住まいサーフィンレポート2018年春-夏期 住宅ジャーナリスト櫻井幸雄が見たマンション市況&狙い目物件 住まいサーフィンレポート2018年春-夏期 住宅ジャーナリスト櫻井幸雄が見たマンション市況&狙い目物件

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地価公示も認めた「価格上昇」。割安感のあるマンションが人気上昇中。

大都市だけでなく、地方都市も地価上昇。

 3月27日に発表された平成30年地価公示で、全国的に地価上昇が続いていることが認められた。大都市圏での「地価上昇」は止まらず、地方都市へも拡大。地方都市では商業地の平均が26年ぶりに上昇したとしている。

だから、新築マンションが値上がりした……わけではない。そこが、今回の「地価上昇」の奥深いところだ。

確かに、20世紀までマンションの売れ行きは、地価上昇を引き起こした。「価格が上がっても、マンションが売れ、マンションブームとなる。その結果、地価が大きく上昇した」わけだ。

ところが、今回はマンションブームが起きていない。

ブームどころか、新築マンションの数が少ない。最盛期には、首都圏で年間8万戸以上発売されていた新築マンションが今は半減。4万戸前後まで落ちている。供給戸数が減っているため、たとえマンションの売れ行き好調だったとしても、地価を押し上げるまでの力はない。

地価上昇は別の理由で起きている。

その背景には、外国人の増加があるようだ。まず、外国人観光客が増えたので、消費も拡大。その結果、地方都市の商業地地価が上昇した。

「外国人の増加」による影響は、それだけではない。外国人観光客が増えるという意味だけでなく、外国人投資家が日本のマンションを買う動きでもない。これからの日本では、外国人の中長期滞在者が増加する。その影響が大きいと大きいという話である。

 

外国企業を呼び込むため賃貸とホテルの需要拡大

 今、日本政府と東京都は、外国人の滞在者を増やしてゆこうと考えている。それは、都心の数カ所にアジアヘッドクォーター特区を制定し、「5年間で500社以上の外国企業を誘致」するような外国人呼び込み策方向を打ち出している。

外国企業を誘致するためには、オフィスビルをさらに増やす必要があるし、外国人のための住居も必要だ。具体的には、新たな賃貸オフィスビルの建設、国際基準の賃貸マンション(家具付きのサービスアパートメントを含む)の建設、ホテルの建設が求められる。

この動きに呼応し、現在、不動産会社は分譲マンションの分譲だけでなく、オフィスビル、商業ビル、賃貸マンション、ホテルの開発・運営に積極的だ。

もともと、日本の新築マンション分譲は、先が見えていた。いつまでも、大量供給はできず、中古の取引がマイホーム取得の主体になる。現に、欧米ではマイホーム購入者の7割から9割は中古住宅を購入し、新築住宅を買う人はごく一部(国によって、割合が異なる)という状況が以前から続いている。

日本でも、中古マンションのストックが増えれば、新築マンションを大量につくり続けることはできなくなる……それは、不動産会社にとって自明の理だった。そこで、新たな道を探し続けていた不動産会社の前に、「外国人増加」政策で、オフィスビル、商業ビル、高級賃貸マンション、ホテルの方向に大きく道が開けた。

オフィスビル、商業ビル、高級賃貸マンション、ホテルは賃貸収益や宿泊料を稼ぐことができ、将来的にファンド等に売却するという出口も用意されている。分譲マンションとして販売するよりも、収益性は高い。だから、マンション用地として購入するときよりも高い値段で土地を購入できる。

オフィスビルや賃貸マンション、ホテルなどを建てる目的で、高い値段で土地が売買されるため、「マンションブームが起きているわけでもないのに、土地の値段が上がる」という現在の状況が生まれているわけだ。

その結果、「都心マンションは高くなりすぎた」ので、「それが売れなければ、地価は下がる」という予測は的外れのものとなる。

アジアヘッドクォーター特区の計画は、2020年東京五輪までの歩みであり、東京五輪の後も続いてゆく。歩みとともに、リニア中央新幹線が開通し、新東名高速道路が開通、首都高都心環状線が作り替えられるなど、インフラ整備も進む。

以上を考えるだけでも、「東京五輪まで不動産価格が上がり、その後下がる」という予測がひどく空虚なものに思えてしまう。

今、分譲マンションの売れ行きとは関係なく、大都市中心部の土地は上昇を続けている。そのことが、今回の公示地価で明らかになった。

この先、しばらくは土地価格の下落は考えにくい。だったら、割安物件がみつかる今のうちに新築マンションを買っておこう、と考える人が増えても不思議はない。実際、以前から販売を続けているマンションのうち、価格に割安感のあるマンションに検討者が増加。勢いよく売れ出したというケースが続出している。

今回のレポートでは、そんな割安感で再評価されているマンションを積極的に取り上げてゆきたい。

住まいサーフィンレポートとは?

実際に販売センターを見て回り、マンションの「今」情報を提供
年間200件以上のマンション、建売住宅を見て回る住宅ジャーナリスト櫻井幸雄。実際に歩き、目で見て、耳で聞き集めた情報には、数字の解析だけでは分からない「生々しさ」があふれている。
この新鮮情報を「住まいサーフィン・レポート」としてまとめて主要マスコミに配布。あわせて、住まいサーフィン上でも公開する。住まいサーフィン上ではレポートとともに、旬の狙い目物件も紹介。マンション購入のアドバイスとする。

櫻井幸雄

住宅ジャーナリスト櫻井幸雄の経歴

1954年生まれ。1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。
以後、「マンション管理基本の基本」(宝島社新書)、「妻と夫のマンション学」(週刊住宅新聞社)、「儲かるリフォーム」(小学館)などを出版。
最新刊は「知らなきゃ損する!21世紀マンションの新常識」(講談社刊)。
テレビ朝日「スーパーモーニング」の人気コーナー「不公平公務員宿舎シリーズ」で住宅鑑定人としてレギュラー出演するほか、「毎日新聞」で、住宅コラムを連載中。「週刊ダイヤモンド」「週刊文春」でも定期的に住宅記事を執筆している。
◇オフィシャルサイト: http://www.sakurai-yukio.com