住まいサーフィンレポート2020年夏-秋期 住宅ジャーナリスト櫻井幸雄が見たマンション市況&狙い目新築マンション

狙い目物件マップ 狙い目物件マップ

結局、コロナ禍で影響を受けなかった新築マンション市況。その理由は

住宅評論家 櫻井幸雄

予想を裏切る形で、売れ行き好調な新築マンション

 コロナ禍によるステイホームやテレワークが広まった今年の4月と5月、新築マンションの販売センターは、一部を除いて一斉に閉鎖された。当然ながら、その間、マンションは少ししか売れなかった。4月以前から交渉を行っていた客とだけ販売を継続していたからだ。

 販売活動を停止した新築マンションだけでなく、中古マンションも売り出し物件が激減した。

 自宅マンションを中古として売りたい人は一定数いたはずだ。が、「今、売ると、安く買いたたかれてしまうのでは」という不安があり、と売りに出す気になれなかったからだ。

 だから、マンションは新築も中古も4月と5月、一時休止状態となった。

 新築マンションの販売が再開されたのは、非常事態宣言が解除された5月25日以降だ。

 といっても、マンションは販売センターを開けた途端に、来場者がつめかける、というものではない。「再開します」とアナウンスして、来場者が集まりだすまで1週間から2週間はかかる。

 そのため、新築マンションの販売再開は、6月10日頃からと考えるべきだろう。再開直後から、来場者が増え始めた。その様子を見て、不動産会社各社は、販売開始するマンションの数を増やした。

 その様子は、不動産経済研究所が発表している新築マンション供給戸数の推移でも明らかだ。

 首都圏で6月に発売された新築マンション戸数は1543戸。緊急事態宣言下の4月が686戸、5月が393戸だったことと比べると、大幅な増加だ。

 さらに、7月の首都圏マンション販売戸数は2083戸となり、前月(6月)と比べれば、35%もの増加。それだけでなく、昨年同月比で7.8%の増加……7月だけをみると、去年より多くのマンションが売り出されたわけだ。

 多くの購入検討者が集まってくるのは、不動産会社にとっても予想外の出来事だった。

多くのマンションが売り出され、購入者も多い理由とは

 あなたはなぜ、この時期にマンションを購入しようと考えたのか。

 私は、マンション販売センターで出会った人たちに、ことあるごとに聞いてみた。その答えで多かったのは、
「もともと、マンションを買いたいと思っていたから」
というもの。そして、
「コロナ禍も、いずれ落ち着くでしょう。その先を考えたい」
という声も多かった。

 コロナ禍は、私たちの生活に変化を及ぼす大きな出来事となった。それでも、「マイホームを買う」という人生の計画を変えることはない……そう考える人が多かったわけだ。

 コロナ禍が収束し、元の生活を取り戻すまで、あと半年以上かかりそうだ。もしかしたら、1年、2年の長い道のりになるかもしれない。

 しかし、必ず収束する。収束したあとも、人生は続き、いずれマイホームが必要になる。だったら、これまで計画してきたマイホーム購入を断念することはない。そう考える人たちが、マンションの販売センターに集まってきた。

 さらに、新型コロナウィルスも怖いが、巨大台風も怖い、直下型大地震の心配もある、と大災害のリスクを気にする人も多かった。

 自然災害のリスクを考えたとき、鉄筋コンクリート造のマンションは、やはり安心感が大きい。いろいろいう人はいるが、マンション以外の木造住宅、賃貸アパートなどと比べると、鉄筋コンクリート造のマンションは安心感で勝っているというわけだ。

 もちろん、コロナ禍の現在、マンションを買う気になれないという人はいるだろう。マンションは災害に弱いと思い込んでいる人たちもいるはずだ。

 すべての人が「今、マンションを買うべき」と考えているわけではないが、「やっぱり、今、マンションを買おう」とする人たちもいる。その数は、想像される以上に多かった。それは、紛れもない事実だ。

 そして、「やはり、マンションを買おう」という流れは、今後も続くものと考えられる。

櫻井幸雄が探した狙い目マンション

2020年の秋から冬にかけて購入可能なマンションのなかから、狙い目と評価される新築マンションを私の視点からピックアップした。

東京都23区の狙い目新築マンション

  • アトラス築地(東京都中央区)

    旭化成不動産レジデンス
    物件の写真

    コロナ禍を経験し、再び注目度が上がっている都心駅近マンション。それは大手町や霞が関、虎ノ門などのビジネス街に、バスや自転車、歩いて通勤できる便利な立地のマンションだ。東京の中心地に立地するマンションならば、混雑する電車に乗る時間も短く済み、電車に乗らなくても済む人もいるだろう.........

  • SHIROKANE The SKY 白金ザ・スカイ(東京都港区)

    東京建物ほか
    物件の写真

    JR山手線に内側、純粋な都心部と呼べる港区内に建設される大規模マンションが、「SHIROKANE The SKY(以下、白金ザ・スカイ)」だ。事業主は、東京建物、長谷工不動産、住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャル。日本を代表する大手不動産会社が一堂に会し、総戸数.........

  • Brillia Tower有明 MID CROSS・ブリリアタワー有明ミッドクロス(東京都江東区)

    東京建物
    物件の写真

    湾岸・有明エリアには、東京建物のマンションブランド名「ブリリア」の名を冠する大型マンションが3つ建っている。2008年に完成した「ブリリアマーレ有明タワー&ガーデン」、2011年に完成した「ブリリア有明スカイタワー」そして、2015年に完成した「ブリリア有明シティタワー」だ。「ブリリア.........

  • シティタワーズ東京ベイ(東京都江東区)

    住友不動産
    物件の写真

    ウィズコロナで注目を高めているのが、23区内のマンション。それも、「緑が身近」で「生活便利」「都心への通勤が楽」という特性を備えるマンションだ。この条件を満たすマンションとして、夏以降、急激に検討者が増えているのが「シティタワーズ東京ベイ」。この7月、販売センターへの来場者数.........

  • シティテラス金町(東京都葛飾区)

    住友不動産
    物件の写真

    ウィズコロナで、注目を高めているのが、公園などの緑が身近で、しかも生活利便性が高く、都心への通勤が便利な場所のマンション。そして、ゆとりある広さの3LDKや4LDK……そのような条件を満たす新築マンションを山手線内側の超都心エリアで探すと、とんでもない価格になる。その点、山手線外.........

  • リビオシティ西葛西親水公園(東京都江戸川区)

    日鉄興和不動産
    物件の写真

    「リビオシティ西葛西親水公園」は、「ウィズコロナ」の暮らしが模索され始めた夏以降、注目度がさらに上がり、休日は販売センターの予約が取りにくい状況が続いているマンションだ。ウィズコロナで人気が上がった理由は、「リビオシティ西葛西親水公園」の立地特性にありそうだ。具体的には、緑が.........

  • シティテラス新小岩(東京都葛飾区)

    住友不動産
    物件の写真

    東京駅を起点にして約9㎞。大井町駅や中野駅とほぼ同じ距離に位置するJR総武線新小岩駅、快速も停車する同駅から徒歩3分に建設されるマンションが「シティテラス新小岩」だ。新小岩駅の知名度は、大井町駅や中野駅よりも低いだろう。しかし、その便利さは引けを取らない。まず、JR総武線快速の.........

神奈川県の狙い目新築マンション

  • ライオンズ横濱瀬谷ステーションスクエア(神奈川県横浜市)

    大京
    物件の写真

    「ライオンズ横濱瀬谷ステーションスクエア」は9月下旬からモデルルームの公開が始まったばかりのマンション。そして、販売センターが開く前約2ヶ月間で資料請求が1000件を超えたマンションでもある。総戸数が144戸の規模で、1000件を超える資料請求が来るのは珍しい。極めて注目度が高い.........

千葉県の狙い目新築マンション

  • シティテラス八千代緑が丘ブリーズコート(千葉県八千代市)

    住友不動産
    物件の写真

    緊急事態宣言の解除以降、販売センターへの来場者が1月、2月の水準に戻った、というマンションが多い中、1月、2月よりも来場者が増えているのではないか、と思われるのが「シティテラス八千代緑が丘ブリーズコート」。千葉県八千代市で、駅からグランドエントランスまで歩いて3分という駅近で.........

バックナンバー

2020
2019

住まいサーフィンレポートとは?

実際に販売センターを見て回り、マンションの「今」情報を提供。
年間200件以上のマンション、建売住宅を見て回る住宅ジャーナリスト櫻井幸雄。実際に歩き、目で見て、耳で聞き集めた情報には、数字の解析だけでは分からない「生々しさ」があふれている。
この新鮮情報を「住まいサーフィン・レポート」としてまとめて主要マスコミに配布。あわせて、住まいサーフィン上でも公開する。住まいサーフィン上ではレポートとともに、旬の狙い目である新築マンションも紹介。マンション購入のアドバイスとする。

住宅ジャーナリスト櫻井幸雄の経歴

櫻井幸雄の顔写真

1954年生まれ。1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。
以後、「マンション管理基本の基本」(宝島社新書)、「妻と夫のマンション学」(週刊住宅新聞社)、「儲かるリフォーム」(小学館)などを出版。
最新刊は「知らなきゃ損する!21世紀マンションの新常識」(講談社刊)。
テレビ朝日「スーパーモーニング」の人気コーナー「不公平公務員宿舎シリーズ」で住宅鑑定人としてレギュラー出演するほか、「毎日新聞」で、住宅コラムを連載中。「週刊ダイヤモンド」「週刊文春」でも定期的に住宅記事を執筆している。

オフィシャルサイト
http://www.sakurai-yukio.com