田中和彦が斬る!関西マンション事情不定期

[第140号]今、旬な路線。大阪メトロ中央線

2021年03月24日

田中 和彦 ( たなか かずひこ )

今、旬なマンションランキング」のお気に入り登録数。トップ10は大抵首都圏のマンションなのだが、今週(*)は関西のマンションが2棟ランクインしていた。「クラッシィータワー靱公園」(「阿波座」駅徒歩7分)と「ローレルタワー堺筋本町」(堺筋本町」駅徒歩1分)だ。

両物件の共通点はともに大阪メトロ中央線沿線であることだ。

大阪市内中心部は大阪メトロ、一般的には「地下鉄」と呼ばれる路線が碁盤の目のように走っている。いちばん有名なのは御堂筋線。新大阪~梅田~難波~天王寺と大阪市内の主要駅を南北に串刺しする交通の要となる路線だ。そしてその御堂筋線と並行するように西側に四つ橋線、東側に堺筋線が走り、堺筋線のさらに東側には谷町線が走る。いずれも梅田界隈と天王寺界隈を結ぶ路線であり、ビジネスマンのみならず観光や買い物で市内を訪れる人にお馴染みの路線だ。

上記の4路線が「碁盤の目」の縦の筋とすれば横の筋に当たるのが中央線、長堀鶴見緑地線、千日前線だ。縦の路線に比べて横の路線は認知度は低いが、縦横両方あることで地下鉄利用による市内移動の利便性は増している。中でもビジネス街である本町・堺筋本町、大阪合同庁舎のある谷町四丁目、大阪府咲洲庁舎のあるコスモスクエアをつなぐ中央線の重要度は高く、横路線、すなわち東西移動の最重要路線といえる。

東西移動の要、と書いたが大阪メトロの中で中央線が優れている理由に面白いことが一つある。それは中央線がニュートラムを含め、大阪メトロの全路線との乗り換えが可能であるということ。全路線への乗り換えができる路線は中央線だけだ。東西移動にとどまらず大阪メトロを使った大阪市内移動の要ともいえる。

そんな便利な中央線なのだが、乗降客数は「縦の路線」の後塵を拝し全路線中5番目で、同じ横の路線である千日前線(6位)とそう変わらない。ただ、その収益率は高く「100円を稼ぐために必要な費用」を示す「営業係数」を比べると、中央線は乗降客数トップの御堂筋線(44.9)に次いで2位(63.3)。堺筋線や谷町線よりも「稼ぐ路線」となっている。営業係数は費用として減価償却等が含まれるため長堀鶴見緑地線(153.2:1990年開業)、今里筋線(231.0:2006年開業)などの開業後年数が経っていない路線は不利な面もあるが、堺筋線や谷町線よりも上位にあるというのはなかなか立派な成績だ。

また、中央線の特徴は郊外住宅地に直結していること。東方面は近鉄けいはんな線と乗り入れており生駒を経て白庭台、学研北生駒、学研奈良登美ヶ丘、西方面はコスモスクエアで乗り換えとなるがポートタウン、南港、いずれもニュータウンへと続く。同じようにニュータウンへと繋がる路線としては御堂筋線(北:千里中央、南:北花田~新金岡)がある。住宅エリアからビジネスエリアへの輸送路線といっても良い。

輸送路線といえば、2025年開催予定の大阪万博会場に来場者を輸送するのも中央線だ。つい先日、近鉄奈良線と万博会場となる夢洲とをつなぐ直通特急の万博前運行見送りが報じられたが、夢洲駅までの中央線の延伸工事は進んでいる。IR(統合型リゾート)の建設も予定されており、ますます中央線の乗降客数は増えることが予想される。

万博効果がどれほどあるのか?と訝る向きもあるが、これに伴いインフラ整備が進むのは事実であり、それは不動産価値の上昇が期待できる要素でもある。全国トップ10に大阪メトロ中央線沿線マンションが2物件含まれていたのも偶然ではないであろう。

 

最近、お気に入りに登録された数が多いマンション (トップ10)
*2021/03/23 01:31 現在

<参考資料>
路線別経常収支、平成29年度 路線別営業係数(大阪市)

 

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田中和彦 
株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。