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住まいサーフィン編集部

[第57号]マイナス金利ってなに? 住宅買うなら、今買った方がいいの?:建築士が語る住まいづくり特集

2016年10月07日

「マイナス金利」って、大きく報道される割には私たちの生活がすぐに大きく変わったようでもなさそうです。なんとなく住宅ローンの金利も下がりそうなイメージで、住宅の購入を考えている方たちにとって、気になるフレーズです。

住宅の買い時のベストは自分自身の生活設計次第!

いくら金利が低くても、生活設計上無理があれば、その人にとって買い時ではありません。

マイナス金利早分かり

マイナス金利って、ニュースで度々報道されますが、私達が知りたいのは直接自分たちの生活がどう変わるのかです。マイナス金利を簡単な流れで示すと下記のようになります。

マイナス金利ってなに?
銀行が日本銀行にお金を預けた時の金利がマイナスになることです。
何が変わるの?
銀行は日銀にお金を預けると逆にマイナス金利分を支払わなくてはならないので、その分のお金を企業に貸し出すようになります。
何の為にマイナス金利?
企業がお金を借りやすくなり、企業の設備投資等が活発になり景気が活性化することが期待されています。
具体的にどんな変化が?
銀行と日銀間の金利が下がれば、銀行と我々の間の金利も下がります。預金の金利も下がりますが、ローンの金利も下がります。

住宅の買い時のベストって今?

では、住宅ローンの金利が下がるので、住宅の買い時なのでしょうか。住宅ローンの借り入れ金額は高額で、かつ長期の返済となります。少しでも金利が安いと、返済額に影響します。最終的な総返済額にはより違いが鮮明になるでしょう。

しかし、住宅の買い時のベストは自分自身の生活設計次第なのです。いくら金利が低くても、生活設計上無理があれば、その人にとって買い時ではありません。無理なく返済できて、低金利の恩恵を最大限生かすには、しっかりした生活設計を立てることと生涯収支を算定してみる必要があります。

変動金利は、低金利のメリットだけではない

固定金利に比べて変動金利の利率はかなり低くなっています。それに目を奪われて変動金利で借り入れた場合は、将来の金利の上昇のリスクを覚悟しなければなりません。住宅ローンの借り入れの基本は、低金利のときは固定金利、高金利のときは変動金利が鉄則です。現在のマイナス金利がイレギュラーなのは誰の目にも明らかです。現在の変動金利の低い利率でしか返済できないようであれば、ローンを組むのは危険です。

住宅の購入を考えているなら、生涯収支を計算してみよう

住宅は人生最大の買い物です。住宅取得した後の一生涯の家計がどのように変化するのかをしっかり分かって購入する必要があります。それを見極めるのが「ライフプランシート」や「生涯収支表」と言われるものです。毎年の収入と支出の予測を記入し、その結果である貯蓄残高の推移を見て、マイナス=家計の倒産にならないか、貯蓄残高が極端に少なくなる時期がないかなどをチェックします。

ライフプランシート等で、自分のベストの時期が見つかったら、躊躇せずに金利の低い時期を逃さないでGOサインを出しましょう。大切なことは自分にベストの時期であって、その上で金利情勢があるのです。いつかライフプランシートについても詳しくまとめたいと思います。

Author:佐藤 章子 先生 (一級建築士・CFP・一級FP技能士)


写真提供:佐藤章子

一級建築士として、大手ゼネコンや住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事し、2001年に独立。2002年に『住まいと暮らしのコンサルタント事務所』ハウステージを設立。
「健全な住まいづくりは、健全な生涯設計に宿る…」をモットーに、ファイナンシャルプランニングと建築のハード面の双方から、住まい作りや暮らしを総合的にアドバイスしています。