●●●元気な商店街「武蔵小山商店街パルム」のすぐ近所
東急目黒線は「目黒駅(東京都品川区)」から、不動前駅、武蔵小山駅、西小山駅、洗足駅、大岡山駅、奥沢駅、田園調布駅、多摩川駅、新丸子駅、武蔵小杉駅、元住吉駅を経て、「日吉駅(横浜市港北区)」まで約12キロの区間を走ります。
このうち「武蔵小杉駅」(川崎市中原区)の周辺はタワーマンションが林立する街として有名ですが、「武蔵小山駅」(東京都品川区)の周辺でもタワーマンションの建設が始まっています。
武蔵小杉の略称は「ムサコ」ですが、武蔵小山の略称もまた「ムサコ」。何だか混同しそうです。
最初に、品川区が「まちづくりビジョン」に基づいて作成した、「武蔵小山駅周辺地域の街並み誘導指針」から引用した1枚の図を見てください。
図の左側が北西の方向で、右側が南東の方向です。濃い灰色がすでに存在する中低層建築で、薄い灰色が将来建設されるかもしれない高層建築で、白色は建設中または計画中のタワーマンションです。
ここには、元気な商店街として知られる、約800メートルの長さがある「武蔵小山商店街パルム」も描かれています。パルム商店街という文字を読み取ることができましたか。
武蔵小山駅の周辺には現在、タワーマンションは見当たりません。しかし、近い将来、図に白色で描かれたようなタワーマンションが、姿を見せることになります。
皆さんはタワーマンションの高さが、主として航空法による高さ制限で決まることをご存知でしたか。武蔵小山駅周辺の高さ制限は約145メートルです。
すると、何階建てのマンションが建つのでしょうか。1階当たりの階高を3.5メートルとして、簡単な計算をしてみます。
145÷3.5=41.4
これを見ると、タワーマンションの高さは、41階建てになると予想されます。
●●●「武蔵小山駅」東口から徒歩1分
三井不動産レジデンシャルと旭化成不動産レジデンスは、今年11月下旬に、「パークシティ武蔵小山 ザ タワー」の第1期販売を実施しました。このマンションは地上41階・地下2階で、総戸数が598戸という大規模物件です。
約7500平方メートルの敷地は、「武蔵小山駅」東口からわずか徒歩1分の距離にあります。まず完成予想CGを見てください(完成予想CGはすべて三井不動産レジデンシャルの提供)。
敷地の中央にあるプラザ(広場)を中心に、北東側(画面左)に高さ41階のタワーマンション棟、南西側(画面右)に低層の商業施設棟が配置されています。
このCGを見ると、タワーマンション棟の高さが41階であることがよく分かります。
CGには描かれていませんが、手前(北西側)に武蔵小杉駅(地下駅)の地上出口があります。その出口から、マンション棟までは数十メートルの距離なので、「駅から徒歩1分」ということになります。
マンション棟の足元にある常緑樹の並木道を通って、建物の左隅(北側)にある角を曲がると、2階に上がるエスカレーターがあり、その少し先にエントランスがあります。
このCGはエントランスに上がるエスカレーターです。竹の群植が印象的ですね。
●●●「パークシティ武蔵小山 ザ タワー」の特徴
「パークシティ武蔵小山 ザ タワー」の特徴を列挙しましょう。
[1 武蔵小山駅前エリア再開発に伴う第1号プロジェクト ]
品川区の「まちづくりビジョン」に従って、駅周辺では複数の再開発事業が進行しています。本プロジェクトはその先陣を切りました。
[2 コミュニケーションおよび憩いの場となるプラザ(広場)を設置 ]
プラザには植栽を施し、パラソルやベンチを置き、イベントスペースも設けます。CGはその詳細です。
[3 商業施設をつくり、周辺道路を整え、公共用・商業用の自転車置場を地下化 ]
プラザを囲むように40以上の商業施設が誘致される予定です。CGは商業施設棟の屋上テラスから、プラザを見下ろした構図です。
[4 共用施設の充実 ]
マンション内にガーデンラウンジ、スカイテラス、パーティールーム、キッズルーム、フィットネスルームなどを用意します。CGは屋上のスカイテラスです。
[5 建築構造的な安心感 ]
強固な武蔵野礫層に支持された直接基礎形式で、しかも地震の揺れを吸収する免震構造になっています。地震が来てもまず安心です。
[6 住戸の開放感 ]
全住戸が開口部の広いワイドスパンで、天井高として260cmを確保しています。そのため開放感があります。
販売担当者の話では、モデルルーム来場者は東京都および神奈川県など広い地域から来ていて、品川区および目黒区という近隣2区の居住者は、3割強にとどまるということでした。
●●●第1期販売は11月下旬に実施
「パークシティ武蔵小山 ザ タワー」の第1期販売は11月下旬に実施されました。その概要は以下の通りです。
[ 総戸数598戸(地権者住戸121戸、事業協力者住戸16戸を含む)]
[ 総販売戸数491戸 ]
[ 第1期販売戸数204戸(総販売戸数の41.5%)]
[ 最低販売価格6750万円(47.08平方メートル)]
[ 最高販売価格2億6390万円(122.11平方メートル)]
[ 平均坪単価470万円 ]
大規模物件であるにもかかわらず、第1期販売戸数が総販売戸数の4割を超えたことは、この物件がモデルルーム来場者に支持されたことを物語っています。
販売担当者の話では、平均坪単価の470万円は第1期販売の数字であって、物件全体の数字は未定ということでした。
このCGは2階にあるエントランスホールです。
●●●東口エリアで進行する3件の再開発事業
武蔵小山駅の東口エリアでは現在、東京都品川区が作成した「まちづくりビジョン」に基づいて、3件の再開発事業が進行しています。最後にその概要を説明しておきましょう。「武蔵小山駅周辺地区開発連絡会」が発行する、「連絡会ニュース」第3号に掲載された、「再開発位置図」を引用します。
この図には、武蔵小山駅の東口で進行する、3件の再開発計画の位置関係が示されています。
1番は「武蔵小山駅前通り地区」で、住友不動産が分譲する41階建・約400戸のタワーマンションが中心になります。
2番は「武蔵小山パルム駅前地区」です。三井不動産レジデンシャルと旭化成不動産レジデンスが分譲する41階建・598戸の「パークシティ武蔵小山 ザ タワー」が中心になります。これは2016年に着工し、2020年1月に竣工の予定です。
3番は「小山三丁目第1地区」です。三菱地所レジデンスと新日鉄興和不動産が分譲するタワーマンションが中心になると思われれますが、詳細は不明です。
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細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。
建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。
著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。