2019年春から夏 櫻井幸雄が探した狙い目マンション 2019年春から夏 櫻井幸雄が探した狙い目マンション

2019年の春から夏にかけて購入可能なマンションのなかから、狙い目と評価される物件を私の視点からピックアップした。

リビオシティ川口元郷

日鉄興和不動産、東京建物

「リビオシティ川口元郷」は、今、注目のマンションである。

 駅徒歩5分で、価格は2400万円台から。全291戸の大規模で、オーナーズラウンジやパーティルーム&キッズルームなど共用施設が充実。ファッションブランドのBEAMSがオーナーズラウンジをデザインするなど複数の企業がコラボレーションして、洗練されたマンションをつくりあげる。

 魅力が多いため販売センターへの来場者数は900組。問い合わせ件数は1500件を突破。販売開始から4ヶ月100戸が成約している。

 人気の理由として、もうひとつ大きいのが3LDKが2400万円台からという価格設定にあるだろう。東京メトロ南北線の川口元郷駅から徒歩5分で、この価格設定は破格だ。ほとんど全額のローンを組んでも、毎月の返済金は6、7万円になるケースが多いはず。それなら、ファミリータイプの賃貸を借りるより、負担が軽いということになりやすい。注目する人が多いのは当然である。

 同マンションの価格が抑えられているのは、定期借地権方式であるからだ。

 一般の分譲マンションは、所有権分譲。それに対して、定期借地権方式は土地を一定期間借り、建物を所有する形態となる。

 定期借地権方式のマンションは、数が少ない。少ないが、爆発的な人気を集めることがある。それは、駅に近い、買い物便利、小中学校も近いなど好立地で、「こんなに安いの」と驚くような価格設定になることがあるからだ。「リビオシティ川口元郷」は、まさにその好例となる。

 好立地の定期借地権マンションが出てくる理由は、土地所有者の気持ちになれば分かりやすい。

 もし、自分が好条件の土地を持っていたら、と考えていただきたい。毎日のように「売ってください」「高く買いますよ」と言われるはずだ。しかし、すぐに手放すだろうか。長い目で見れば好条件の土地は間違いなく値上がりする。賃貸マンションやオフィスビルを建てれば末永く収益を生み出してくれる。

 「売るなんてもったいない」と思うだろう。売らずに活用することを考えるはず。その点、定期借地権方式のマンションであれば、いずれ土地は戻ってくる。だったら、活用してみようかと、考える。だから、条件のよい土地ほど、定期借地権方式のマンションになりやすいのだ。

 定期借地権付きマンションは、購入者にもいくつかの利点を生む。まず、所有権分譲のマンションに比べて安く買える。ローン返済が楽なので、その分、子どもの教育や家族旅行など思いでづくりにお金をまわすことができる。教育や思い出も、子どもに遺す財産だ。この財産には相続税がかからないし、相続争いも生じさせない。

 また、定期借地権マンションを相続した際には、建物分だけを相続するため、資産が圧縮され、相続税が軽減される効果もある。

 そして、借地期間が残っている間、マンションを売却することも貸すことも可能。住戸内のリフォームの自由(もちろん、違法なリフォームは不可)など長所が多い。

 対して、短所になるのは一般になじみが薄い方式なので、敬遠されがちであること。そして、土地を借りる期間が定められる点に不安を抱く人も少なくない。

 その期間は50年以上であれば、何年にしてもよいことになっており、初期の定期借地権マンションは「借地期間50年」のことが多かった。その場合、人生の最後の時期に家を失うおそれがある。これは不安だ。

 これに対し、「死ぬまで住み続けることができる」と安心できるのが借地期間を60年以上と定めた定期借地権付きマンションだ。

 「リビオシティ川口元郷」は、定期借地期間65年となっている。これなら、安心感が大きい。しかし、実際に定期借地権付きマンションを買った人の多くは最後まで住み続ける気はなく、次のように考えている。

 「都心への通勤が便利な場所なので、会社勤めしている間は住み続け、リタイアしたら、賃貸に出す。その賃貸収入で、次の家を買う」と。

 この方法をとると、“65年定借”であっても30年から35年くらいは賃貸収入が見込める。

 便利な場所なので、賃借人は入りやすいだろう。定借マンションだからといって、賃料が下がることはない。賃貸に出した後、定借マンションの持ち主は新居を探す。新居はリタイア後の住まいとなるので、便利な場所でなくてもよい。郊外とか地方都市でよいので、安く買える。返済期間が20年から25年程度のローンで購入できるだろう。ローン返済には賃貸収入をまわせばよい。

 この方法をとることで、定期借地の期間が満了しても家を失うことはなく、ある程度の財産を残すこともできる。だから、定期借地権付きマンションでも不安がないというわけだ。

 実際、これまで分譲された都心部の定期借地権付きマンションは、賃貸に出して高い家賃収入を得ているケースが多い。これから20年ごとか30年後になれば、さらに大きな家賃収入が期待できるだろう。

 そのように考える人が多いため、「リビオシティ川口元郷」は多くの人に注目され、そして購入されているのだと考えられる。

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住まいサーフィンレポートとは?

実際に販売センターを見て回り、マンションの「今」情報を提供
年間200件以上のマンション、建売住宅を見て回る住宅ジャーナリスト櫻井幸雄。実際に歩き、目で見て、耳で聞き集めた情報には、数字の解析だけでは分からない「生々しさ」があふれている。
この新鮮情報を「住まいサーフィン・レポート」としてまとめて主要マスコミに配布。あわせて、住まいサーフィン上でも公開する。住まいサーフィン上ではレポートとともに、旬の狙い目物件も紹介。マンション購入のアドバイスとする。

櫻井幸雄

住宅ジャーナリスト櫻井幸雄の経歴

1954年生まれ。1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。
以後、「マンション管理基本の基本」(宝島社新書)、「妻と夫のマンション学」(週刊住宅新聞社)、「儲かるリフォーム」(小学館)などを出版。
最新刊は「知らなきゃ損する!21世紀マンションの新常識」(講談社刊)。
テレビ朝日「スーパーモーニング」の人気コーナー「不公平公務員宿舎シリーズ」で住宅鑑定人としてレギュラー出演するほか、「毎日新聞」で、住宅コラムを連載中。「週刊ダイヤモンド」「週刊文春」でも定期的に住宅記事を執筆している。
◇オフィシャルサイト: http://www.sakurai-yukio.com