編集部厳選!マンション知識最前線!? 不定期
住まいサーフィン編集部

住宅ローン完済後の手続きは?抵当権抹消登記の方法についても解説!

2022年11月04日

更新日最終更新日:

住宅ローンは借り入れる金額が大きいので、多くの人が返済期間を20~30年以上設定しています。
長年支払っていると、完済のときの嬉しさもひとしおではないでしょうか。

しかし、返済さえすれば終わりではなく、やらなければならない手続きがあります。

今回の記事では、住宅ローン完済後にやるべき手続きについて解説します。

この記事を書いた人

住まいサーフィン編集部

1998年開設、マンションの適正価格や資産価値を判断するための価格情報サイト「住まいサーフィン」の運営スタッフが自宅売買に役立つ情報を更新中。
売り手と買い手の情報格差が大きい住宅業界。
自宅購入で後悔する人を減らすため、業界の専門知識・データを分かりやすくお届けします!

Twitter:@sumai_surfin
Instagram:@sumai_surfin

1. 住宅ローン完済の平均期間

住宅ローンを組むときには、返済期間を30年以上設定する人は多いです。
国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」によると、新築分譲住宅(マンション・一戸建て)取得世帯の住宅ローン返済期間は35年以上が最も多く、70%を超えています。
平均返済期間は分譲マンションが32年、分譲一戸建てが34.1年でした。

しかし、これは住宅ローン契約時の約定返済期間なので、必ずしもこの期間で返済する人ばかりではありません。

住宅金融支援機構の「2020年度住宅ローン貸出動向調査」によると、2019年度は約70%の人が20年以内に完済しています。
完済期間の単純平均は「16年」となっていて、あまりの短さに驚く方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この調査には中古住宅のローンやリフォームローンも含まれているので、先ほどご紹介した国土交通省の調査とは対象が異なっています。

そのため、平均値よりも完済期間の割合に注目をしましょう。
完済期間が(25年超え)30年以下の割合は5.5%、35年以下は0.7%でどちらも少ないです。
昔とは金利が違うことなども影響していると思われますが、なんにせよ繰り上げ返済している方は少なくないようです。

住宅ローンを繰り上げ返済をしたいときにはどうする?

繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に一定の額を返済することです。

繰り上げ返済には、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。
「返済期間短縮型」の場合、毎月の返済額はそのままで、返済期間が短くなります。
一方「返済額軽減型」は、毎月の返済額は減りますが、返済期間は当初の予定通りです。

繰り上げ返済をすると、そのお金はすべて元本に充てられます。
そのため、将来予定していた分の利息が減り、総支払額を減らすことができるというメリットがあります。
また、「返済期間短縮型」を選択すれば、住宅ローンを早く完済することができます。

なお、金融機関によっては繰り上げ返済に手数料がかかる場合があるので注意しましょう。
窓口での手続きは手数料がかかるけれど、インターネットでの手続きであれば手数料無料という金融機関も。
また、全額繰り上げの場合のみ手数料が発生することもあるようです。
繰り上げ返済を希望する場合は、まずは金融機関に相談してみましょう。

残金一括返済を希望している場合でも、すぐに繰り上げ返済できるわけではありません。
数週間から1ヶ月以上かかることがあるので、早めに金融機関に相談することが大切です。

2. 住宅ローン完済後にやること

住宅ローンが完済したら、金融機関から完済に関する証明書などが送付されます。
これで一安心ではなく、やらなければならない手続きがあります。

住宅ローン完済後に必要な手続きは、以下の2つです。

  • ● 抵当権抹消登記の申請
  • ● 火災保険質権消滅の手続き(一部の対象者のみ)

抵当権抹消登記の申請

住宅ローンは、購入した家(土地・建物)を担保にして金融機関からお金を借りる仕組みになっています。
そのため、土地や建物の登記には「抵当権」というものが設定されます。
抵当権とは、万が一返済ができなくなったときにはその不動産を競売にかけて、そのお金を抵当権者(金融機関や保証会社)が回収するというものです。

住宅ローンを完済したという証明書があれば問題ないのではないかと思う方もいるかもしれません。
実際に、ローンを完済しても抵当権の抹消登記はしないでそのまま放置しているという方もいます。
抹消登記は義務ではないので、罰則はありません。

しかし、土地や建物の取引をするときには、登記に記載されている情報が重要な参考資料になります。
いざ土地や建物を売却しようとしたときに抵当権が設定されていると、その不動産は敬遠されてしまいます。

自身に売る予定はなくても、土地や建物などの不動産は所有者が亡くなった後は相続人に引き継がれます。
所有者が変わっても、不動産に記載されている「抵当権設定登記」は、抹消申請をしない限りずっと残ります。
相続人が抹消登記を申請することもできますが、やはり完済したタイミングでの抹消がベストです。

そのため、完済したら忘れずに抵当権抹消登記の申請をしましょう。

火災保険質権消滅の手続き

住宅ローンを借り入れる際に、金融機関が火災保険に対して「質権」を設定することがあります。

火災保険に加入することで、万が一火災などが起きた場合は保険金が支給されます。
質権が設定されていると、この保険金を受け取る権利は、質権者(金融機関)が優先となります。
保険金は直接金融機関に振り込まれ、住宅ローンの残額分に充てられます。
もし余りがあれば、住宅ローンを借り入れている人が受け取ります。

ただし、最近この制度はあまり一般的ではないようです。
理由としては、火災保険の最長契約期間が短縮されていて管理コストがかかることや、保険金を残額返済に充てると利息分が回収できないことなどが挙げられます。

もし火災保険に質権が設定されている場合は、速やかに消滅の手続きをしましょう。

3. 抵当権抹消登記の手続き方法

抵当権抹消登記はどのように手続きをすれば良いのか、見ていきましょう。

手続きは、不動産を管轄している法務局に対して行います。
全国に法務局がありますが、どこでも良いわけではなく、管轄している法務局に申請することが必要です。

管轄先は、こちら(法務局:管轄のご案内)で確認できます。

申請手続きについては、自分でやる方法と司法書士に依頼する方法があります。

司法書士にお願いをすれば、依頼料はかかるものの、申請書の記入や申請手続きはすべてやってもらうことができます。
不動産を購入したときや抵当権を設定したときには、司法書士に依頼したという方がほとんどだと思います。
不動産会社や住宅ローンの金融機関によっては、司法書士に依頼することを必須としていることも多いです。

しかし、抵当権抹消登記については登記申請の中でも比較的簡単なので、自分で申請することもできます。

必要書類と記入方法は?

抵当権抹消を自分でやる場合には、以下の書類が必要です。

☆については、住宅ローンを借りた金融機関から送付されます。

  • ● 登記申請書(法務局ホームページに様式あり)
  • ☆ 抵当権の登記識別情報または登記済証
  • ☆ 抵当権抹消の登記原因証明情報(解除証書等の完済したという証明書)
  • ☆ 金融機関からの登記に関する委任状
  • ☆ 金融機関の会社法人等番号→申請書に記入

なお、不動産登記に記載されている所有者(登記事項証明書の甲区)について、住所や氏名が変更されている場合は、その変更登記申請も必要となります。
住所等の変更登記は抵当権抹消登記と一緒に連件で申請することができますが、申請書は別々に作成しなければいけません。

申請書の記入方法については、法務局ホームページで確認できます。

参考:住宅ローン等を完済した場合(法務局ホームページ)

なお、申請内容に誤りがあった場合、内容によっては後日法務局へ補正(修正や書類追加等)に行く必要があります。
そのため、事前に法務局の登記申請相談コーナーに行くことをおすすめします。
相談コーナーは予約制となっていますのでご注意ください。

抵当権抹消登記の費用は?

抵当権抹消登記は申請するときに登録免許税を納めなければなりません。

登録免許税は、土地1筆や建物1棟につき、1,000円です。
つまり、土地と建物がそれぞれ1つずつの場合は合計で2,000円になります。

マンションの場合は敷地権付きの登記となっているので注意が必要です。
敷地権とは、土地と建物が一体となって登記されている形態のことを言います。
抵当権設定されているのは建物だけにも見えますが、実際には敷地の上に建物が立っています。
また、複数の敷地の上に建物が立っていることもあります。
例えば2つの敷地に対して建物(1棟)が立っている場合は、登録免許税は3,000円になります。

抵当権が設定されている不動産については、金融機関から送付される「抵当権の登記識別情報」または「登記済証」に記載されていますので、確認しましょう。

なお、登録免許税は、申請時に印紙を貼付して納めることが一般的です。

完済後、申請期限はある?

抵当権抹消登記について、情報サイト等によっては「3ヶ月以内に申請する必要がある」と記載されていることがあります。
しかし、実際は申請の期限は特にありません。

以前は、登記申請時に「代表者の資格を証する情報(※取得から3ヶ月以内)」を添付する必要がありました。
法務局が、住宅ローンを貸し付けた金融機関等の住所や名称に変更がないことを確認をするためです。

しかし平成27年11月に取り扱いが変わり、申請書に会社法人等番号を記載すれば上記の資格情報は不要となりました。

参考:不動産登記令等の改正に伴う添付情報の変更について(平成27年11月2日施行)

申請の期限はありませんが、早めにした方が良いでしょう。
もし金融機関から送付された委任状や解除証書等を紛失したら、再発行してもらわなければなりません。
また、抵当権の登記識別情報または登記済証については再発行ができないので、「事前通知」または「司法書士等の資格者による本人情報確認」という制度を利用することになります。

いざ土地や建物を売買・贈与などするときに困らないためにも、忘れないうちに申請をすることが大切です。

4. 火災保険質権消滅の手続き方法

次に、火災保険質権消滅の手続きについて見ていきましょう。

火災保険質権消滅手続きは、火災保険の会社に対して行います。
登記のように複雑な手続きではないので、自分で行うことができます。

手続きの流れ

一般的な流れは、以下のとおりです。

  • ①金融機関から「火災保険の保険証券」と「質権消滅に関する書類」が送付される
  • ②保険会社に連絡・上記の書類を送付
  • ③保険会社から保険証券が郵送される

このように、抵当権抹消登記に比べると手続き内容はかなりシンプルです。
それほど手間もかからないので、すぐに手続きをするようにしましょう。

なお、質権消滅の手続きをしても、火災保険の契約は継続します。
保険会社から郵送された保険証券については、大切に保管をしましょう。

5.まとめ

今回の記事では、住宅ローン完済までの期間や完済後にやるべきことについて解説しました。

完済までの期間は人それぞれですが、資金に余裕があるようならば繰り上げ返済を検討しましょう。
期間短縮型の繰り上げ返済は、時期が早いほど金利分を多く節約できます。

住まいサーフィンでは、儲かる確率や動画講座(ex.「不動産投資vs自宅投資」「所得税対策」)など、マンションや一戸建て購入に役立つ様々なサービスを提供しています。

下記の記事では、住まいサーフィンならではの活用方法をご紹介しています。
他の不動産サイトとの違いをご説明していますので、ご参考になれば幸いです。

住まいサーフィンの特徴と、SUUMOやHOMESとの違いを解説!

2022/7/11

SUUMOやHOMESなどの他不動産サイトとの違いや、住まいサーフィンを効果的に活用するタイミングが分かります。