細野透の「赤信号・黄信号・青信号」不定期

[第27号]京都市中心部に位置する「アトラス京都御所西」の希少価値

2019年05月15日

細野 透 ( ほその とおる )

京都市全体で20物件、都心ではわずか4物件

 京都市の中心部では、外国人観光客の急増に伴うホテル建設ラッシュの影響で、新築分譲マンションの供給が激減しています。

 その事実を確認するため、リクルートの不動産ポータルサイト「SUUMO」をチェックしてみましょう。京都市全体では20物件が掲載されています(4月中旬の時点)。

 都心に近い──上京区(1)、中京区(2)、下京区(1)、東山区(0)
        合計4物件

 都心に遠い──右京区(7)、北区(1)、左京区(1)
        西京区(1)、南区(1)、伏見区(1)、山科区(4) 
        合計16物件

 このように都心近くではわずか4物件にすぎません。そのマンション名とデベロッパーの名前を調べてみました。
  
 上京区──アトラス京都御所西(旭化成不動産レジデンス)
 中京区──パデシオン御池西ノ京グラン(睦備建設)
 中京区──ジオ京都御池油小路ザ・テラス(阪急阪神不動産、新都市企画)
 下京区──プレサンス ロジェ京都西大路五条(プレサンスコーポレーション)

 このうち睦備建設、阪急阪神不動産、プレサンスコーポレーションの3社は関西を本拠地にしているのに対して、旭化成不動産レジデンスは首都圏を本拠地にしています。

 そういう同社が、「激戦区」とされる京都市上京区に、どのようにしてマンション建設用地を確保したのでしょうか。旭化成不動産レジデンスに取材を申し込むと、「お受けします」という回答がありました。

「アトラス京都御所西」の完成予想図
(「アトラス京都御所西」の完成予想図。画像データはすべて旭化成不動産レジデンスの提供)

 

京都の町屋風デザイン

 私は取材を申し込む前に、「SUUMO」を見て、「アトラス京都御所西」の特徴を把握しておきました。

1【京洛の美邸】
  洗練と静謐を抱いた邸宅空間は角住戸率70%超

2【上京区・御所西】
  京都御苑に寄り添いながら、地下鉄烏丸線徒歩3分に繋がる躍動感

3【利便性に恵まれた立地】
  利便アクセスに加えて、買物や医院、行政機関も徒歩3分圏内

 これは「美辞麗句調」という特徴を持つ「SUUMO語」で書かれていますので、「普通の日本語」に翻訳しておきましょう。

1【京町屋風のデザイン、角住戸率70%超】

2【上京区・御所西、地下鉄まで徒歩3分】

 「地下鉄烏丸線徒歩3分に繋がる躍動感」という文章を直訳すると、「地下鉄までの3分間をジャンプしながら歩きましょう」というような意味になると思われます。しかし、それだと通行人がビックリしますし、身体にも負担がかかりますので、普通のペースで歩きましょう。

3【商店、医院、区役所も徒歩3分圏】

アトラス京都御所西」の案内図
(「アトラス京都御所西」の案内図。「京都御苑」は東西約700メートル・南北1300メートルと広く、その中に「京都御所」がある)

 

「マンションギャラリー」を訪ねる

 取材の当日、私はまずマンションの建設現場を訪ねて、敷地の周辺を約1時間かけてグルリと一巡しました。その後に、徒歩10分強の距離にある「マンションギャラリー」を訪ねました。

 このギャラリーは既存事務所の2階に設けられていました。少しビックリしたのは、事務所の1階に「SUUMO」のオフィスがあったことです。私は最初、間違えて「SUUMO」のオフィスに入ってしまい、そこで「マンションギャラリーは2階ですよ」と教えてもらいました。

 事前にウェブサイト「SUUMO」を見て「アトラス京都御所西」を取材することになり、実際に京都を訪ねたら「SUUMO」のスタッフにマンションギャラリーを教えてもらう・・・。

 こういうのを、「何かのご縁」というのでしょうね。私は仕事机の横に、情報誌「SUUMO首都圏版」「同関西版」「同名古屋版」を積み重ねていますので、その「ご利益」なのかもしれません。
 
 さて、マンションギャラリーを訪ねると、旭化成不動産レジデンスの広報担当者、本物件の企画担当者(同社開発営業本部・西日本営業部・営業課・課長)、本物件の販売担当者(アーバンライフ住宅販売・新築営業部・マネージャー)の3人が対応してくれました。

 3月中旬に第1期販売を実施して、売れ行きが好調だったこと。購入者のプロフィールは、大きく3タイプに分かれていて、その組み合わせが意外だったこと。競合物件は存在しないこと・・・。

 第2期販売は5月中旬に予定しているが、いわゆる「ゆっくり、ゆっくり」にならないように気を引き締めていること・・・。
 
 販売担当者の話は、実に興味深いものでした。

 

旭化成不動産レジデンスの等価交換事業の方針

 販売担当者の話を聞いた後、企画担当者にこう質問しました。

「旭化成不動産レジデンスの名前は、首都圏では知られていますが、関西圏ではそれほどではないと思われます。そういう御社が京都の都心近くに、よく建設用地を入手できましたね?」。

 すると、次のような趣旨の返事が返ってきました。

 土地の所有者の方が、「持つ人と土地との縁(えにし)を絶やさない」という、当社の等価交換事業の方針を理解してくださった結果だと思います・・・。

 この言葉の意味を正確に理解するため、取材が終わった後に旭化成不動産レジデンスのウェブサイトをチェックしたところ、「首都圏にお住まいのSさんご夫婦」にインタビューしてまとめた、分かりやすい事例が掲載されていました。

 「利用者の減った駐車場をマンションに、愛着のある土地で娘夫婦との近居を実現!」
  https://www.afr-web.co.jp/atlas/tochisaisei/voice/voice1/index.html/

 1 Sさんご夫婦は、所有する駐車場の利用者が激減したため、同社にどうすればいいか相談しました。

 2 同社は、駐車場の土地に等価交換方式でマンションを建てて、その土地にSさんご夫婦も住むように提案しました。

 3 その際、営業担当者はSさんご夫婦に、「愛着のある土地に住みませんか」と勧めたそうです。

 4 Sさんご夫婦はこの言葉に感銘を受けて、「愛着のある土地を守りたい」と決意したそうです。

 5 完成したマンションには、Sさんご夫婦だけではなく、娘さんご夫婦も入居しています。

 すなわち、土地所有者の心を動かしたキーワードは、「土地との縁(えにし)」であり、また「愛着のある土地」だったのですね。

「アトラス京都御所西」のエントランスホール
(「アトラス京都御所西」のエントランスホール。右奥に坪庭が見える)

 

「アトラス京都御所西」の物件概要

 所在地─京都府京都市上京区今出川通室町西入堀出シ町288番(地番)
 交通─京都市営地下鉄烏丸線「今出川」駅徒歩3分
 用途地域─商業地域、第2種住居地域
 地域・地区─沿道型美観形成地区、旧市街地型美観地区
 敷地面積─698.10㎡(建築確認面積)
 建築面積─538.52㎡(建築確認面積)
 延床面積─3265.01㎡(建築確認面積)
 建ぺい率─77.15%
 容積率─381.83%
 構造・規模─鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)、地上7階建
 総戸数─35戸(非分譲住戸6戸を含む)
 間取り─1LDK〜3LDK+N(納戸)
 住居専有面積─44.30㎡〜82.41㎡
 来客用駐車場─2台(平面式駐車場)
 自転車置場─37台
 管理会社─日本住宅管理
 竣工予定─2020年3月
 入居予定─2020年3月
 売主─旭化成不動産レジデンス
 販売提携(代理)─アーバンライフ住宅販売
 設計・監理─IAOプランニング&デザイン
 施工─福田組大阪支店

 

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細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。

 建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

 著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。