編集部厳選!マンション知識最前線!? 不定期
住まいサーフィン編集部

[第29号]私の場合は住宅ローンをどれだけ借りる事ができるの:FPによる住宅ローンの基礎知識

2016年12月15日

とても素敵なお部屋が見つかり、ここを買って早く住みたいなって思いはじめたのだけれど、そもそも私は住宅ローンをどれだけ借りられるのかしら?

あなたの住宅ローンの「借りられる額」と「無理なく返せる額」を見極めましょう

一問一答式で住宅ローンの借りられる金額に関する疑問にお答えします!

はじめに

住宅ローンは「借りられる額」に目が行きがちです。でも実際には毎月の返済額が「無理なく返せる額」でないといずれ困るときが来るかも。今の家計はどうなっているのか調べ、将来的な収入・出費の増減なども考えて「あなたが借りる額」を決めていきます。

質問1 借りられる額は人によって違うの?

住宅ローンを貸し出す金融機関にすれば、金額が多く、長く借りてもらえれば利子などの収入が増えるので嬉しいです。でも最後まできちんと返してくれないと元も子もないので、借りる人の信用度と不動産の価値によって貸し出す金額の上限を決めています。

質問2 信用度って何ですか?

借りる人がどのくらいきちんと返してくれそうなのかを判断するモノサシです。
年収だけではなく、たとえば正社員で勤続年数が長いなら信用度は高いと言えます。しかし勤務先が同じでも正社員でないとか、収入にバラツキがある私のような自営業者の信用度は低く、自動車ローンは借りられても住宅ローンは借りられないこともあります。

質問3 不動産の価値って広告の価格とは違うの?

金融機関はお金を貸すにあたり、その不動産にはいくらの価値があるかを独自に調べています。一般的にはその価値の80%から90%が貸し出しの上限です。たとえば広告に値段が3500万円と表示されていても、金融機関が3000万円の価値としていたら、2400万円から2700万円が貸し出しの上限となります。
住宅ローン

質問4 年収によって借りられる額は変わるの?

この年収なら年間にこれくらいまでなら返済できるでしょう、という割合が金融機関ごとに決まっています。長期固定金利を民間金融機関と提携して提供している『住宅金融支援機構の「フラット35」』のホームページで公表されている数字がこれで、目安として考えてよいでしょう。
年収400万円未満:30%以下
年収400万円以上:35%以下
たとえば年収380万円なら年間114万円、400万円なら140万円が上限で、月にするとそれぞれ9.5万円と約11.7万円です。 なお、この金額は「住宅ローンも含めたすべての借金合計」です。

質問5 借金なんてないけれど?

学生時代に奨学金を借りて返済中ではありませんか?そのほかリボ払いやカードローンも借金です。返済中だから信用度が下がるということはありませんが、その分借りられる金額が減ります。仮に奨学金の返済が月2万円だとして上の例に当てはめると、それぞれ7.5万円、約9.7万円が住宅ローン分の上限額になります。
これらの金額を基にして、返済年数や金利を決めれば「借りられる額」が分かります。

質問6 簡単に計算する方法はありますか?

先ほどご紹介した『住宅金融支援機構の「フラット35」』のホームページにとっても便利で使いやすい「ローンシミュレーション」ページがあります。先ほどの例ではこうなりました。
《計算例1 年収から借りられる上限額を計算》
年収:借入可能額(概算)
380万円:2764万円
400万円:3394万円
※30年返済、金利1.470%、融資率90%以下、元利均等払い、他の借金なし
※年収400万では誤差が含まれます

《計算例2 毎月の返済額から借りられる上限額を計算》
毎月返済額:借入可能額(概算)
9.5万円:2764万円
11.7万円:3404万円
※30年返済、金利1.470%、融資率90%以下、元利均等払い
もちろん住宅ローン以外の借金分も入力できます。また住宅ローン返済だけでなく、最新の各種データを使ったライフプランのシミュレーションも可能ですので、みなさんぜひお試しくださいね。オススメです!
ずっと固定金利の安心【フラット35】

今回のまとめ

住宅ローンは歴史的な低金利のため借りられる額も多く、私が借りた約20年前とは比べものにならないほどの差があります。その意味で住宅ローンは借りどきと言えますが、でも、借金は借金。住宅ローンの返済に振り回されてしまっては何のためにマイホームを買ったのか分からなくなります。
マイホームは家族みんなの心のよりどころ。楽しく安心して仲良く暮らすことをイメージしながらローンシミュレーションを繰り返し、「無理なく返せる額」から「あなたが借りる額」を決めてくださいね

(本記事は記事執筆時点の2016年11月の情報に基づいて執筆されています。)

Author:原 浩也(はらひろや) 先生

(CFP®(ファイナンシャル・プランナー)、基本情報技術者、宅地建物取引士,くらしとお金とパソコンのヘルプデスク『スラウギ』代表)

28年間の総合出版社勤務で情報システム、広告・販売営業、物流開発と、様々な職務を経験し5年前に早期退職。 FP資格を取得後、某大学にて中島智美さんの「マネープランニング講座」講師を務める。 また技術者として高齢者向けのスマホ、タブレット、PC講座講師をするほか、不調PC修復などの出張サポートも行っている。

同い年で共に地方出身の妻、今年社会人になった長男、大学2年の長女の4人暮らし。 結婚を機に26歳でマンション購入。長男が生まれ住み替えて現在居住中。 当コラムは、読者のみなさんがこれから経験するであろうことを、ちょっと先にやってきた私がお伝えします