入居者に聞いた分譲マンション新基準
「バリューチェーン」が物件の価値を決める

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分譲マンション業界における顧客満足度の高い企業はどこかーー。 この答えはこれまで噂レベルでしかなかった。今回、この“謎”を明らかにしよう。 分譲マンションは日用品などの評価とは違い、「一生に一度の買い物」と言われる。それゆえに、購入物件しか知らないという人が多い。住み心地まで比較してどこの物件がいいと断言できる人など、業界関係者の一部に過ぎなかった。

今回、アトラクターズ・ラボ(東京都・千代田区、沖有人社長)の運営する住まいサーフィンが実施した2つのアンケート調査を通して、売り主、販売会社、施工会社、管理会社を評価し、その総括をした。住まいサーフィンは分譲マンション購入予定者向け会員制サイトとして2004年に運用を開始し、会員数13.7万人、既に購入した人も数万人に及ぶ。最もユニークなサービスはマンション評価でその数は4,000件を超える。

アンケート調査の1つは、実施した内覧会における顧客満足度調査。マンション購入者向けへの引渡し前に行われる内覧会、ここでの接客応対や施工状態が心象を大きく左右する。住まいサーフィンに登録していたマンション購入者のうち、内覧会に参加していた登録者862人に対して、施工に関する修正指摘箇所やその対応状況を聞いたものだ。

そして、もう1つのアンケート調査が入居者の顧客満足度調査だ。同じく住まいサーフィンに登録していた購入者のうち、既に入居している方619人に、管理業務に対する満足度や施工のアフター対応、商品企画の良し悪しとしての住み心地など、自分が購入した物件で経験したことをまとめたものである。

どちらもまとまった顧客実態経験の調査としては本邦初。入居者による評価を元にした満足度というところがポイントだ。これらを組み合わせて、売り主、販売会社、施工会社、管理会社を評価している。早速、結果を見てみよう。

売り主、販売会社は財閥系が強し

売主ランキング

売り主の顧客満足度1位は野村不動産で77.4点という高得点を獲得した。ブランド名「プラウド」シリーズは2003年に登場し、最も成功したブランド戦略として定着している。実際、野村不動産をベンチマークに戦略構築や業務改善を行っている同業他社も多い。

2位以下は三井不動産レジデンシャル、住友不動産、積水ハウス、三菱地所が僅差で続く。特に、1位と2位が売り主と販売会社が同一の製版一体であることは示唆に富む。販売現場をよく知り、商品企画にフィードバックされる仕組みが機能している。それが、要因の1つであることは想像に難くない。

5位までのうち4位までが財閥系総合デベロッパーであるのも企業カルチャーの違いを反映している。 後述するが、ビル事業などのストックビジネスを併せ持つ総合デベロッパーは顧客との信頼関係を大事にする傾向が強い。こうした会社のブランドは三井のパークホームズや三菱地所のパークハウスなど既に老舗ブランドとなり、知名度が高い。それゆえに、厳しいチェック基準を自らに課し、品質管理に注力している。

以下、最近「クレヴィア」というブランド名に変更した伊藤忠都市開発、「ブリリア」でブランド強化を図る東京建物、供給数1位を誇ってきた大京の「ライオンズ」と続く。

その一方、得点の低い売主はおしなべて商社系となっている。最下位は双日、次に丸紅で、上位との差は大きい。

販売会社にも同様の傾向が見られる

販売会社ランキング

上位5社のうち、販売会社が別会社は住友不動産販売のみ。これも製販統合が相乗効果を上げていると見ていいだろう。ブランド戦略を「コンセプトを決め、それを正確に顧客に伝えるコミュニケーション」と考えると、製販の一貫性が良好なコミュニケーションに結実し、効果を出している表れと考えられる。商品企画段階から販売部署との連携を取り、「買いたいと思う物件」を一体となって作っているので、販売する側の参画意識は強い。

その証拠に、中位以下の製販一体企業も総じて販社が売主よりも順位を上げている。

  • ● 大京 売主8位 → 販社4位
  • ● コスモスイニシア  売主10位 → 販社7位
  • ● フージャース 売主13位 → 販社8位
といった具合である。

売主別施工会社ランキング

また、ここでも商社系の顧客評価は低い。 売主評価点よりもかなり落としての順位争いには抜本的な見直しが必要に思われる。

事業主が利用している施工会社には大きな差は見られなかった。

事業主と施工会社の間には密接な関係は見受けられず、物件毎に利用している施工会社を売主毎に平均して結果を算出した。

最高点と最低点の差は10点以下で、僅差で引きめき合っている状況が見て取れる。

これは物件特性(タワー・免震技術・規模など)に応じて、ケースバイケースで適切に施工会社を選んでいることを表していると想定している。

本邦初の入居者が評価する管理会社ランキング

管理会社ランキング

次に、管理会社の評価を見てみよう。

入居者が居住物件の管理会社を評価した結果は本邦初となる。これまで管理戸数や資格者数のランキングはあったものの、入居者の顧客満足度調査はなかった。今回の調査結果によって、実質的な「いい管理会社」が判明したことになる。

1位は野村リビングサポートで2位を引き離しての結果となった。詳細な調査結果からは「管理費は安くはないが、管理サービスや修繕計画への信頼が高い」ということが判明している。コストよりもクオリティコンシャスな顧客像が浮かび上がる。ブランド力のある物件に住んでいる方は、その誇りや尊厳に呼応したサービスを求めていると言えるだろう。

一方、6位に入るコスモスライフは価格の安さが評価されている。マンションの立地や価格水準は都心から郊外まで様々である。入居者が求める水準に合わせたサービス提供やコスト負担という基本構造があり、これがマッチしている物件が評価されるということなのだろう。

最後に、このランキングでも上位は財閥系が占め、下位グループとのギャップは大きくなっている。新興系デベロッパーは規模が拡大するにつれ、管理会社を作ったものの、品質は売主以上に差がついているというのが現状である。

総合力こそバリューチェーン

総合力ランキング

以上、4つの評価を合計した各グループの総合評価を最後にしておこう。

合計点を見ると、1位野村不動産グループ、2位三井不動産グループ、3位住友不動産グループとなった。1位の野村不動産は売り主と管理で1位、販売会社で2位とどの分野でも高い評価となっている。三井不動産、住友不動産ともに、企画から販売、管理までのバリューチェーンが高く評価されている。

その一方、積水ハウスのように、売主は4位にもかかわらず、管理が12位といった会社もある。商社系のように、それぞれの点数が低いところも、総じて低い評価となった。

この事実を見てもわかるように、マンションデベロッパーが取るべき戦略は自ずと決まってきた、と言える。それは入居者が自社のファンとなり、支援してくれる味方となってもらうことである。

マンションにおけるブランド戦略は広告開始から入居まで長い期間におよび、永続していく。それを担う関係者も売り主に限らず、設計、施工、販売、管理と多岐にわたる。消費財メーカーがそうであるように、デベロッパーも「王道」と言えるバリューチェーンの顧客満足度向上なくして、会社の成長も存続もない。

マンションにおけるブランド戦略は広告開始から入居まで長い期間におよび、永続していく。それを担う関係者も売り主に限らず、設計、施工、販売、管理と多岐にわたる。消費財メーカーがそうであるように、デベロッパーも「王道」と言えるバリューチェーンの顧客満足度向上なくして、会社の成長も存続もない。

事業者を突き動かす背景

入居者と事業者側の接点は販売センターの訪問時や契約時、内覧時、入居時など特定の機会に限られている。そうであるがゆえに、過去においては「売ったら終わり」というスタンスで、アフターサービスに疎いデベロッパーも少なくなかった。今もそうしたマインドの中堅以下も多い。

こうなってしまうのは、契約形態が所有権移転で終了し、当面リピーターとならないためであるが、マンション業界は猛烈な逆風に見舞われており、そのような甘えの構造が許される市場環境にない。

分譲事業は「土地を買って、建物を建てて、売却する」というサイクルで行われる。出口である売却価格を最大化することが事業の成功を大きな要因となる。高く売れるだけの価格設定能力・販売力があれば、土地を仕入れる際に高値入札にて購買上の競争優位に立てる。特に恵まれた立地であるほど、高値設定能力の差が出やすいものである。そこで生まれてくるのが高く売るためのブランド戦略ということになる。

こうした事業者同士の競争だけでなく、外的圧力も環境変化のひとつだ。その最たるものがインターネットの普及である。ネット上では分譲マンション購入予定者のコミュニティが出来、活発な情報交換が行われるようになった。いわゆるCGM(Consumer Generated Media)と呼ばれる口コミ情報である。

リアルタイムで更新されていく物件掲示板や物件評価が共有されるようになった。それまでというのは、事業に精通したB(事業主)側と「一生に一度の買い物」をしようとする一見さんであるC(顧客)側とは情報格差が大きく、それを誰にも相談することなどできなかった時代が長く続いていた。

今では購入相談やFP相談や内覧会同行など、購入者を支援するサービスも一般化した。これらにより事業者側は煙たい存在が増えただろうが、牽制機能が働くことになったことも事実。こうした情報格差の解消と情報の透明性が進むことで、事業者は付け焼き刃的な対応では購入者の信頼が得られなくなっている。つまり、情報開示がフェアな競争を促しているということが実態として浮かび上がってくる。

まとめ

ベンチマークが明確になった今、いいところを取り入れ、追いつくように努力することが事業者には求められている。来年も同じ調査をするのなら、順位を上げた企業をクローズアップして高く評価したい。逆に下位に甘んじるようなら、市場からの退場を突きつけられても仕方ないように思う。

マンション販売数は未曾有の落ち込みを見せ、潜在的な需要自体しぼんでしまったかの感がある。そんな折、金融引き締めの影響もあり、分譲事業者の寡占化が進むことは必至である。厳しい淘汰の波が押し寄せている中で生き残るのは顧客にとって信頼おける優良な事業者であって欲しいものである。

また、入居者にとってもフェアな競争を享受できるようになることが望ましい。

マンション選びの決め手はいろいろあろう。立地がよかった、間取りが気に入った、価格が安かった、販売担当者を信用した・・・いろいろあれど、購入を決めるまでより入居後の方が長い。マンションの価値(バリュー)は実感そのものだ。実感とは感性・感情に届くものである。

商品企画から入居後の管理まで一気通貫で価値を伝えるバリューチェーンを紡いでいく努力がそこにはある。こうした価値は中古価格(資産価値)にも表れ、流動性を担保する(高く売れる)ことになろう。その時は、物件の実質的な価値は新築分譲価格ではなく、(購入価格ー売却価格)÷ 居住年数で評価される。実感と実質の両方の価値を見極めることが賢い入居者と位置づけられる。今回の事業者評価はそのようにご活用願いたい。

内覧会調査

調査時期:
2008/4/9〜2008/4/23
実施対象者:
「住まいサーフィン」の会員 新築マンション購入者の内、内覧会経験者
サンプル数:
862

ここでは、売主・販社・施工会社を評価
知り合いへの推薦度と会社への満足度の組み合わせで評価している

入居者満足度調査

調査時期:
2009/7/10〜7/16
実施対象者:
「住まいサーフィン」の会員 新築マンション居住者
サンプル数:
619

ここでは、売主・施工会社・管理会社を評価
知り合いへの推薦度と会社への満足度の組み合わせで評価している

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