●●●北棟と南棟の2棟が並ぶ「ツインタワー形式」
分譲マンションとしては、「高さ(235m)」および「階数(65階)」ともに日本一で、「住戸数(約3200戸)」が平成以降では日本第二位という、「歴史的なタワーマンション」が東京都新宿区西新宿に建設されることになりました。
(1) タワーマンションは北棟と南棟の2棟が並ぶ「ツインタワー形式」です。
(2) 北棟・南棟ともに、高さ235m、階数65階です。
(3)「西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発事業」にともなって建設されます。
(4) 野村不動産、住友商事、東京建物、首都圏不燃建築公社の4社が手掛けます。
(5) 着工は2022年度、竣工は2029年度の予定です。
まず完成予想写真を眺めてみましょう。
(新宿超高層街の赤い点線で囲まれた位置に、2棟のタワーマンションが建設される。画像データはすべて野村不動産の提供)
(建物の敷地を空から見る)
●●●ウェブサイト「skyskysky.net」を活用
日本の超高層マンションについてざっと調べたいとき、どうすればいいのでしょうか。最も便利なのはウェブサイト「日本の超高層ビル(URLその1)」をチェックしてみることです。
URLその1 http://skyskysky.net/index.html
トップページの右側に見える、「渋い茶色のインデックス」に注目してください。そこには「日本の超高層ビル」「建設中・計画中の超高層ビル」「超高層ビル」「超高層ホテル」「超高層マンション」・・・、などの項目が見て取れます。
今回は、そのうち「超高層マンション・リスト(URLその2)」をクリックします。
URLその2 http://skyskysky.net/apartment-list.html
そうすると、「超高層マンション(高さ150m以上)──2019年竣工予定のマンションまで掲載しています」というページにたどり着きます。
同ページのランキングから、トップ3をピックアップしてみました。
1位─ザ・キタハマ(大阪市中央区)
高さ209.35m、54階、竣工2009年3月
2位─ザ・パークハウス西新宿タワー60(東京都新宿区)
高さ208.97m、60階、竣工2017年7月
3位─パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー(川崎市中原区)
高さ203.5m、59階、竣工2009年4月
これに対して、今回の「西新宿ツインタワー」は、高さ235m、階数65階なので、2029年度に完成すれば「堂々たる日本一」ということになります。
●●●「超高層マンション」と「住宅を含む超高層複合ビル」との違い
ここから先は、話が少しだけ、複雑になります。先ほど紹介したのは「超高層マンション・リスト(URLその2)」でした。
URLその2 http://skyskysky.net/apartment-list.html
実はこのランキングは、「建物の2/3以上を住宅として使用し、かつ高層階に住宅がある超高層ビル」を対象にしています。しかし、世の中には、この条件に当てはまらない超高層ビルが存在します。
例えば、「建物のうち数階だけが住戸階」という超高層ビルや、「建物の下部7割が住戸階で、上部3割がホテル階」などという超高層ビルです。
この種の超高層ビルは、「超高層マンション」とは呼ばずに、「住宅を含む超高層複合ビル」と呼ばれています。実際には、どんな例があるのでしょうか。
それを調べるために、「住宅を含む超高層複合ビル・リスト(URLその3)」をクリックして、トップ3をピックアップしてみました。
URLその3 http://skyskysky.net/apartment-list2.html
1位─虎ノ門ヒルズ森タワー(東京都港区)
高さ255.5m、52階、「虎ノ門ヒルズレジデンス」が入居
2位─アークヒルズ仙石山森タワー(東京都港区)
高さ206.69m、47階、「アークヒルズ仙石山レジデンス」が入居
3位─赤坂インターシティAIR(東京都港区)
高さ200.58m、37階、「赤坂AIRレジデンス」が入居
森ビルグループが、東京都港区に建設した超高層ビルが、1位と2位を占めていました。
●●●「高さナンバーワン」を巡る攻防
超高層マンション「高さランキングのトップ3」を、詳しく分析してみましょう。
1位「ザ・キタハマ」
54階、209.35m、竣工2009年3月
2位「ザ・パークハウス西新宿タワー60」
60階、208.97m、竣工2017年7月
3位「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」
59階、203.5m、竣工2009年4月
最初に竣工したのは1位の「ザ・キタハマ」で、2009年3月のことした。
しかし、それからわずか1ヵ月後に、3位の「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」が完成して、階数では59階と逆転してしまいました。「ザ・キタハマ」はさぞヒヤヒヤしたことでしょうね。
さらに2017年には、「ザ・パークハウス西新宿タワー60」が、分譲マンションとしては初の60階台に到達。それに加えて、高さも「ザ・キタハマ」まで、わずか38cmの差にまで追い上げました。
これに対して、今回の「西新宿ツインタワー」は、高さ235m、階数65階なので、2029年度に完成すれば「堂々たる日本一」ということになります。
ただし、東京は今、かつてなかったような「都市大改造時代」に突入しています。そのため、「西新宿ツインタワー」が建設されている最中に、それを追い抜くような超高層マンションの建設が発表される可能性があるかもしれません。
(ツインタワーの全景)
(ツインタワー足元の広場)
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細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。
建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。
著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。