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住まいサーフィン編集部

[第136号]嫌われる施主のパターンから学ぶ上手な住まいづくり:建築士が語る住まいづくり特集

2017年01月01日

住まいづくりには、いろいろノウハウがあります。ハウツー本も数多く出ていますが、どれも頭では理解できても、なかなか行動につながるまで行きません。今回は営業マンから嫌われる施主のパターンという反面教師的な視点から、上手な住まいづくりを考えてみましょう。その方が頭に入りやすく、行動に移しやすい側面があります。戸建てを建てる時の想定ですが、新築マンション購入や中古住宅・マンションを購入する場合にも応用できます。何よりも、住まいの取得への心構えとは何か、ということが見えてきます。

しっかりと人生設計をしたうえで、考えをまとめ行動に着手しましょう。

自分の考えを具体的に説明できるまで、しっかりまとめる

営業マンが嫌う施主のタイプをみれば、住まいづくりのノウハウが見えてくる?

住まいを建築する場合は、多くの方々が住宅展示場に出向きます。中古のマンションや戸建て住宅を購入する場合も不動産会社に出向くと思います。そこには営業マンが存在します。顧客側の目的は価格や建物の性能、立地条件、間取りなどであり、営業マンは関係ないでしょう。

しかし、扱う物が大きい分、営業マンも通常の商品のように大量に売るというわけにはいきません。一つ一つの物件を大切にします。意外かもしれませんが、その物件をどの顧客に紹介するか、今月はどの顧客に集中するかは、かなり真剣に考えているのです。つまり、上手に良い物件を見つけるには、営業マンに選ばれる顧客になることが大切なのです。
新築マンションでも、抽選でなく先着順の場合、気に入った部屋が先約ですべて埋まってしまっている場合など、キャンセル物件などの情報を誰に最初に伝えるかは、営業マンの采配次第ではないでしょうか。
我が家は抽選で、残念ながら当選しませんでしたが、キャンセル物件で無事に希望のタイプに入居できました。

人生設計や家づくりの目的・要望がきちんと整理されておらず、コロコロ要望が変わる

半信半疑でよい仕事はできません。営業マンも全力投球できる施主に力が入るのは当然です。無駄な時間がかかるのを営業マンは一番嫌います。

地に足がつかず、いつまでも夢ばかりが先行する

夢は大切。でも地に足がつかない夢だけでは家は建ちません。夢を実現できる方法を見つけていくことが大切です。

きちんと説明しても、自分に都合の良いことだけが耳に残る

プロとのキャッチボールが不得手ということは、自分自身で客観的に考える作業が不足しているということです。毎回の打ち合わせ内容と合意点を議事録として残していかないと、とんでもないことになる顧客も現実として存在するのです。

契約までは無料なので、必要以上に何度もやり直させる

とことん納得するまで手直しするのと、いい加減に考えてプランや予算が決まらないのは全く別の問題です。

「自分は素人なので」とやるべきことをやらない施主

まかせっきりでも、住宅メーカーはある程度水準以上の家が完成しますが、後でこだわり箇所を主張しても遅いのです。住まい作りでは施主はプロをコントロールするプロデューサーでなければなりません。やるべきこと満載なのです。物件選びの場合は、本気度を疑がわれて後回しにされます。

人を信頼しない施主

何事も疑問を持ってしっかり確認することは大切です。とことん納得できるとこまで確認等の努力をしないと、いつまでも疑心暗鬼の状態が続きます。また、はじめから疑って係ったのでは、上手くいかないのは当然です。

家族の意見がバラバラ

いろいろな意見はあって当然。本音で考える情熱がないと、まとまっていきません。家づくりの情熱は営業マンに伝染する。不熱心も同様です。

得する施主とは?

上記の嫌われる顧客像を読んでどう思われたでしょうか。「要望をまとめて取り掛かる」は、ごく当たり前の注意点ですが、営業マンがなぜ考えがコロコロ変わる人を敬遠するかを考えれば、よりしっかり心に残ります。なぜ敬遠されるかを理解して、嫌われる顧客の反対を行けばよいのです。何千万円の投資なので、真剣さが大切なのです。

  • 1. きちんとした人生設計が大切。その上でどのような住まいが必要かを明確にする
  • 2. 自分の考えを具体的に説明できるまで、しっかりまとめる
  • 3. 営業マンや周囲のプロとのコミュニケーション能力を高める

住まいの取得は真剣勝負です。まずはしっかりと人生設計をしたうえで、考えをまとめ行動に着手しましょう。具体的な動きには相手がいます。相手を上手に利用できないと、よい住まいを取得できることはありません。

Author:佐藤 章子 先生 (一級建築士・CFP・一級FP技能士)


写真提供:佐藤章子

一級建築士として、大手ゼネコンや住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事し、2001年に独立。2002年に『住まいと暮らしのコンサルタント事務所』ハウステージを設立。
「健全な住まいづくりは、健全な生涯設計に宿る…」をモットーに、ファイナンシャルプランニングと建築のハード面の双方から、住まい作りや暮らしを総合的にアドバイスしています。