細野透の「赤信号・黄信号・青信号」不定期

[第15号]日経産業新聞が「二つ星★★」を付けた「シティタワー大井町」

2018年05月25日

細野 透 ( ほその とおる )

日経新聞グループのビジネス総合紙『日経産業新聞』


 分譲マンションのプロ、すなわち不動産会社でマンション用地の仕入れ、企画、品質管理、販売などを担当する人たちが、最も熱心に読むメディアは『日経新聞』であり、次に『週刊ダイヤモンド』『週刊東洋経済』であるとされています。

 最近その中に、日経新聞グループのビジネス総合紙『日経産業新聞』が加わりました。例えば今年1月以降、次のような記事が掲載されています。

 【1月12日──パワーカップル、厳冬市場の熱源】
  マンション共働きで購買力
  不況の業界、照準絞る

 【2月22日──住不タワマン、土台はビル賃貸】
  新築マンション供給でV4
  用地「育てる力」生む

 【3月28日──駅近合戦、用地「開墾」】
  首都圏マンション、時・金かけ仕込み
  売れる限界、徒歩8分

 このうち3月28日付の記事に注目しましょう。そこには、「首都圏の新築マンション上位30──将来価値格付け」と題する、興味深い一覧表が掲載されています。

 30件のマンションを「三つ星★★★」2物件、「二つ星★★」10物件、「一つ星★」18物件と3種類に格付けしているのです。

 この種の格付けは、『週刊ダイヤモンド』『週刊東洋経済』が得意でした。しかし、日経新聞社が乗り出したのですから、今後は『日経産業新聞』の影響力が強まっていくと思われます。

 ちなみに私は『日経産業新聞』に、新築分譲マンションを評価するコラムを定期的に寄稿しています。

 

「シティタワー大井町」は駅から4分のタワーマンション

 
 本コラムで既に取り上げた、[第9号]「ザ・タワー横浜北仲」は、「日経産業新聞──将来価値格付け」で「三つ星★★★」でした。

 また、[第10号]「パークシティ武蔵小山 ザ タワー」は「二つ星★★」でした。

 そして今回取り上げる、[第15号]「シティタワー大井町」もまた「二つ星★★」でした。その概要をまとめておきましょう。

【シティタワー大井町の物件概要】
 所在地─東京都品川区大井一丁目 
 交通─JR京浜東北線「大井町」駅から徒歩4分
    東急大井町線「大井町」駅から徒歩6分
 総戸数─635戸(非分譲住戸142戸含む) 
 完成─2019年7月下旬予定 
 敷地面積─6253平方メートル 
 規模─地上29階・地下1階 
 駐車場総台数─186台
 売主─住友不動産
 設計─日建設計 
 施工─西松建設 

外観見上げ
(外観見上げ。画像はすべて住友不動産の提供)

 

「住友不動産は退屈なマンションはつくりません」


 私はマンションを取材する場合、事前に「パンフレット」や「図面集」など関係資料を送ってもらって、時間をかけて読み込みます。このとき、強く印象に残ったキャッチコピーがありました。

「住友不動産は退屈なマンションはつくりません──」。

 ジャーナリストとしては、このキャッチコピーが本当かどうか、確認しなくてはなりません。

 取材の当日、まず最寄りのJR京浜東北線「大井町駅」で降り、マンションの建設現場を訪ねました。駅前大通を西に進むと2002年に完成したモダンな「住友不動産大井町駅前ビル」があり、そのすぐ裏手(南側)に建設現場があります。

「シティタワー大井町」の事業主は、「大井一丁目南第1地区市街地再開発組合」です。そして住友不動産はその地権者・参加組合員であると同時に、マンションの売主でもあるという立場です。

 すなわち、住友不動産は「大井町駅前ビル」の所有者として地元の信頼を得ていたからこそ、「シティタワー大井町」建設事業の推進役を委ねられたと考えられます。それなら確かに「退屈なマンション」をつくるワケにはいきません。

 住友不動産がいう「退屈なマンション」には、「地元のためにならないマンション」という意味もあるのではないか・・・。そう感じた上で、「シティタワー大井町」のモデルルームに向かいました。

 マンションのモデルルームは普通、マンションの建設現場の近くにあるのですが、住友不動産は「総合マンションギャラリー」という独特の方式を採用しています。

 これは複数のマンションのモデルルームを、首都圏の場合には新宿館、渋谷館、池袋館、秋葉原館、田町館、東銀座館、横浜館、武蔵小杉館の8個所に集約する方式です。

「シティタワー大井町」のモデルルームは、田町館(港区芝2丁目・住友芝公園ビル3階)にあります。その田町館で企画担当者、販売担当者、広報担当者から話を聞きました。

スカイラウンジ
(スカイラウンジ)

 

地域に対する配慮が感じられるマンション


 取材を通じて私が、「これは確かに退屈なマンションではない」と実感した点を、箇条書きにまとめました。総じて、地域に対する配慮が感じられます。

 (1)地域のランドスケープとしてふさわしい外観デザイン
 (2)建物の足元にある緑豊かなフォレストパーク
 (3)建物1階に複数の店舗を設けて賑わいを演出
 (4)建物1階に保育施設を設ける
 (5)建物1階に「地域用の防災倉庫」、集会室を設ける
 (6)シニア用の「見守りハピネス」サービスを導入
 (7)ネットスーパー受け取りサービスを導入
 (8)羽田空港の新航路に対応した防音サッシ・防音ガラスを設置

 これ以外にも、日本初と思われる「最新型のタンクレストイレ」、「UR都市機構計算方式によるエレベーター交通計算表」など、マンションに詳しい人ならニッコリするような話題もありました。

建物足元のフォレストパーク
(建物足元のフォレストパーク)

 

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細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。

 建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

 著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。

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