建築家 碓井民朗の良識あるマンション指南毎月第二第四水曜日

[第567号]立地がイマイチの「 新規分譲マンション 」とは…。

2017年09月13日

碓井 民朗 ( うすい たみお )

今回は,私が建築家( マンション設計者 )として「 新規分譲マンション 」の立地がイマイチと思われる物件を,建築的見地からの見解をいつもの独断と偏見で大雑把に御説明致します。

まず,今回御説明致します「 新規分譲マンション 」の物件概要を簡略にお伝えいたします。

立地は東京都の隣県でローカルな私鉄沿線駅徒歩1分で,私鉄本線駅より徒歩3分ですので交通利便性は良いのです。

処が,私がイマイチと感じましたのは建物の直ぐ目の前が海なのです。

総戸数は約70戸強です。

住居専有面積約56平米強~90平米弱です。

住戸販売坪当たり価格は約280万円/坪だそうです。

構造・規模は鉄筋コンクリート造地上10階建てです。

事業主( 売主 )は準大手ディベロッパーです。

設計及び工事監理は中堅の設計事務所です。

その設計事務所が過去に,ある中堅ディベロッパーで「 新規分譲マンション 」の設計・工事監理をしていました時に,その中堅ディベロッパーより私に設計監修業務を依頼が有りました。

しかし,一緒に業務を致しましたら「 新規分譲マンション 」に対する価値観が,この設計事務所とは全く噛み合わなかった経験が有ります。

施工は埋め立て工事・護岸工事や防波堤工事を得意とする中堅ゼネコンです。

建物竣工予定は2018年7月中旬だそうです。

さて,ここで本題の『 立地がイマイチの「 新規分譲マンション 」とは…。 』の御説明を致します。

先程も申し上げました様に,この「 新規分譲マンション 」の建つ敷地の直ぐ脇が海岸だからなのです。

物件のホームページ( HP )の配置図を見ますと,海がとても近いので塩害の恐れがかなり有る様に思われます。

塩害が予想される地域に建築する鉄筋コンクリート造の建物は,塩害対策を充分にされていませんと,コンクリートの「 ひび割れ 」が早期に生じる恐れが有ると,実例を挙げて建築物への塩害被害を専門とする研究者がセミナーでおっしゃっておりました。

その研究者の方がおっしゃるには,鉄筋コンクリートの表面には細孔( ほそい小さな穴 )が多数有り,その細孔から潮風に含まれた塩化物が侵入しコンクリートの「 ひび割れ 」が早期に生じるとの事です。

その結果,鉄筋コンクリート内部にあります鉄筋のサビの生じる時期が早まるそうです。

この物件の建つ位置は物件のHPを見て推察致しますと,海から近い箇所で約5メートル以内程度です。

海からかなり近いので,その様にならない為には外部鉄筋コンクリート壁の鉄筋の外側のコンクリートのかぶり厚さを最低70ミリ以上にするべきだと,先程の塩害の研究者はおっしゃられています。

処が,物件HPの「 構造 」の項目を見ますと上記の様になっていない様に思われます。

この「 新規分譲マンション 」,100歩譲って構造体の「 塩害対策 」は若干配慮されていると致しまして,購入者( 入居者 )が入居後に設置されるエアコンの屋外機が「 塩害対策 」されていませんと,早く傷みます。

屋外の給湯器も同様です。

更に,バルコニーには洗濯物を干しますと潮風で衣服が傷みます。

そして,万が一にバルコニーから洗濯物等を落としましたら,海の中に沈んでしまうでしょう。

この物件,ある不動産業界コラムを書いています記者A氏が「 ベランダから釣りができる? 」と揶揄していました。

今回も,私の独断と偏見の見解ですが,海岸線より最低でも100メートル離れた位置に「 新規分譲マンション 」の建物を建てて欲しいと思いました。

 

次回,このコラム568号は9月27日( 第4水曜日 ) に更新致しますのでお楽しみに…。

 

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