第33号]そろそろ危ない!? 京都マンション事情

2016年09月14日

【不動産需要が旺盛な京都市中心部】
京都市内中心部の不動産需要が相変わらず旺盛だ。ここ数年の観光による京都ブームが追い風となり、京都市内中心部で不動産取引が活発になり、価格も高騰している。特に、阪急「烏丸」駅~「河原町」駅周辺の「田の字地区」と呼ばれるエリアの市況は過熱気味ともいえ、分譲マンションだけでなく築百年近い木造住宅(町家)も高額で取引されている。

【用地が買えないマンションデベロッパー】
高値で分譲マンションが売れる今の状況は、マンションデベロッパーにとって新規供給がしやすそうに思える節もあるが、実のところはそうではない。むしろ中心部でのマンション用地の手当てが大変困難な状況となっている。

理由は、ホテルを含む宿泊事業者の存在だ。宿泊事業者の提示する土地価格の方が、マンションデベロッパーのそれよりも相当に高い、場合によっては倍以上の価格差、といった状況が起きている。

従来、マンションデベロッパーが土地を買う時のライバルは同業他社、もしくは戸建業者であった。これらのライバルは、大きなくくりでは住宅事業という「同じ土俵」の上で戦っており、周辺の住宅価格や賃料相場を参考に土地価格の算出をしている。ところが宿泊事業者が土地価格を算出する拠り所となるのは宿泊事業での収益。マンションデベロッパーとは違う「計算式」で土地価格を算出する。ホテル/旅館の業績が好調な今、宿泊事業者の「計算式」で出された土地価格は、マンションデベロッパーにとっては全く手の届かない数字となるわけだ。

【買うなら「高くても良いところ」】
今、京都の宿泊業は絶好調。そのため、利便性の高い立地で分譲マンション用地を手当てすることが困難であり、今後は郊外・周辺部での分譲の増加が予想される。しかしこの郊外マンションの購入はあまりお勧めできない。

仮に、京都ブームの終焉、円高による外国人観光客の減少、宿泊施設の急増による宿泊単価の下落などが起きれば、宿泊事業者による土地の購入圧力は弱まり(もしくは無くなり)、マンションデベロッパーが土地の買い手として復活する可能性が高い。

新築時に「そこでしか分譲がないから」という理由で買ってしまった郊外マンションは、「時代の徒花(あだばな)」となる可能性が高いといえる。


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田中和彦 
株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。