建築家 碓井民朗の良識あるマンション指南毎月第二第四水曜日

[第89号]「二重床」「二重天井」は必要最低条件-3

2006年08月29日

碓井 民朗 ( うすい たみお )

前回は「二重床」が「直床」(じかゆか)よりも遮音性が優れているお話をいたしましたが,今回は「二重床」がもうひとつの理由で「直床」よりも優れている事の御説明を致します。

「直床」の場合の給水配管はメーターボックスの下に有る「水道メーター」から立ち上げて外壁を上の方を貫通し,住戸内の天井裏に配管して通し,おのおのの水周りの所で立ち下げているのです。

この配管形式を設備設計者は俗に「鳥居型配管」と呼んでいます。神社の「鳥居」の形状と同じ様な配管から「鳥居型配管」と呼ばれる様になったと聞いております。

「直床」の場合は給水及び給湯配管は「鳥居型配管」でしかほとんど出来ません。

給湯器がメーターボックスやバルコニーに配置されている場合も給湯配管は「鳥居型配管」になります。

この「鳥居型配管」形式の設計は優秀な設備設計者は絶対に行わないと聞いております。

理由は「長期留守」(2週間以上位)にして水道やお湯を使用しない場合に給水管や給湯管に僅かながら「エアー」(空気)が混入する恐れが有るからです。

給水管や給湯管に「エアー」が混入すると設備機器に悪い影響が生じて良くありません。

まず,よくありますのが「ウォーターハンマー」現象です。「ウォーターハンマー」現象とは給水や給湯の蛇口を閉めた時に「カーン」とかなり大きな音を発生させる事を言います。

設備機器と配管や継ぎ手(管と管のつなぎ目)に悪影響を及ぼしますし,音も結構うるさいのです。夜中ですとこの音はかなり響きます。

更に「カラン」(水栓)や給湯器が「鳥居型配管」ではない形式よりも早く傷みます。

また,通常のマンションでは「ヘッダー」という機器が有ります。

この「ヘッダー」とは給湯器から台所,浴室や洗面脱衣室にでるお湯の圧力を同じ圧力にする為のもので,給湯器と給湯箇所の間に設置してあります。

「ヘッダー」が有りませんと給湯器から近い所はお湯の圧力が高くなり,遠い所はお湯の圧力が低くなってしまいます。

「直床」の場合はこの「ヘッダー」を天井裏に設置してありますので,調整が困難です。

「二重床」であれば「流し台」や「洗面化粧台」の床下に設置してありますので,調整がし易いのです。

これらの事や前回の「遮音性能」を考えれば,私が「二重床」は必要最低条件と言っている理由がお分かりになると思います。

次回は「二重天井」が何故「必要最低条件」かの理由をお話致します。

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