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住まいサーフィン編集部

[第78号]「良い住まい」に必要なもの~風:よい住まい特集(第2回)

2015年12月19日

こんにちは、にこです。
前回は、「良い住まい」に必要な「光」についてお話いたしました。
今回は、「風」の大切さについて解説いたします。

なぜ「風」が良い住まいには大切なのか?

風通しの良い家を考える

■気持ちの良い朝は、風と共に

前回の日当たりと同様に、家を建てようとするときには「風通しの良い」家にしたいと考える方は多いと思います。朝起きたときに窓を開けると、心地よい風が通り抜ける~誰しも憧れるシチュエーションではないでしょうか。

では、なぜ「風」が良い住まいには大切なのでしょうか?
理由は大きく分けて2つあります。

■風が必要な理由その1

ひとつは、「風」の通る家は涼しいということです。
地球温暖化の影響で、徐々に日本の気温も上昇しています。東京以南では真夏の外気温が35℃を超えることも珍しくなくなってきました。
このような時に心配なのは、熱中症です。以前は熱中症というと炎天下の屋外でかかるもの、という印象が強かったですが、現代の熱中症は家の中でも起こるのです。実に熱中症の3分の1程度は屋内で発症しています。風通しの悪い家は熱と一緒に湿気がこもりますので、家の中は熱帯地方のような高温多湿の環境となります。普通に家にいるだけなのに熱中症になる危険性が非常に高いのです。
エアコンを使用すれば少しは環境が改善します。しかし特に高齢者はエアコンの冷風が苦手という方も多く、また昨今の省エネに対する意識の高まりからもエアコンを使用しないご家庭もかなりあると伺います。その場合、風通しの悪い家では熱と湿気がこもってしまうのです。

■風が必要な理由その2

もう一つの理由は、風通しが良い方が湿気も抜けやすいということです。
昔は家自体の気密性が低く、窓を閉めていても最低限の風が流れていたものですが、現代の家は戸建て・マンションに関わらず非常に気密性が高いです。気密性が高いということは、熱も湿気も漏れにくくなるということです。きちんと空気の入れ替えができていないと、家の中でカビや雑菌、シロアリなどが繁殖しやすくなります。第1回でも少しお話ししたとおり、家の中のカビや菌が原因となる病気は数多くありますし、アレルギーの原因となるホコリやハウスダストも溜まりやすくなります。風通しが悪いということは、直接健康を害する可能性もあるのです。
また風通しが悪く土台が腐ったり、シロアリが住み着いてしまった家は、当然ながらメンテナンスのコストが余計にかかります。風通しの良い家は、丈夫で長持ちします。「風」の通る家はお財布にも優しい家なのです。お財布に余裕ができると、良い食材を購入したりすることもできて、さらに健康に良い暮らしが望めますよね。

いかがだったでしょうか?
「風」が通る家は、健康にもお財布にも優しい家なのです。あなたの家造りのお役に立てれば幸いです。
次回は「空気」の大切さについて解説いたします。

Author:にこ 先生 (医学博士)

  • 1999年 某大学医学部卒業、医師免許取得 大学病院勤務
  • 2000年 某大学大学院医学研究科入学、同年長男を出産
  • 2004年 大学院修了、医学博士号取得
  • その後、民間病院勤務を経て
  • 2013年より某地方都市の市立病院内科に勤務、地域医療に携わる。
  • 「健康寿命を延ばすこと」をテーマに診療および執筆活動を行う。
  • ※ご提供いただいている記事は あくまでもにこ先生個人による見解です。