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ここ数年、マンション価格の高騰が続いています。
10年前に比べると、中古マンションでも相当高いと感じている方も多くいらっしゃるでしょう。
購入の負担を少しでも減らすためにも、補助金や各種控除について把握しておくことが必要です。
今回の記事では、マンション購入時に利用できる補助金と減税制度について解説します。
目次
1. 分譲マンション購入時にもらえる補助金
2023年5月現在、マンション購入時に利用できる補助金制度を見ていきましょう。
新築・中古マンション購入の補助金制度には何がある?
新築・中古マンションについては、それぞれ以下の補助金制度があります。
新築マンション
● こどもエコすまい支援事業
● 給湯省エネ事業
● 自治体独自の補助金
中古マンション
● こどもエコすまい支援事業(リフォーム時)
● 給湯省エネ事業(リフォーム時)
● 先進的窓リノベ事業(リフォーム時)
● 長期優良住宅化リフォーム推進事業(リフォーム時)
● 自治体独自の補助金
このうち、「こどもエコすまい支援事業」「給湯省エネ事業」「先進的窓リノベ事業」は、「住宅省エネ2023キャンペーン」と呼ばれています。
現在利用できる制度について個別に見ていきましょう。
こどもエコすまい支援事業
「こどもエコすまい支援事業」は、省エネ性能が高い新築住宅の取得や省エネ改修(リフォーム)を支援するための事業で、子育て世帯と若年夫婦世帯が主な対象となっています。
しかし、リフォーム補助金については子育て世帯や若年夫婦世帯以外の人も申請できます。
補助額は、住宅購入だと1住戸につき100万円、リフォームは5~60万円です。
対象(マンション購入の場合) | 1.子育て世帯または若年夫婦世帯※が購入する新築住宅 ※(令和4年4月1日時点で夫婦のいずれかが39歳以下) 2.住宅取得者等が工事施工業者に対象工事を発注するリフォーム |
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補助額 | 新築住宅購入:1住戸につき100万円 リフォーム:工事内容や発注者の世帯構成・年齢に応じて5~60万円 |
対象着工期間 | 2022年11月8日以降、対象工事に着手したもの |
交付申請期間 | 2023年3月下旬~遅くとも2023年12月31日まで |
新築マンション購入補助の対象は、ZEH住宅や新基準の認定長期優良住宅等です。
ZEH(ゼッチ)は、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のことで、消費するエネルギーよりも創り出すエネルギーの方が多い住宅になります。
また、令和4年10月1日以降に認定申請された認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・性能向上計画認定住宅も対象となっています。
ただし、住戸の延べ床面積50㎡以上、土砂災害防止法に基づく土砂災害特別警戒区域に立地しないものなどの条件がありますのでご注意ください。
中古マンションの場合は住宅購入の補助金対象ではありませんが、リフォームをすると補助金がもらえることがあります。
詳細条件や対象リフォーム工事などについては、こどもエコすまい支援事業の公式ホームページをご確認ください。
契約期間や申請期間に「遅くとも」という記載があるのは、予算の執行状況によっては受付終了するためです。
上記期間内であっても、予算に達した場合は申請できません。
予算に対する補助金申請額の割合は、公式ホームページで随時更新されていますので、チェックしてみてください。
なお、国が実施する他の補助制度を利用する場合、原則として併用はできません。
しかし、リフォーム工事で請負工事契約が別、かつ工期が別である場合は、国の補助金制度と併用できることがあります。
給湯省エネ事業
「給湯省エネ事業」は、高効率給湯器の導入を支援するための事業です。
「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」の達成に寄与することを目的としています。
基準を満たした高効率給湯器を購入またはリースした場合、補助の対象になります。
新築住宅の購入時だけでなく、リフォームなどで給湯器の交換をした場合でも、条件を満たせば補助を受けることができます。
補助額は給湯器の種類によって異なりますが、1台につき5万円~15万円です。
マンションの場合は1住戸1台までが補助されます。
補助対象 | 以下の高効率給湯器の購入またはリース契約。 〇 ヒートポンプ給湯機 〇 ハイブリッド給湯機 〇 家庭用燃料電池 ただし、商品が「省エネ法に基づくトップランナー制度における省エネ基準を満たす」必要がある。 |
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補助額 | ヒートポンプ給湯機器(エコキュート):1台につき5万円 ハイブリッド給湯機器:1台につき5万円 家庭用燃料電池(エネファーム):1台につき15万円 |
対象契約期間 | 2022年11月8日~遅くとも2023年12月31日まで |
対象着工期間 | 給湯省エネ事業者(住宅省エネ支援事業者)の登録以降 |
交付申請期間 | 2023年3月下旬~遅くとも2023年12月31日まで |
購入の場合は住宅の購入者、リフォームの場合は工事発注者が申請します。
ただし、リースの場合は給湯器の所有権を有するリース事業者が申請することになります。
販売事業者や工事の施工業者、リース事業者についての事業者登録が必要なため、補助金の申請を考えている場合は事前に相談をしましょう。
また、注意する点として、先ほどご紹介した「こどもエコすまい支援事業」とは併用することができません。
ただし、リフォームの場合で、エコすまい支援で給湯器が加算対象となっていなければ、「給湯省エネ事業」も申請できます。
その他の併用できない補助金や条件、予算に対する補助金申請額の割合などについては給湯省エネ事業公式ホームページをご確認ください。
先進的窓リノベ事業
「先進的窓リノベ事業」は、窓の断熱性能を高めることで、冷暖房の費用負担軽減やCO2排出量削減などを目指す事業です。
この事業はリフォーム(リノベーション)のための補助金制度なので、新築購入は対象になりません。
以前よりも高い断熱性能の窓にリフォームした場合、費用の2分の1相当額(定額)が補助されます。
工事内容に応じて補助額は決まっていて、上限は200万円となっています。
ここで注意していただきたいのが、マンションの窓は共用部分になりますので、窓のリフォームをするには管理組合の許可が必要です。
マンションの規約やリフォーム内容によっては、許可されない場合もあります。
ただし、内窓であれば個人で設置可能なこともあるようです。
まずはマンションの管理組合に相談しましょう。
補助対象 | 窓の断熱改修(リフォーム) |
---|---|
補助額 | 補助対象工事の内容に応じて定額 5万円~最大200万円まで |
対象契約期間 | 2022年11月8日~遅くとも2023年12月31日まで |
対象着工期間 | 窓リノベ事業者(住宅省エネ支援事業者)の登録以降 |
交付申請期間 | 2023年3月下旬~遅くとも2023年12月31日まで |
リフォーム事業者が申請して、補助額は住宅の所有者に還元されます。
リフォーム事業者の事業者登録が必要なため、補助金の申請を考えている場合は事前に相談する必要してください。
また、「給湯省エネ事業」と同様に、国の補助金とは併用できない場合があります。
請負工事契約が別であれば、併用可能なケースが多いです。
詳しくは先進的窓リノベの公式ホームページから確認しましょう。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は良質な住宅ストックの形成や子育てしやすい生活環境の整備等を目的とした補助金制度です。
中古住宅のリフォームが対象で、一戸建てだけでなく、中古マンションについても要件を満たせば対象となります。
工事費の3分の1が補助され、限度額は住宅性能によって最大100万円または200万円となっています。
中古マンションの場合、共用部分が評価基準に満たしていることが必要です。
そのため、この制度の一般的な活用ケースは管理組合発注のリフォームとなっています。
しかし、個人が住戸部分のみリフォームした場合でも補助の対象となることがあります。
2023年度分の「評価基準型」については、予算額に達したため終了しました。
「認定長期優良住宅型」は2023年5月26日現在も募集中です。
タイプの違いや条件など詳細については、こちらの資料をご確認ください。
また、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は工事前のインスペクションが必要です。
インスペクションについては以下の記事で解説しています。
自治体独自の補助金
自治体によっては、住宅取得時などに条件を満たしていれば補助金がもらえることがあります。
よくある補助金として、子育て世代が親世代と同居または近居し、住宅購入やリフォームをすると給付が受けられます。
補助金以外にも、特定の地方金融機関で住宅ローンを借りることで利子補給される自治体もあります。
今回は東京都千代田区の補助金制度をご紹介します。
東京都千代田区:次世代育成住宅助成
対象者 | ①親元近居助成 ● 区内に引き続き5年以上居住する親がいる新婚世帯または子育て世帯 ● 区外から区内への住み替えまたは区内での住み替え ②区内転居助成 ● 区内に引き続き1年以上居住している子育て世帯 ● 区内での住み替え |
---|---|
要件 | 世帯の年間所得の合計が、以下の範囲内であること 2人世帯:189万6千円~1,038万8千円 3人世帯:189万6千円~1,076万8千円 4人世帯:189万6千円~1,114万8千円 |
住戸面積 | 原則、住み替え前よりも面積が広くなる必要がある 2人世帯:30㎡以上 3人世帯:40㎡以上 4人以上世帯:50㎡以上 |
助成内容 | 世帯人数や親元近居・区内転居どちらの助成かによって異なる 親元近居で3人世帯の場合、1年目は月額5万円 区内転居で4人世帯の場合、1年目は月額4万円 |
助成期間 | 最長8年間または末子が18歳に達する年度 |
参考:次世代育成住宅助成
千代田区は毎年一定の金額が助成されますが、自治体によっては登記費用分の一部助成や、一定額を一度だけ給付する場合など様々です。
また、年度内に助成する世帯数が限られていて、先着順のこともあります。
お住まいの自治体に制度があるかどうか、事前に調べるようにしましょう。
2. マンション購入時の減税制度
次に、気になる税金の控除についてです。マンション購入時に利用できる減税制度を見ていきましょう。
マンション購入における住宅ローン減税
新築・中古マンション購入時に住宅ローンを利用する場合、要件を満たせば、一定期間所得税や住民税が控除されます。
控除額は住宅性能等によって異なり、新築マンションであれば最大455万円、中古マンションであれば最大210万円控除されます。
長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅など、省エネ性能が高い住宅の場合は控除額(借り入れ限度額)が大きくなっています。
なお、入居年によって借り入れ限度額が異なりますので注意してください。
住宅ローン減税については以下の記事で詳しく解説しています。
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
マンションを購入するときに、父母や祖父母から援助を受けるという方もいると思います。
マンションの購入時やリフォームをするときに父母や祖父母など直系尊属から贈与があった場合、要件を満たせば、一定額までは非課税になります。
財産を受け取ると、贈与税がかかります。
通常、直系尊属の父母や祖父母から財産を受けた場合は以下の税率がかかります(暦年課税)。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 0円 |
200万円超え~400万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円超え~600万円以下 | 20% | 30万円 |
600万円超え~1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,000万円超え~1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
1,500万円超え~3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
3,000万円超え~4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超え | 55% | 640万円 |
1000万円の贈与を直系尊属から受け取ると、177万円も贈与税がかかります。
通常の贈与税の計算式【直系尊属からの1,000万円の贈与】
1,000万円-110万円(基礎控除)×30%-90万円(控除額)=177万円
しかし、住宅購入時には要件を満たすことで省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの贈与は非課税となります。
元々この制度は2021年12月31日を期限とされていましたが、2023年12月31日まで期限延長されました。
- 住宅取得等資金に係る贈与税非課税の要件(一部)
- ● 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること
- ● 贈与を受けた年の年分の合計所得金額が2,000万円以下※であること
- ● 平成21年分から令和3年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと
- ● 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること
- ● 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること
- ● 専有部分の床面積が40㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること
- ● ①~③いずれかに該当すること
- ①建築後使用されたことのない住宅用の家屋
- ②建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、昭和57年1月1日以後に建築されたもの
- ③建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの
※床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額が1,000万円以下
父母や祖父母からマンション購入時に贈与がある場合は、必ず特例を利用しましょう。
なお、この特例を利用するためには贈与税の申告が必要です。
詳しい要件や申告方法については、税務署HPで最新情報を確認してください。
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固定資産税・登録免許税の減税制度
建物の固定資産税について、マンション購入後の5年間(認定長期優良住宅の場合は7年間)は2分の1減額されます。
固定資産税については以下の記事で詳しく解説しています。
また、マンション購入後には土地や建物の登記申請が必要ですが、申請時に支払う登録免許税についても以下の軽減税率が適用されます。長期優良住宅の場合は、さらに優遇されます。
登記種別 | 課税対象 | 税率 | 軽減税率 | 長期優良住宅 |
---|---|---|---|---|
土地の移転登記 | 不動産の評価額 | 2% | 1.5% | |
建物の保存登記 | 不動産の評価額 | 0.4% | 0.15% | 0.1% |
建物の移転登記 | 不動産の評価額 | 2% | 0.3% | 0.1% |
ローン抵当権登記 | ローン借入額 | 0.4% | 0.1% |
3.まとめ
今回の記事では、マンション購入時に使える補助金と住宅ローン・贈与税などの減税制度について解説しました。
各種制度の条件や優遇要件には「住宅性能」が関わっていることがほとんどです。
日本は省エネ性能が高い住宅取得を推進しているので、今後も性能が高い住宅の方が多くのメリットを受けることができます。
「住宅省エネ2023キャンペーン」は2023年に創設された補助事業ですが、2024年以降にも省エネ住宅向けの事業が新設される可能性は十分あるといえるでしょう。
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