櫻井幸雄が見たマンション市況&狙い目物件 狙い目マンションはこれだ!
新築マンションは好立地で高額化

不動産にはいくつもの「法則」がある。

都心部では平均坪単価1000万円(100m2で3億円という水準)という物件が現れ、武蔵小杉や横浜みなとみらい、浦和、国分寺といった郊外拠点エリアでは、坪単価330万円(70m2で7000万円という水準)を超える新築マンションが目立ち始めた。そんな価格で売れるのかな、と不動産のプロ達も疑問を抱く価格設定だが、いずれも販売は好調。世の中にはお金を持っている人が多いのだなあ、と驚く状況が生まれている。

「購入できるマイホームは年収の5倍まで」という目安からすると、7000万円の3LDKを購入するためには、1500万円近い年収が必要……となるのだが、ここに勘違いがある。「購入できるマイホームは年収の5倍まで」というのは、住宅ローンの金利が高かった(5%以上)昭和時代の話。金利が1%を切り、低金利政策がまだまだ続きそうな現在は別の計算方法をとるべきだろう。

現在の金利水準であれば、4500万円を借りたときの毎月返済金は15万円程度となる。これに頭金500万円を加えると、毎月15万円の返済で5000万円の物件を購入可能となる。年収600万円程度のファミリー世帯で、毎月13万とか15万円の家賃を払っている賃貸組は少なくない。その家賃をローン返済に回せば、5000万円のマイホームも夢ではない。年収600万円の人にとって、5000万円の物件は年収の約8.3倍だ。

昭和時代は「年収の5倍まで」とされたが、低金利の今は「年収の8倍まで」は大丈夫という声が現実に出ている。年収が600万円なら4800万円、年収が800万円なら6400万円……この計算によると、大手企業に勤める人、夫婦共働きの世帯であれば7000万円台の3LDKも射程距離ということなのだろう。

それでも、7000万円以上の3LDKを購入できるのは、やはり一部の人。5000万円、4000万円でも無理という人達は少なくない。そこで、今、起きているのは、新築マンションを検討しながら、同時に3000万円程度の中古3LDKを物色する人達だ。

この「中古もいいかな」という姿勢は、今後の日本で増えてゆくものと考えられる。なぜなら、それは国の基本方針でもあるからだ。

欧米は、以前から「中古主体」

日本は新築住宅が主体で、中古の取引が少ない。中古として売買されるより、それを取り壊して新築住宅として分譲されるケースが多い。つまり、スクラップ&ビルドが主体の社会だ。

これに対し、欧米はストック住宅の社会になっており、長持ちする住宅を中古で活用する人たちが多い。年間に取引される新築住宅と中古住宅の比率を出すと、日本が新築9に対して中古が1であるのに、欧米は新築が1か2で、中古が9か8……そのくらいの差がある。

これは、「質の良い住宅を造れない」証拠でもあり、「地球環境に負荷を与えることは先進国として恥ずかしい」とも考えられる。そこで、国は昭和の終わり頃から長持ちする住宅造りを推し進めてきた。実際に、長持ちする住宅が増え始めたのは21世紀に入ったころから。21世紀に入って15年が経つ今、日本国内にはストック住宅の資質を備える建物(マンション、一戸建て)が相当数蓄積されているわけだ。

日本は、欧米並みに「中古住宅を購入する人が多い」社会への転換が可能になっている。可能であるが、新築住宅を安く購入できるうちは、中古に目が向かない。誰だって、買えるなら新築がよいに決まっているからだ。

ところが、新築住宅の値段が高くなり、新築は一部の人にしか買えないもの、と認識されるようになったら、どうなるか。住宅購入者の目は自然に中古に向くだろう。

2020年東京五輪を見据えて、「都心部で3億円」、「郊外で7000万円以上」という物件が現れだした。これを契機に、「一般の人は無理をせずに中古でいいじゃないか」「お金に余裕がある人は新築を買えばよい」というマイホーム購入の欧米化が進行する可能性が高い。

しかし、今はまだ過渡期。高額な新築マンションが増えている一方で、まだ、価格を抑えて新築物件もある。その数は意外に多い。探せば、ここにも、あそこにも、という具合に、お手頃価格の新築マンションが見つかる。

このような状況はまだしばらく続くだろう。が、いつまでも続くとは限らない。土地の売り物が減っている現在、新築物件の総数が減ってきているし、お手頃価格のマンションも徐々に価格を上げだしているからだ。

割安な新築マンションを購入できる時期は残り少なくなっているのかもしれない。

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年間200件以上のマンション、建売住宅を見て回る住宅ジャーナリスト櫻井幸雄。実際に歩き、目で見て、耳で聞き集めた情報には、数字の解析だけでは分からない「生々しさ」があふれている。
 この新鮮情報を「住まいサーフィン・レポート」としてまとめて主要マスコミに配布。あわせて、住まいサーフィン上でも公開する。住まいサーフィン上ではレポートとともに、旬の狙い目物件も紹介。マンション購入のアドバイスとする。

住宅ジャーナリスト櫻井幸雄の経歴
1954年生まれ。1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。
以後、「マンション管理基本の基本」(宝島社新書)、「妻と夫のマンション学」(週刊住宅新聞社)、「儲かるリフォーム」(小学館)などを出版。
最新刊は「知らなきゃ損する!21世紀マンションの新常識」(講談社刊)。
テレビ朝日「スーパーモーニング」の人気コーナー「不公平公務員宿舎シリーズ」で住宅鑑定人としてレギュラー出演するほか、「毎日新聞」で、住宅コラムを連載中。「週刊ダイヤモンド」「週刊文春」でも定期的に住宅記事を執筆している。
◇ オフィシャルサイト:http://www.sakurai-yukio.com

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