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住まいサーフィン編集部

[第75号]南面キッチンのウソ・ホント:キッチン特集

2015年09月13日

南面キッチンというのは、住戸の南側に配置されるキッチンのこと。マンションをはじめとした集合住宅では、南側で日当たりのよい部分と、北側で日当たりはないものの窓があるので明かりがとれる部分、そして窓がなく、自然の明るさが届きにくい部分がある。

■「南面キッチン」って何がちがうの?

通常キッチンが設置されやすいのは、住戸の中央近くで窓のない部分。そのため、キッチンは閉鎖的な空間になりがちだ。「それは楽しくない」と考える人のために生み出されたのが、キッチンを南側に配置するアイディア。南側にはバルコニーを設置することが多いが、そのバルコニーに面して、日当たりのよい窓付きのキッチンが実現することになる。
バルコニーに面しているため、窓の代わりにガラス入りのドアを設置することもある。そのドアは、バルコニーに出るための勝手口となるわけだ。

■「南面キッチン」の長所は?

南面キッチンの長所は、いうまでもなく明るく開放的であること。窓や勝手口が付くため、風通しもよくなり、臭いがこもりにくくなる。
また、シンクや作業台に直射日光が当たると乾きやすい。つまり、いろいろな面で気分がよくなり、この快適さが最大の長所だ。

■「南面キッチン」に短所はないの?

「気持ちがよい」という長所に対して、南面キッチンには短所も少なからずある。例えば、直射日光が入りやすいキッチンだと、温度が上がり、食物が傷みやすくなる。
次に、南面にキッチンを配置する分、南に面する居室部分が減ってしまうこともある。例えば、本当だったら、LDと和室を南側に配置できるのに、キッチンを南面に置くため、LDとキッチンだけしか南側に配置できないという事態が生じてしまうわけだ。
さらに、キッチンを南面に配置すると、北側にある玄関から遠くなってしまうという弊害も生じがち。玄関から遠いため、重たい食品を運ぶ距離が長くなる。また、ディスポーザーがない場合、水気のある生ゴミを運び出すため、長い距離を持ち歩かなければならないという問題もある。
南面キッチンには、そういう弊害があることも覚悟しなければならない。

Author:櫻井幸雄 先生 (住宅ジャーナリスト)