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マンションを購入すると、管理費と一緒に支払うことになるのが「修繕積立金」です。
積み立てられたお金は、マンションの大規模修繕に使用されます。
大規模修繕の時期や工事内容はどのようになっているのでしょうか。
また、マンション購入を検討している方にとっては、修繕積立金の平均額も気になりますよね。
今回の記事では、大規模修繕の必要性や時期、修繕積立金について解説します。
目次
1. マンション大規模修繕の必要性
マンションに限らず、建物は経年劣化をするものです。
劣化した部分を修繕工事することによって、築年数が経っても快適な環境で生活することができます。
しかし修繕をせずにそのまま放置をしていると、住人のみならず周辺住民にも害を及ぼしてトラブルに発展する可能性があります。
例えば、外壁の一部が崩れ落ちて通行人が怪我をするかもしれません。
このような事故が起きたとき、「経年劣化だから仕方がない」では済まされず、原則としては建物の所有者が責任を負うことになります。
そのため、建物所有者は適切なタイミングに必要な修繕を行っていかなければなりません。
しかし分譲マンションの修繕管理は簡単にできないため、長期修繕計画と大規模修繕が重要となってきます。
マンションの長期修繕計画はなぜ必要?
マンションは共同住宅です。
賃貸マンションであれば所有者であるオーナーが管理をしますが、分譲マンションは一般的には各住戸の購入者が所有者になります。
そのため、一戸建てや賃貸マンションと違って下記のような問題があります。
- ① 共同生活に対する意識の相違
- ② 多様な価値観を持った区分所有者間の意思決定の難しさ
- ③ 利用形態の混在による権利・利用関係の複雑さ
- ④ 建物構造上の技術判断の難しさ
参考:長期修繕計画標準様式
個人であれば「そろそろ屋根の補修が必要だから、貯めてきたお金で工事を依頼しよう」と決めることができます。
いつ行うのか、どれくらいメンテナンスするのかなど考えることは多いですが、家族で話し合って必要なことさえ決めてしまえば修繕工事に取り掛かれます。
しかし、様々な価値観を持つ所有者たちが集まる分譲マンションでは、そう簡単にいきません。
建物の規模が大きいからこそ修繕費用も多くかかります。
そこで、マンションの管理組合では「長期修繕計画」が作成されます。
計画は定期的に内容が見直され、その計画に沿って大規模修繕工事を行っていきます。
国土交通省が長期修繕計画のガイドラインを作成
国土交通省は、平成20年に長期修繕計画の標準様式やガイドラインを作成しました。
さらに令和2年6月には「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」が成立しています。
現在の修繕計画は、「長期修繕計画標準様式」や上記の法律を参考に作られているようです。
実施時期や詳しい内容を見ていきましょう。
2. マンション大規模修繕の時期と工事内容
大規模修繕は、いつ・どのような工事を行うのでしょうか。
大規模修繕を実施する時期の目安
大規模修繕は、12~15年周期が一般的です。
国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、13年周期が最も多く、次いで12年、14年、15年という結果でした。
全体の約7割が12~15年周期での実施となっています。
ただし、すべてのマンションがこの周期で行っているわけではなく、10年未満周期の回答や、30年以上周期の回答も複数ありました。
また、同調査の「大規模修繕工事回数と修繕周期」によると、平均修繕周期は1回目が15.6年、2回目が14.0年、3回目が12.9年となっており、回数が増えるほど修繕周期が短くなっています。
修繕計画は確定ではなく都度見直されるもので、建物の状況によっては予定よりも早く修繕が必要になることもあります。
時期・修繕周期別の工事内容
大規模修繕ではどのような工事が行われるのか見てみましょう。
「長期修繕計画標準様式の記載例」の一部の修繕工事項目と修繕周期例をご紹介します。
工事項目 | 修繕周期例 |
---|---|
屋根防水の補修・修繕 | 12~15年 |
屋根防水の撤去・新設 | 24~30年 |
床防水 | 12~15年 |
外壁・軒天塗装の塗替 | 12~15年 |
外壁・軒天塗装の除去・塗装 | 24~30年 |
鉄部塗装の塗替 (屋上フェンスや手すりなど) |
5~7年 |
共用内部(エントランスホール、 廊下、管理事務室など)の張替・塗替 |
12~15年 |
受水槽、高置水槽の補修・取替 | 12~16年 |
屋外埋設部ガス管、屋内共用ガス管の取替 | 28~32年 |
共用廊下・エントランスホール等の照明器具取替 | 18~22年 |
昇降機(エレベーター)の補修 | 12~15年 |
昇降機(エレベーター)の取替 | 26~30年 |
機械式駐車場の補修 | 5年 |
機械式駐車場の取替 | 18~22年 |
これは一部になりますが、マンションには多くの修繕箇所があることが分かります。
また、新築して数年~15年までは補修が多いですが、20年を経過してくると取替や改修が必要な箇所も多くなってきます。
2回目や3回目の大規模修繕は結構大掛かりになりそうです。
つまり、築年数が古いマンションほど大規模修繕時に必要な費用は高額になります。
3. 修繕積立金の平均額はどれくらい?
マンションが古くなるほど大掛かりな修繕が多くなるので、修繕費用も高くなります。
マンションに入居すると毎月修繕積立金を支払いますが、将来的に足りなくならないのか気になる方も多いでしょう。
そこで、修繕積立金についても解説します。
後半では独自データによる平均月額をご紹介しているので、是非最後までご覧ください。
修繕積立金とは
マンションでは、管理費と修繕積立金を毎月支払います。
どちらも㎡当たりの単価が決まっていて、専有面積の広さで金額が決まることが多いです。
つまり、マンションで広い部屋に住んでいる人ほど多くの管理費と修繕積立金を支払うことになります。
修繕積立金とは建物の修繕を目的とした費用で、管理組合で積み立てをします。
大規模修繕のときには、この積み立てられたお金で修繕費用を支払います。
しかし、積み立てられたお金だけでは修繕できないときには、一時金を徴収することがあります。
一戸あたり数万円のこともありますが、大幅に足りなければ数十万円や百万円以上になることも。
また、一時金は徴収しない代わりに、毎月の修繕積立金が増額となることもあります。
マンションによっては、下記のように増額することを当初の計画から決めているところもあります。
新築マンションの修繕積立金計画例
年 | ㎡当たり修繕積立金 | 70㎡の場合の月額 |
---|---|---|
1年目~5年目 | 130円 | 9,100円 |
6年目~10年目 | 180円 | 12,600円 |
11年目~15年目 | 240円 | 16,800円 |
(住まいサーフィン調べ)
最近はマンション価格が高騰していますが、実は管理費も高くなっています。
人件費高騰が主な理由です。
新築マンションの一部には、毎月の支払額(住宅ローン返済額+管理費+修繕積立金)を抑えて売りやすくするために、修繕積立金を安く設定しているところもあります。
詳しくは、沖レク動画「管理費と修繕費の異変に注意」で解説しているので是非ご覧ください。
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修繕積立金の平均月額相場
最後に、修繕積立金の平均額を見ていきましょう。
以下は都道府県・築年別の修繕積立金平均月額相場(70㎡)です。
都道府県 | 築1年 | 築5年 | 築10年 |
---|---|---|---|
東京都 | 7,065円 | 8,326円 | 12,459円 |
神奈川県 | 6,617円 | 8,486円 | 11,750円 |
埼玉県 | 7,061円 | 7,576円 | 10,937円 |
千葉県 | 6,106円 | 7,329円 | 10,701円 |
大阪府 | 5,389円 | 6,405円 | 9,434円 |
兵庫県 | 5,220円 | 6,615円 | 10,045円 |
京都府 | 5,505円 | 6,626円 | 7,806円 |
滋賀県 | 5,057円 | 6,147円 | 8,245円 |
(2010年以降に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)
築年数が経過するほど修繕積立金の平均額も上がっています。
次に、マンション規模別の修繕積立金平均月額相場(70㎡)も見てみましょう。
マンション規模 | 平均月額 |
---|---|
小規模マンション(1~49戸) | 10,360円 |
中規模マンション(50~199戸) | 8,960円 |
大規模マンション(200戸以上) | 8,470円 |
(2010年以降に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)
規模が大きくなるほど、修繕積立金平均額は低くなっています。
戸数が少ないと、1戸あたりの修繕費用負担額が大きくなってしまうためです。
特に築年数がある程度経過した小規模マンションを購入する場合は、大規模修繕状況や積立金がどうなっているのか十分確認するようにしましょう。
4.まとめ
今回の記事では、マンションの大規模修繕の時期や内容について解説しました。
マンションの大規模修繕は、住民が安心して快適な生活を送るために必要なことです。
しかし、大規模修繕をしてもマンションの資産価値が上がるわけではありません。
とにかく修繕すれば良い、というわけではないのです。
重要なのは、必要な修繕を適切な時期に行うことです。
特に人件費や資材等の費用が高騰している今は、昔よりも修繕費用は高くなっています。
数年前に立てた計画をそのまま実行するのではなく、現況に応じて検討していきましょう。
管理組合だけで判断するのが難しい場合は、信頼できる専門業者へ相談するのも方法の一つです。
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