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  • 2020.04.24
NO.277
東京都港区「新橋・虎ノ門」の特徴

虎ノ門ヒルズ周辺で進む大規模再開発「ToMoTo」

東京都港区「新橋・虎ノ門」の特徴とマンション

 新橋、虎ノ門、汐留の一部は、丸の内・霞ヶ関に連なる日本のビジネス街で、日本を代表する商業地区・銀座にも接する。サラリーマンの街として知られ、JR新橋駅日比谷口のSL広場は、テレビニュースなどでビジネスマンの声を拾う中継などで有名だ。

 「新橋」は、現在の新橋1丁目から新橋6丁目のエリアを指す。また、隣接する汐留(港区東新橋)地域を含めた地域全体を指すことがある。町名の新橋は、汐留川に架けられた現在の中央区銀座八丁目交差点南側(現在の博品館あたり)にあった東海道の橋「新橋」に由来する。

町丁名に「新橋」が登場するのは関東大震災後

 1872年(明治5年)に日本初の鉄道駅「新橋駅」を起点として開業し、新橋地区の武家地が新たに烏森町・日陰町などとして成立。駅が設けられて、港区側が新橋と呼ばれるようになった。現在のJR新橋駅は1909年(明治42年)に開業した烏森駅で、1914年(大正3年)に新橋駅が汐留駅に、烏森駅が新橋駅に改称された。

 1923年(大正12年)の関東大震災で地域は壊滅。震災復興において大規模な町名整理・変更が実施され、新橋地区にあった数多くの町名が消滅。新たに新橋1丁目から新橋7丁目が成立した。町名として「新橋」が登場するのはこのときが最初だ。

 一方、新橋駅から地下街で繋がる汐留は旧町名で現在の通称であり、正式な住居表示は東新橋1丁目ならびに東新橋2丁目だ。全般に高度高層オフィスビル群で構成される汐留街区だが、2002年に竣工した「東京ツインパークス」は、この街区で数少ない高層ツインタワーマンション(全1000戸)だ。東新橋1丁目10番に建つ47階建てマンション東側には首都高速の向こうに浜離宮庭園が拡がり、西側なら東京タワーなど都心の高層ビル群が望める抜群の借景を誇る。

 また、その汐留から新交通ゆりかもめでひとつ先「竹芝」駅と汐留の南側のJR「浜松町」駅の周辺では大規模な再開発が浜離宮恩賜庭園を望む恰好で進んでいる。
 竹芝埠頭周辺は海を隔て北東側に広大な浜離宮恩賜庭園が拡がる眺望に恵まれたエリアだ。浜離宮を活かした再開発は竹芝の対岸である築地でも計画が目白押しだが、このゆりかもめ沿線の竹芝でも、すでに竣工したパークコート浜離宮ザ・タワーに続き、イトーピア浜離宮建替え事業、都市再生ステップアップ・プロジェクト(竹芝地区開発計画)や2020年中の竣工を予定するウォーターズ竹芝「WATERS Takeshiba」事業などが進んでいる。

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「虎ノ門」は虎ノ門交差点附近外堀にあった江戸城の城門

 一方、「虎ノ門」は江戸城の現在の虎ノ門交差点附近外堀にあった城門の名前だ。皇居の周辺に数ある「門」のなかのひとつだった。江戸城の西に位置する虎ノ門は、西の獣神「白虎」にちなんだ名になったというわけだ。交差点に建つ文部科学省の地下に江戸城の石垣が残る。1874年(明治6年)に城門が撤去された後もその近隣地域の俗称として使われ続け、1938年(昭和13年)に開業した東京メトロ銀座線の駅名などで使われた。虎ノ門の名が正式な地名に初めて採用されたのは戦後の1949年(昭和24年)のことだ。

 現在、新橋1丁目から6丁目全域、虎ノ門1丁目から5丁目全域の通学区は、港区立御成門小学校だ。芝公園に隣接する港区立御成門小学校の世帯年収は、区立南山小学校、同本村小学校に次いで3位の1268万円とかなり高い。同小学校の歴史は旧く、その前身は1870年(明治3年)に当時の東京府が、初めて東京に設置した小学校6校のひとつである「東京府小学第一校」だ。

虎ノ門ヒルズ付近で進む「ToMoTo」計画

 2014年に開業した虎ノ門ヒルズは、森ビルが開発・運営を行う高層オフィスビル・森タワーを含めた4棟の高層ビル群の総称だ。「環状第2号新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業・街区」として東京都の施行、森ビルが特定建築者になって建設された。1946年(昭和21年)に最初の整備計画が決定された環状2号線は、用地買収の難航で着工できていなかったが、1998年(平成10年)に道路を地下化することで地元の合意を取り付け、着工に向けて動き出すことになった。道路上空に建築物を建てる画期的な手法「立体道路制度」を活用し、東京都施行の市街地再開発事業として環状第2号線の整備と一体開発された。

 この事業計画の最初の目的で事業の中核である環状第2号線の虎ノ門~新橋間約1350mは、2014年(平成26年)3月に開通した。この区間は地下に片側2車線の自動車専用道、地上に片側1車線の車道と歩道と自転車道が整備されている。なお、地上街路は「新虎通り」と呼ばれる。虎ノ門ヒルズの中核「森タワー」はその区間の西端部分に建設され、1階を道路が貫通する構造になっている地上52階・地下5階建で高さ247mの超高層ビルだ。

 虎ノ門ヒルズ、新虎通り、環状第2号線エリアは、ほかにも複数の計画があり、森ビルではこのエリアをToMoTo(TOMORROW'S TOKYO)と称している。今後、森タワーの北側にビジネスタワー、南側にレジデンシャルタワー、桜田通り直下の虎ノ門ヒルズ駅を挟んだ西側にステーションタワーのビルを建設中だ。

吉田 恒道

Yoshida Tsunemichi

大学卒業後、ファッション専門誌の編集者を皮切りに、音楽誌、自動車専門誌などの編集者を歴任。その後、複数のライフスタイル誌の編集長を経てフリーに。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

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