住まいサーフィンレポート2022年冬-秋期 住宅評論家 櫻井幸雄が見たマンション市況&狙い目新築マンション

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分譲マンションの主役が「都心」から「準都心」「近郊外」にシフト新しい時代のマンション選びとは

住宅評論家 櫻井幸雄

 首都圏で新築マンション価格が大きく上昇し、平均価格がバブル期を超えたとされる。2022年2月の首都圏の新築マンション平均価格は7000万円を超えたとされる。都心部ではなく、首都圏全体の平均値が7000万円以上なのだから、びっくりしてしまう。
 が、これは統計のアヤというべきものではないか。
 首都圏における新築マンションの発売戸数は大幅に減少しているため、都心部で高額のマンションが大量に発売されると、全体の平均値を大きく引き上げる現象が起きる。
 2022年は、23区内で高額のマンションが数多く販売され、首都圏全体の新築マンション平均価格が引き上げられてしまったのだろう。
 つまり、計算上、首都圏の平均マンション価格は7000万円を超えただけで、首都圏で販売されるマンションがすべて7000万円を超えているわけではない。
 実際には、東京23区内から外れれば、4000万円台と5000万円台の新築分譲マンションが多くみつかる。
 「もう買えない」と悲観する必要はないのだ。

まだまだ値上がりする、といわれるが……

 もうひとつ、悲観しなくてもよいことがある。それは、「マンション価格はまだまだ上がる」と言われていることに対して、だ。
 世の中、「不動産価格は上がる」という人が多くなった。2020年までは、「マンション価格はもうすぐ下がる」「まもなく大暴落する」という人が多かったことから考えると、真逆の状況だ。
 が、果たして、本当に上昇を続けるのだろうか。
 私自身は新築分譲マンションの最前線を取材して、「上がり続ける」に違和感が生じている。
 ただし、「これからは、下がる」とか「暴落する」と感じているわけでもない。
 上昇の勢いは弱まるのではないか。それが、実感だ。
 特に、都心の超高額マンション、具体的には80㎡程度で2億円を超える物件(坪単価800万円以上)は、今までのように上がり続けることはないだろう。一方で、下がる可能性も薄く、高値を維持すると思われる。
 そして、都心部の超高額物件は発売戸数が減る。発売戸数がさらに減ることで、高値が維持される側面もあるわけだ。
 対して、発売戸数が増えると予想されるのが、準都心と近郊外のファミリー向け物件。つまり、4000万円台、5000万円台の物件が増える。
 すると、首都圏の新築マンション平均価格は下降局面に入る。
 発売されるマンションの半分が都心物件で1億円近かったとき、平均値は大きく上がった。これに対し、発売されるマンションの半分が郊外物件となり、5000万円前後になれば、平均値は下がるという図式だ。
 一時期7000万円を超えた平均価格が6000万円台半ばや前半になれば、「マンション価格が下がった」と騒ぐ人もでてきそうだ。
 しかし、単純に下がったとはいえない。主力商品の価格帯が変わっただけ、という可能性が高いからだ。

じっくりマンションを見定めて購入を決める時代

 今後、準都心や近郊外のマンションが売れるようになれば、それは実需層(自分で住む目的でマンションを買う人たち)が動いている証拠となる。
 実需層は価格と住み心地重視なので、駅から離れた立地でも、価格が安く、スーパーマーケットや小中学校が近いなど生活しやすい条件があれば人気物件になる。
 そして、どんな立地、どんな設備を好むかは人それぞれ。選択基準が均一ではないため、人気物件がパターン化しにくい。
 実需層は今住んでいる場所の近くでマンションを買う傾向も強いため、しばらく新規物件が出ていない場所で久しぶりに新築マンションが登場すると、多少価格が高くても人気になりやすい。それも、実需層が好んで購入するマンションの特徴となる。
 投資目的でマンションを買う人が多くなると、人気物件はパターン化しやすい。都心物件や郊外駅近物件ばかりが人気を集めるし、これに再開発が絡むと、人気はさらに上がる。
 実際、2013年以降、都心部を中心に便利な場所のマンションが勢いよく売れて、郊外で、駅から離れた場所の新築マンションは人気が下がった。不便な場所のマンションなど買うべきではない、という投資目線の意見に押されて、購入をためらった実需層もいた。
 しかし、「駅から離れるが、住み心地のよいマンション」はコロナ禍をきっかけに再評価されるようになった。
 今は、準都心や近郊外に建設される実需層向きマンションが人気を高めている。そのなかには、駅から徒歩15分以上のものもある。実需層がマンションを買うと、人気物件の幅が広がる。
 堅実にお金を貯めてマイホームを買おうとする実需層は、東日本大震災の後でも住宅購入計画を放棄することはなかった。
 ロシアのウクライナ侵攻で世界的に不安が広がる現在も、実需層は堅実な計画を基にマンション購入に動く。都心マンションばかりが脚光を浴びた時代から、準都心・郊外マンションにもスポットが当たる時代が始まった、という側面もあるわけだ。
 準都心・郊外マンションは、投機的な買い方をされないので、人気が高まっても価格の急上昇は起きない。だから、じっくり検討して、後悔のない物件を選ぶことができる。そういう時代になってきたと考えられるのである。

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住まいサーフィンレポートとは?

実際に販売センターを見て回り、マンションの「今」情報を提供。
年間200件以上のマンション、建売住宅を見て回る住宅ジャーナリスト櫻井幸雄。実際に歩き、目で見て、耳で聞き集めた情報には、数字の解析だけでは分からない「生々しさ」があふれている。
この新鮮情報を「住まいサーフィン・レポート」としてまとめて主要マスコミに配布。あわせて、住まいサーフィン上でも公開する。住まいサーフィン上ではレポートとともに、旬の狙い目である新築マンションも紹介。マンション購入のアドバイスとする。

住宅ジャーナリスト櫻井幸雄の経歴

櫻井幸雄の顔写真

1954年生まれ。1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。
以後、「マンション管理基本の基本」(宝島社新書)、「妻と夫のマンション学」(週刊住宅新聞社)、「儲かるリフォーム」(小学館)などを出版。
最新刊は「知らなきゃ損する!21世紀マンションの新常識」(講談社刊)。
テレビ朝日「スーパーモーニング」の人気コーナー「不公平公務員宿舎シリーズ」で住宅鑑定人としてレギュラー出演するほか、「毎日新聞」で、住宅コラムを連載中。「週刊ダイヤモンド」「週刊文春」でも定期的に住宅記事を執筆している。

オフィシャルサイト
http://www.sakurai-yukio.com