関西に大規模物件はそれほど多くないが、首都圏には数多くの大規模物件がある。例えば「今、旬なマンションランキング」の「200戸以上のマンション」内だけでも「SHIROKANE The SKY」（東京都港区、1247戸）、「ブランズタワー豊洲」（東京都江東区、1152戸）と1000戸超のマンションが２物件もある。
過去の分譲物件をウィキペディア（＊）で調べると、1980年以降に竣工した物件で1000戸を超える物件は全部で42マンション。その約半数は東京都23区内で19物件、うち2物件（「THE TOKYO TOWERS」（東京都中央区、2799戸）、「ワールドシティタワーズ」（東京都港区、2090戸））は2000戸超。他の首都圏エリアでも、東京都下１物件、神奈川県12物件、埼玉県4物件、千葉県4物件と1都３県で合計40物件もある。
一方関西2府3県ではどの程度あるか？というと、ウィキペディア上では２物件のみ（「サンマークスだいにち」（大阪府守口市、1163戸）、「タイムズピーススクエア」（大阪市城東区、1000戸））。なんと関西に大規模物件の少ないことか。
関東に比べて大規模物件が少ないからといって拗ねる必要はないが、ここまでマーケット規模に差があるかと驚いた人も多いであろう。が、このウィキペディアの一覧、少し抜けがある。以下「ウィキペディアに抜けている1000戸超物件」をいくつか紹介したい。
ローレルハイツ北天満（大阪市北区、14階建/1342戸）
1979年築のJR「大阪」駅から直線距離で２kmも離れていない都心部マンション。JR大阪環状線「天満」駅・大阪メトロ「天神橋筋六丁目」駅どちらへも徒歩5分程度で、周辺には「日本一長い商店街」として有名な天神橋筋商店街を中心に昔ながらのものから全国チェーンのお店まで新旧様々な商店、飲食店があるとても住みやすい立地。車移動の多い人なら「阪神高速守口線長柄出入口の横にある巨大なマンション」といえばわかりやすいかもしれない。
近鉄南港ガーデンハイツ（大阪市住之江区、14階建/1320戸）
1980年築、「ローレルハイツ北天満」と同じく1300戸超の超大規模マンション。「ローレルハイツ北天満」が都心の旧市街地であるのに対し、こちらは「南港ポートタウン」と呼ばれるニュータウン内に建つ。今年（2019年）6月、大阪の街がてんやわんやだったG20の会場（インテックス大阪）に隣接するエリアだ。本物件の周辺は公社、市営、公団等の集合住宅が密集する。本マンションは、今注目度の高い公立の小中一貫校「咲洲みなみ小中一貫校」の通学区域。同校の人気は高いが、通学区域内に居住している場合は必ず入学できる。
千里中央パークヒルズ（大阪府豊中市、15階建/1097戸）
1982年築、最寄駅は北大阪急行電鉄「千里中央」駅（徒歩11分）。マンション名を見ると千里ニュータウン内のマンションのように思えるが、ニュータウンエリアを外れた旧市街地に立地する。「千里中央」駅徒歩便であり、国道423号線いわゆる「新御堂筋」も近いため大阪（梅田、難波）へのアクセスはとても便利。北大阪急行電鉄/新御堂筋と直交するように走る大阪モノレール/中国自動車道を利用すれば大阪国際空港（伊丹空港）への移動も便利だあることから、周辺は出張の多いサラリーマンや転勤族にも人気が高い。
最近の「1000戸超マンション」はその多くがタワーマンションだ。そんななか、上記で紹介したような高層タワーではない、複数棟からなるマンション群はどこか懐かしい感じがする。大阪府下では、上記３物件以外にも京橋グリーンハイツ（大阪市都島区、15階建/1017戸）やアメリア（大阪府東大阪市、15階建/1003戸）などがある。また、地上5階建の箕面粟生住宅（大阪府箕面市、1180戸）や住道駅前住宅（大阪府大東市、1058戸）といったいわゆる「団地」もある。大規模であることのデメリット（意思決定がまとまりにくい）もあるが、世帯が多いことによるコミュニティ活動の活発化や大規模修繕時のスケールメリットなどプラス要素も多い。
このような大規模マンションは、たいてい立地が良い。また上記のような築40年前後ともなると周辺の築浅タワーマンションと比較して価格も相当こなれてくる。築年数は古いが利便性が高く価格が安い「1000戸超のマンション」。リノベーション等のストック住宅の活用が見直されているなか、面白い存在といえる。
参考サイト：
ウィキペディア「大規模マンション」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%A6%8F%E6%A8%A1%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
住友不動産「大規模ランキング」
https://www.stepon.co.jp/mansion_ranking/daikibo/osaka.html#ranking_start
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田中和彦
株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び（関西）」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。