田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第53号]「梅田」と「大阪」の違い 〜「うめキタ」と「大梅田」

2017年07月13日

大阪市北区の中心部、JR「大阪」駅近辺を「大阪」と呼ぶ人は少ない。特に関西人は。たいていは「梅田」と呼ぶ。駅名をみても、JRが「大阪」駅である以外は地下鉄御堂筋線、阪急線、阪神線のいずれも「梅田」駅だ。関西圏以外から来た人が「大阪」に出向く場合、私鉄各線に「大阪」」駅がないため「どこで降りていいかわからない」という意見も多い。

新築マンション物件のネーミングでも同じことが言える。「今、旬なマンション(※)」大阪市内(200戸以上)の1位から3位はいずれもJR「大阪」駅徒歩圏内であるがマンション名はそれぞれ「グランドメゾン新梅田タワー」「ブランズタワー梅田North」「シティタワー梅田東」であり、どれも「大阪」という単語は含まれておらず、「梅田のタワー」であることを打ち出した名称となっている。

また、3つのマンションが「梅田」最寄の立地かというと、そうではない。最寄駅が「梅田」駅なのは「シティタワー梅田」だけで「グランドメゾン〜」はJR「福島」駅、「ブランズタワー〜」は地下鉄「中津」駅が最寄駅だ。

関西在住者の感覚として、「中津」界隈=「梅田」と呼ぶことに関しては違和感は少ない。阪急電鉄本社ビルの最寄駅は「中津」駅であり、あのあたりから東側(茶屋町)にかけては「梅田」と呼ばれる。南側の駅前ビル、いわゆる「駅ビル」が並ぶエリアも然り。「梅田」圏としては、各線「梅田」駅の南側と東側は昔から開発が進んでおり馴染みが深い。

それが今、「梅田」圏は北方向と西方向に拡大している。理由はもちろん「梅田北ヤード」の開発だ。

「梅田北ヤード」とはJR貨物「梅田」駅とその周辺エリアの通称であり、「うめキタ」とも呼ばれる総面積約24haの広大な土地だ。その先行開発区域がグランフロント大阪で、現在は商業施設、ホテル、オフィス等賑わいを見せている。先行開発エリアの北端は分譲マンション「グランフロント大阪オーナーズタワー」だ。こちらは珍しくマンション名に「大阪」が含まれているが、最寄駅はJR「大阪」駅と地下鉄「中津」駅(徒歩6分)となっている。

この「梅田北ヤード」、次は2期工事が予定されている。場所はJR「大阪」駅の西側だ。この開発で「梅田」が西方面(福島方面)へ伸びることとなる。同じ西側の線路南側はハービスENT、ザ・リッツカールトン大阪等があり、地下街はJR「福島」駅手前まで延伸済みであり、梅田エリアは一層大きくなる。

大梅田グランドデザイン研究会という組織が「大梅田」なる呼称を発表しており、そのエリアをJR「大阪」駅を中心とした半径約1kmの円に含まれる範囲としている。この定義にならえば、今まで「中津」と呼ばれていたエリアはもちろん「福島」と呼んでいたエリアも広義の「梅田」となり、JR「福島」駅最寄の「グランドメゾン新梅田タワー」が「新梅田」と称しているのも納得がいく。

JR「大阪」駅の北西部は、JR貨物「梅田」駅があったため、日本第二の都市の玄関口徒歩圏とは思えないほどに開発が遅れていた。しかしそのネックとなっていた場所は「梅田北ヤード」として開発が進んでいる。今後は「福島」駅最寄の「梅田」がさらに注目を浴びる。これからは「梅田」の呼称がメジャーになり「梅田」=JR「大阪」駅界隈が定着するように思える。


※参考
7/11「今、旬なマンション」(30日間/大阪市内/サイトリンク数/200戸以上)をみて。
https://www.sumai-surfin.com/product/ranking/re_rank_season.php?m=1&t=1&a=23

「大梅田」〜関西経済連合会
http://www.kankeiren.or.jp/keizaijin/pdf/n0810.pdf

 

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https://www.sumai-surfin.com/product/ranking/re_rank_season.php?m=1&t=1&utm_source=ss&utm_medium=column&utm_campaign=columnTanaka
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田中和彦 
株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。