編集部厳選!マンション知識最前線!? 不定期
住まいサーフィン編集部

[第134号]住まいづくり上手な家族とは?:リノベーションのすすめ

2016年12月30日

住宅メーカーでセールスエンジニアをしているときは、休日は住宅展示場で来場するお客様と折衝します。最初の挨拶から5分もたたずに、そのお客様が上手に住まいづくりされる方かどうかわかることは前回述べたとおりです。これは中古の戸建て住宅やマンションを紹介してもらうときも同じだと思います。エネルギーをかけてよいお客様かどうかは、すぐに営業マンに見抜かれます。良いマンションや戸建て住宅はすぐに買い手が付きます。すぐに決断できる準備ができていないと判断されれば、その物件は他のお客様のところに紹介されてしまうでしょう。

良いマンションや戸建て住宅を手にするのは真剣勝負

自分の考え、本音を見極める方法は、このシリーズで順々に解説していきます。

良い物件を優先的に紹介してもらうには?

住宅のセールスエンジニアをしていた時は、ファイナンシャルプランニングの知識はありませんでした。当時、日本にはまだそのシステムは導入されていなかったと思います。今思えば、それはしっかりした人生設計があり、その上でしっかりと住まいの建築を位置づけているかどうかの違いが、すぐに態度に表れるということだとわかりますが、当時の私が最初の折衝の5分間で感じたのは、相手の本気度と、頭の中の整理感のようなものだったと思います。

せっかく良い物件を紹介しても、気が変わったり、なかなか考えが決まらず決断できなかったりしては、紹介する側としては労力ばかりかかります。優秀でしっかりした誠意のある営業マンであれば、しっかりした顧客へと優先順位がシフトされて当然です。良いマンションや戸建て住宅を手にするのは真剣勝負なのです。まずは自分の考えをまとめてから、ことに臨みましょう。自分の考え、本音を見極める方法は、このシリーズで順々に解説していきます。

モデルルーム・マンションギャラリー・不動産会社等へ行く前に

モデルルーム等で夫婦別々に見て廻るケースを良く見受けます。こうしたケースは、その後なかなかスムーズにことが運びません。事前にどこをチェックするか話し合っていなかったことがすぐにわかります。それだけでなく、住まいというものに、まだ真剣に向き合っていないことが透けて見えます。話し合う中で、住まいのこと、そこでのこれからの暮らしなど、様々な事柄が確認されていくはずです。

これ!という物件が見つかったら

マンション・戸建て住宅に限らず、これ!という物件が見つかったら、専門家のセカンドオピニオンを受けることをお勧めします。今、日当たりや眺めがよくても将来的にどうなのか、南側にどのような建物が建つ可能性があるのかなどは、専門家でないとなかなか判断は難しい部分です。よくいろいろなところで書いたり話したりするのですが、耐震偽装問題も、モデルルームに備え付けられていた設計図書の構造図をチェックすれば、避けられたそうです。ありえない柱や梁のサイズ、鉄筋の本数や太さだったそうなのです。完成物件の見えない部分の性能をチェックするのは難しいですが、少なくとも簡単に避けられるリスクは除いておきたいものです。

地形などの周辺環境も大切で、ネットでもいろいろ情報を入手できます。過去の災害、戦後間もなくの古い地図などから過去の土地利用状況、地盤のおおよその強さや古い地形、ハザードマップなどから浸水や火災の危険度などもわかります。いろいろなリスクをすべて完全に避けることはできません。自分でできる努力は自分で行って、少しでもリスクを減らすことが大切なのです。できれば現地へ出向く前に調査をしておくと、かなり違った目で実物を見ることができます。

住まいづくりはエネルギーがかかります。疲れてしまって、思いとは別の方向に舵を取ってしまったりすることは良くあることです。労力を惜しまず、しかし慎重に順を追って取り組んでください。

Author:佐藤 章子 先生 (一級建築士・CFP・一級FP技能士)


写真提供:佐藤章子

一級建築士として、大手ゼネコンや住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事し、2001年に独立。2002年に『住まいと暮らしのコンサルタント事務所』ハウステージを設立。
「健全な住まいづくりは、健全な生涯設計に宿る…」をモットーに、ファイナンシャルプランニングと建築のハード面の双方から、住まい作りや暮らしを総合的にアドバイスしています。