神奈川県横浜市緑区の特徴を知る
神奈川県「横浜市緑区」の特徴 ― ニッポンの自治体 ―
江戸時代からの農産地は、その後JR横浜線沿線を軸として開発が進む
横浜市緑区は、横浜市の北西部に位置し、鶴見川とその支流の恩田川に沿って、東西に細長い行政区域だ。また地形は、鶴見川に流れ込む短い支流の流域にあたる緑豊かな丘陵地と、鶴見川が流れる低地で構成される。
神奈川県・横浜市緑区のマンション
2018年、神奈川県・横浜市緑区で販売された新築マンションは72戸、相場価格は不明。緑区内の中古マンション相場価格は2240万円~5180万円だ。
2019年1月現在、横浜市緑区の人口は、18万814人。総世帯数は8万927世帯だ。
1939年(昭和14年)に都筑郡(現在の緑区を含む。)が港北区に編入され、1969年(昭和44年)に田園都市地域及び、港北ニュータウン地域の人口増によって港北区の分区が実施され緑区が誕生した。さらに、1994年(平成6年)の行政区再編成で、現在の緑区、青葉区そして都筑区の一部に分かれた。
同区の総面積は25.42平方キロメートル。
江戸期より農業地帯で、明治期になり養蚕が興隆、横浜線開業で発展
江戸時代、緑区は主に農業地帯だったが、長津田エリアは大山道(現在の旧大山街道)が街道として賑わいを見せ、江戸時代後期には宿場町として栄えた。
明治以降に養蚕が盛んになり、1908年(明治41年)には、生糸を横浜港に運ぶための鉄道、横浜線が開通。中山駅と長津田駅が開業した。その後、1962年(昭和37年)に鴨居駅が、また周辺の土地区画整理にともない、1979年(昭和54年)に十日市場駅が開業した。そして、2008年(平成20年)に市営地下鉄グリーンライン(4号線)が開通し、中山駅に接続した。
JR横浜線の鴨居駅近辺から中山駅近辺にかけて工業施設が集まっており、トステムの工場や、白山ハイテクパークという研究開発施設の集積地には、ジャーマンインダストリーセンターやマクニカ、村田製作所やJVCケンウッドなどがある。
JR横浜線沿線で住宅地開発が進んだが、駅周辺の再開発に課題を残す
緑区内を横断するJR横浜線沿線では4駅を中心に住宅地や商業地が広がり、特色のある街並みが形成された。しかし、区画整理を実施した地域を除き、各駅周辺地区では、道路や駅前広場などの都市基盤施設の整備がまだ十分とは言えない。
また、主要な鉄道であるJR横浜線により、皮肉にも区内南北が分断されており、交差路はほとんどが踏切で、JR横浜線の沿線でもっとも踏切密度の高い地域だ。立体交差化による区内一体化や移動安全性の確保が課題。
同時に駅前繁華街におけるバスターミナルや道路が狭隘で、交通循環性確保、歩行者保護、防災性向上の側面から、計画的な再整備が必要とされる。
今後の都市計画道路の整備、市街地再開発事業などで、交通渋滞の解消や安全な歩行空間の確保など、交通環境の改善が必要とされる。クルマに依存した生活スタイルへの変化、幹線道路沿道への商業施設の立地などが要因となって、駅周辺の商店は厳しい経営環境にある。
しかし、生活を支える拠点として商店街の活性化が期待され、駅周辺の市街地として新しい街並みへ更新していく必要がありそうだ。緑区役所では、同区内の商店街・組合などの組織の枠を超えた多業種の若手経営者が集まり、勉強会や意見交換会など「若手経営塾」を開催している。
1960年代からは工業集積が進んだが、川沿いの市街化調整区域には果樹園が広がるなど、都市農業も盛んだった。また、丘陵地の市街化調整区域では、農地を維持しながら、大規模な公園の整備や市民の森の指定により自然豊かな環境を保全してきた。
公開日:2019.12.26著:吉田 恒道