田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第185号]地震に対する備えは平時から

2023年02月08日

6日、トルコで大地震が起きた。数千人の人が亡くなり、まだ多くの人が瓦礫の中で救出を待っている状態らしい。これ以上被害が大きくならないことを祈る。

さて、日本はどうか?
ここ数年は、台風による風害や大雨による水害が多く、災害として地震が話題となることは比較的少なかった。

しかし、阪神淡路大震災・東日本大震災のような未曾有の大災害だけでなく、死者の発生した地震は記憶に残る範囲内で幾度か起きている。

阪神淡路大震災の時に「活断層」という言葉が注目された。プレートと呼ばれる板のような岩の層のうち強度の弱い部分が断層で、その中で将来活動すると考えられているのが活断層だ。

この活断層がズレると、その上にある建物はたまったものではない。阪神淡路大震災の震源となった野島断層を見ればよくわかる。このような断層の上に建った建物は、旧耐震も新耐震も関係ない。活断層は、数十万年単位の期間で考えたときに「動くかもしれない」ものなので生きているうちに動かない可能性も高いが、地震を気にする方は活断層の真上に建つ建物は避けておいた方が無難だ。活断層の位置については、WEB上でいくつもの活断層MAPが公開されているのでそちらを参考にしてほしい。

ただ、活動層を避ければ地震対策は完璧かというとそうでもない。現在発見されている活断層は2000強。裏を返せば、活断層マップで安全そうに見える場所にも「発見されていない活断層」があるかもしれない、ということ。対策としては、周辺に活断層があるかどうかを見た上で耐震性の高い建物に住むのが現実的だ。近年に施工された建築物は、ハウスメーカー・工務店等が「震度〇〇まで大丈夫」等を把握している。プロの話を聞いてみることをお勧めする。

「地震、雷、火事、親父」とはよく言ったもので、親父はさておき火事や水害等の災害と比べ、地震は発生を予測することも発生するまでの時間的猶予も少なく、非常に避けづらい災害だ。大地震が起きると、例え活断層の上に建物がなくても、崖があれば土砂崩れ、海の近くなら津波、埋立地なら液状化現象など、さまざまな「二次災害」が考えられる。地震は怖いが、阪神淡路大震災・東日本大震災を除けば、地震そのものによる被害より火災等も含めた二次災害による被害者の方が多い。地震に対する備えは、水害、火事等の災害に対する備えに他ならない。

エリアや土地において100%安全というものはない。その土地がどのようなリスクをはらんでいるかをしっかりと把握した上で、事前に対処できること、災害が発生した際に取るべき行動を考えておくことが重要だ。

まさに「天災は忘れた頃にやって来る」。災害時のことを平時にしっかりと考えておきたい。

*参考:
活断層とは何か?
活断層図
活断層データベース
野島断層

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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