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住まいサーフィン編集部

子育て世帯が住宅ローンを借り入れるときの注意点は?年齢別シミュレーションもご紹介!

2023年09月19日

更新日最終更新日:

マンションや一戸建ての購入は大きな買い物です。
そのため住宅ローンを借り入れる方が多いですが、毎月しっかり返済できるのか不安になることもあると思います。
特に子育て中の家庭だと教育費が必要になるので、家を買うことに慎重になっている方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、子育てにかかる費用や住宅ローンの基礎知識、注意点などを解説します。

この記事を書いた人

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1. 子育てにはどれくらいお金がかかる?

子育てに必要な費用はどれくらいなのでしょうか。

子どもというとまずは「教育費」を思い浮かべる方も多いと思いますが、それ以外にも食費や衣服代など、生活をしていく上で様々な費用が必要となります。

今回は大きく分けて「教育費」と「(教育費を除く)養育費」について見ていきます。

教育費

文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、年間の「学習費総額」の平均は以下のようになっています。

※学校教育費・学校給食費・学校外活動費(塾や習い事)のこと

  幼稚園 小学校 中学校 高校
公立 165,126円 352,566円 538,799円 512,971円
私立 308,909円 1,666,949円 1,436,353円 1,054,444円

また、日本学生支援機構の「令和2年度学生生活調査結果」によると、大学の教育費等(授業料・修学費・通学費等)は以下表のようになっています。

  年間の教育費等
国立 592,000円
公立 605,000円
私立 1,310,700円

近年は大学進学率が50%を超えています。
大学に行かない場合でも短期大学や専門学校に進学するなど、高等教育機関への進学率は8割を超えています。
そのため、高校卒業後の教育費についても念頭に入れる必要があります。

参考:文部科学省「学校基本調査」

教育費は公立と私立で大きく差がありますが、すべて公立で4年制大学に進学した場合でも、800万円以上がかかります。
すべて私立だと、なんと2300万円以上です。

また、大学院に進学する場合や留学をする場合は、別途費用がかかります。

子ども一人当たり、教育費は約1000万円ほど必要だと思っていた方が良いでしょう。

養育費

養育費とは子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用で、衣食住に必要な経費や教育費、医療費などがこれに含まれます。
教育費については先ほど解説したので、今回は教育費以外に生活で必要な費用について見ていきます。

内閣府の「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」によると、未就学児から中学生までの年間子育て費用額の平均は以下表のようになっています。

なお、小学生と中学生については、学校教育費・学校外教育費・学校外活動費は除外しています。

  年間の養育費
未就学児 1,043,535円
小学生 847,225円
中学生 975,565円

この調査は2009年に行われたので、幼保無償化などの制度が始まる前のものになります。

子ども医療費助成等の各種制度や物価など今とは違う点もありますが、子ども一人当たり年間約80~100万円弱必要ということが分かります。

どの項目の割合が大きいのかは年齢によって違いますが、年齢が高くなるほど食費の割合は増えています。

その他詳しい結果については、内閣府の「調査結果」をご確認ください。

2. 住宅ローンの基礎知識

次は住宅ローンについて見ていきましょう。

住宅ローンとは、住宅を購入・改築等するにあたって金融機関から受ける融資(ローン)のことです。
各金融機関には、複数の住宅ローン商品があります。
商品ごとに条件や金利は様々で、また、同じ金利タイプであっても金融機関ごとに金利は異なります。

住宅ローンの金利プラン

住宅ローンは、大きく分けると主に3つの金利プランがあります。

  • ● 変動金利
  • ● 固定金利(期間選択型)
  • ● 固定金利(全期間型)

それぞれの特徴は以下のようになっています。

変動金利と固定金利(期間選択型・全期間)のメリットとデメリットはこのようになっています。

  メリット デメリット
変動金利 ・金利が低いため3つのメリットがある
 ①返済額が抑えられる
 ②借入金額が増やせる
 ③審査が通りやすい
・返済リスクに対する2つのルールがある
・しばらく金利が変動していない
・返済額が上昇するリスクがある
・常に金利情報をチェックする必要がある
・2つのルールで援助された返済額は
 最終時に支払わなければならない
期間選択型
固定金利
・好きな期間だけ金利を固定できる
・期間終了後に変動か固定を再度選べる
・全期間型と比べて金利が低い
・変動金利より金利が高い
・期間終了したら再度金利プランを
 検討しないといけない
・当初の金利が低くても、期間終了後に
 引き下げ幅が少なくなる可能性がある
全期間
固定金利
・全期間返済額が変わらなくて安心
・金利の変動をチェックする必要がない
・フラット35が使える
・他の金利プランよりも金利が高い
・金利の上昇がないと支払額で損をする

変動金利の大きな魅力は低金利なことです。
現在は特に金利が低いので、変動金利を選択している人が一番多いです。

期間選択固定金利は、好きな期間だけ金利を固定することができます。
全期間固定金利よりも金利が低いので、子どもの教育費がかかる間は固定金利にする方もいます。

全期間固定金利は他のプランより金利が高いですが、返済額が一定なので安心です。

また、全期間固定金利のフラット35には「地域連携型(子育て支援)」という商品があり、子育て支援の場合は当初10年間は年0.25%引き下げがあります。
利用要件など詳しいことは、フラット35の説明ページをご覧ください。

変動金利と固定金利の違いについては、以下の記事でも解説しています。

住宅ローンは変動金利と固定金利どっちが良い?金利の推移やよくある質問についても解説!

2023/09/04

変動金利と固定金利のそれぞれの特徴やメリットについて解説します。

住宅ローンは年収に対してどれくらい借りられる?

住宅ローンを借り入れするときに、年収に対して最大でどれくらい借りられるのでしょうか。

住宅ローン審査時には、「返済負担率」がチェックされます。
返済負担率とは、年収に対して年間どれくらいの割合で住宅ローン返済するかを示すものです。

例えば年収600万円の人が毎月14万円返済する場合の返済負担率を計算してみましょう。
金利が0.4%の場合、約5500万円を借り入れると毎月の返済額が約14万円になります。

  • 年間のローン返済額÷年収×100=返済負担率
  • (140,000円×12ヶ月)÷6,000,000円×100=28%

住宅ローン審査における返済負担率は金融機関ごとに設定されています。
返済負担率を超えている場合は、希望額の借り入れができません。

住宅ローン審査時の返済負担率は、25%~35%以内に設定されていることが多いです。

全期間固定金利のフラット35では、以下のようになっています。

年収 返済負担率
400万円未満 30%以下
400万円以上 35%以下

このように、年収やその他条件によって返済負担率が違う場合もあります。

返済負担率から借入可能額を計算できるシミュレーションサイトが複数ありますので、どれくらい借入れできるのか是非試してみてください。

ただし、いくら借り入れるのかについては、今後のマネープランを踏まえてしっかり検討しましょう。
特に子育て世帯だと、子どもの年齢によって支出額が異なります。
詳しくは、後半で解説します。

3.子育て世帯の住宅ローンシミュレーション

それでは、実際に子育て世帯が住宅ローンを借り入れた場合、どのような家計状況になるのか見ていきましょう。

以下の条件で、子どもの年齢や入学校別にシミュレーションしてみます。

  • ● 世帯年収800万円
  • ● 借入金額5,000万円(返済負担率19.14%)
  • ● 35年ローン
  • ● 変動金利(0.4%)・元利均等
  • ● マンションを購入し、毎月管理費・修繕積立金等として28,000円支払うとする

会社員の場合、給料から税金や保険料を差し引かれた金額(いわゆる手取り)が振り込まれます。
一般的に、手取りは額面の約8割前後と言われています。

世帯年収800万円でボーナス無しの場合、月々の額面給与は約66万円で、手取りは約53万円です。

夫婦・子ども1人(8歳・公立小学校)世帯

内容 金額
月々の住宅ローン返済額 127,595円
管理費・修繕費等 28,000円
子どもの教育費※1 29,380円
生活費※2 305,652円
手取りから上記金額を差し引いた残金 39,373円

夫婦・子ども1人(13歳・公立中学校)世帯

内容 金額
月々の住宅ローン返済額 127,595円
管理費・修繕費等 28,000円
子どもの教育費※1 44,899円
生活費※2 323,325円
手取りから上記金額を差し引いた残金 6,181円

夫婦・子ども1人(13歳・私立中学校)世帯

内容 金額
月々の住宅ローン返済額 127,595円
管理費・修繕費等 28,000円
子どもの教育費※1 119,696円
生活費※2 323,325円
手取りから上記金額を差し引いた残金 -68,616円

※1 「令和3年度子供の学習費調査」の「学習費総額」から算出

※2 子どもについては、「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」の年齢別費用から、教育関連費用及び子どものための預貯金保険を除いた金額を算出。
大人については、「令和5年7月家計調査」を基に教育費・住居費を除いた金額を算出。

シミュレーションした結果、子どもが公立小学校に通っている場合は毎月約4万円の余裕があります。公立中学校の場合は何とか家計は黒字、私立中学校の場合は約7万円弱も不足することになりました。

このように、同じ子育て世帯でも毎月の支出額は年齢や学校選びによって大きく変わることが分かります。

4. 子育て世帯が住宅ローンを借り入れる場合の注意点

最後に、子育て世帯が住宅ローンを借り入れる場合はどのようなことに注意すべきなのか、見ていきましょう。

変動金利や期間選択型金利の場合、金利が変動することを念頭に置く

全期間固定金利タイプは金利が一定ですが、それ以外のプランにおいて金利は変動します。

今は全体的に低金利で、特に変動金利は超低金利となっています。
しかし、固定金利は昨年から少しずつ上昇しています。
変動金利についてはほとんど変化はありませんが、今後もずっと低金利が続いていくとは限りません。

住宅ローンは返済期間が長いです。
そのため、金利が上昇して返済額が上がる可能性があるということを心づもりしておきましょう。

なお、変動金利(元利均等返済)には、返済額が一気に上がることを防ぐための「125%ルール」と「5年ルール」があります。

「5年ルール」とは、金利が上がってしまっても5年間は返済額が変わらないというものです。
また、「125%ルール」により金利が上昇しても前月の返済額の125%以上にはなりません。
これらのルールがあるので、前の月に比べて一気に返済額が跳ね上がるということはありません。

ただし、急激な上昇が続くと返済額に占める利息の割合が大きくなってしまいます。
毎月の返済ですべて返せなかった場合、残りの元金と未払い利息は最終返済時に請求されます。

金利が変動するプランは固定金利に比べて低金利なので魅力的ですが、このようなリスクがあるということも理解しておきましょう。

借入れ金額を決める前に、マネープランを立てる

同じ年収で同じ金額を住宅ローンで借り入れていても、子育て世代かどうかによって返済の余裕は大きく変わります。

先ほどシミュレーションした結果からも分かるように、一般的には、子育てに必要な費用は年齢が上がるほど多くなります。

借入時には毎月の返済に余裕があっても、子どもの進学先によっては返済が困難になることもあります。

そのため、借入金額を決める前にまずはマネープランを立てましょう。
その際には子どもの私立受験や習い事はどうするのかなど、教育の方向性についても考えることが重要です。

子どもの進学先がどうなるのか、未来のことなので確定はできません。
「子どもは幼稚園から大学まですべて国公立にしよう」と決めて計画を立てても、本人の希望やそのときの状況によって変わることも十分ありえます。

しかし、だからといって無計画で良いというわけではありません。
まずは子どもの成長に必要な費用を把握して、貯金や積み立てがどれくらい必要なのか計算をしましょう。
その上で、借入れ金額が適切か検討することが大切です。

資産価値の高い家だとリスクヘッジになる上、住み替えのときも安心

マネープランを立てて適切な金額を借り入れても、予想外のことが起きて返済ができなくなることがあります。

その場合、まずは返済方法の見直しや住宅ローンの借り換えを検討することになりますが、それらが難しい場合は家を売却するということになるでしょう。
このとき売却額よりも住宅ローン残債の方が多ければ、自己資金から補填する必要があります。
しかし、資産性が下がりにくい家であれば、売却額で住宅ローン残債を完済できる可能性が高いです。

また、購入当初は十分な広さだと思っていたけれど、子どもの成長に伴って手狭になるというケースが多くあります。
逆に、子ども部屋が必要なので広めの住宅を購入したが、子どもが一人暮らしをするので部屋が余っているということも。
これらのケースの場合は住み替えを検討することになりますが、その際にも資産価値の高い家の方が住み替えをしやすいです。

家が欲しいと思ったときに、「住みやすさ」や「周囲の環境」など様々な観点を踏まえて検討すると思います。
その際に、「資産価値」についても注目をすると、いざというときのリスクヘッジになるでしょう。

資産価値について、詳しくは以下の記事で解説しています。

資産価値の下がりにくいマンション・一戸建ての選び方!「資産価値」は何故重要なのか?

2021/8/30

資産価値が将来の安心・万が一の備えに繋がる理由と、資産価値のある家を選ぶ方法を詳しく解説していきます。

5.まとめ

本記事では、子育てにかかる費用や住宅ローン借入れ時の注意点について解説しました。

今回はご紹介しませんでしたが、自治体は独自で子育て家庭支援制度を行っています。
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