編集部厳選!マンション知識最前線!? 不定期
住まいサーフィン編集部

[第23号]初めて買うマンションの住み良さとは?:FPから見たマンション生活特集

2016年08月15日

マンションを買う際に、値段と部屋そのもののに目が行きがちですが、立地や将来子どもが生まれたときのことも考えて選びましょう。

何事も長い目でみるのが吉。

風水よりも確かなものは。

モデルルームは夢いっぱいの空間

明るく楽しい「おうちマンション生活」を目指すコラムの2回目は初めて買うマンションの住み良さについて考えてみます。

結婚が決まったあとの新居は土地勘あるエリアの新築マンションを探す方が多いでしょう。
モデルルームに行くと、いるだけでワクワクするシステムキッチン、素敵なお皿が並ぶダイニングテーブル、ホテルタイプの大きな鏡がある洗面化粧台、機能的なバスルーム、広いリビングとおしゃれな照明器具やインテリアなどなど、見てると住みたくなってきます。

新築マンションの住み良さは引っ越してからでないと分からない面も

でも、集合住宅であるマンションの住み良さは、部屋の快適さとは別に管理会社のサポートを受けながら居住者全員で作り上げていく面もあり、この点で新築は住んでみないと分かりません。(住み始めは皆管理意識が高いので大丈夫と思います)

中古マンションなら、共有部分のエントランス・ゴミ置場・自転車置場を見ると日常の管理状況がほぼ分かり、将来大きな費用が必要になる大規模修繕積立金の状況も確認できますし、今住んでいる人たちの様子も見られるので、マンションを買う前に住み良さの判断をしやすいでしょう。

2人の趣味と嗜好で快適な空間を作るためのリフォーム

部屋はリフォームすれば自分たちで快適さを向上させられます。
キッチンや洗面所は、費用のかかりがちな水廻りの配管を変えずに、レンジフード・ビルトインガスコンロ・ユニット式洗面化粧台などが、サイズと予算に合わせて好みのものを選べます。
壁紙はデザインが豊富なうえ比較的低価格で張り替えでき、部屋の雰囲気を大きく変えられるのでとてもお勧めです。

住宅設備メーカーのショールームや工務店で実物を見るのはモデルルームめぐりと違った楽しみ方があり、リフォーム料金の目安も分かるので一度訪れてみてはいかがでしょう?
このように中古マンションを視野にいれると新居候補はぐっと広がり、なにより2人の好みの部屋にリフォームできるので最初のマイホームに選ぶのは良い選択ですね。

マンション立地の基本は駅近で

次に立地と部屋の向きについてです。
駅徒歩圏にあるマンションは、周囲に『生活利便施設』が多く何かと便利なのでマンション選びの基本です。
2人で働いているときは昼間留守がちで、休日は2人で外出する機会も多く、部屋にいる時間が短かいので向きにはさほどこだわらなくて良いかもしれません。

それから、子どもが生まれると生活が昼型に変わります。
子どもが生まれると在宅時間が増え昼中心の生活に変わるので、安全面からも中層階で日中の採光に有利な南あるいは西向きがお勧めです。

強すぎる日差しはカーテンなどで防げますが、東・北向きは冬寒くなりがちで、最上階や角部屋ならなおさらです。 早くから暖房を使うため光熱費がかさみ、何より小さなお子さんと昼間から暗めのお部屋で過ごすのはお勧めできません。

私たちが住み替えを決めた大きな理由が、実はこれ。子どもと生活する空間の大切さを考えての事でした。

夏・冬の快適性がグーンとアップする断熱ガラス

なお部屋の向きに関係なく効果絶大なのが断熱ガラスリフォームです。 夏の西日や冬の結露、防音対策としても効果が高く光熱費の節約が期待できます。 また前回ご紹介した『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例』で、中古マンション購入時にこのようなリフォームをした結果、『良質な住宅用家屋』に該当するようになれば、贈与税非課税枠が通常より500万円加算され1,200万円に増額されます。(平成29年9月までの場合)
※『契約の締結期間』とは贈与を受けた期日が属する期間で、これを使い自分の住む家を購入またはリフォームし、基本的には翌年3月15日までに住んで確定申告する必要があります。
※なお、『良質な住宅用家屋』に該当するか否かなどをはじめ、非課税の特例を受けるには各種条件があり、国の政策等によって内容が変わる場合があります。詳細を国税庁のHPでご確認のうえ、販売・施工会社等にご相談ください。

国税庁のHP:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

女の子は強し!?

話は変わりますが『一姫二太郎』って聞いたことありますか? 「女の子が1人で男の子が2人」ではなく「最初が女の子で次に男の子」が正解。 「生まれたての赤ちゃんといつも一緒」なんていう経験のない新米ママ・パパが戸惑っているところに、男の子は夜泣きが多かったり、すぐ病気になったりで子育てが大変と言われています。 女の子はそんなに手がかからず、最初が『姫』だと楽というのが由来のようです。 我が家の『太郎』も同じで、自分たちが赤ちゃんに慣れていなかったせいもあり、少しの発熱にオロオロして小児科に駆け込むことが多かったです。

子どもの成長を楽しみながら「親になっていく」私たち

そうこうするうち公園デビューをしてママ友・パパ友ができ、徐々に地域社会に溶け込みはじめます。 手のかかる乳幼児の後半、幼稚園や保育園に通い始めるころになると『太郎』も体力がついてきて病院通いが減り、週末は家族みんなで外出して公園などで遊ぶ機会が増え始めます。 園では年間を通してさまざまなイベントがあり、参観日には元気で遊ぶ子どもたちの周りに展示されている作品を見て「あぁ、もう七夕か」などと季節感を感じ、自分の子ども時代の記憶も蘇ってきて新鮮です。 このあと小学校中学年くらいまでは子どもたちと一緒に過ごす時間が人生で最も長く濃く、家族の思い出がいっぱい積み重なっていく時期となります。 こうしていずれは誰でも子育てに慣れ、自分たちは子どもの成長とともにいろんな経験を積み重ね「親になっていく」のです。

小さな子どもがいる家庭の「お守り」は近所の小児科

このように、子どもが小さい時は歩いて行ける病院(できれば診療所の小児科)が近くにあると本当に安心できますし、託児所、幼稚園・保育園、小・中学校などの養・教育施設の有無と距離、通学路の安全度も大切なチェックポイントになります。 なお前回でも触れた経済的補助の『子どもの各種助成制度』は地域によって差があり、自治体のHPで内容を比較すれば土地勘の薄い場所でも立地候補に浮上するかもしれません。 このように最初のマンションは、いずれ子ども中心の生活になることも意識して選びたいものです。

将来の住み替えも意識して最初のマンションを選ぶ

さて家族ライフのストーリーが進んでいくと、「子どもが大きくなって部屋が手狭になった」、「部屋数が足りない」、「急な転勤で引っ越さないといけない」など、いろんなことが起こる可能性があります。 そのとき売るにせよ貸すにせよリフォームするにせよ、もちろん選択肢は多い方が良いですね。 そのためにも駅から近く、大人にも子どもにも優しい『生活利便施設』が多い地域の人気マンションを選んでおくことは資産価値の面からも重要です。 とかく値段に目がいきがちな初めてのマンション選びですが、視点を変えて良いマンションに出会うチャンスを広げてください。 では明るく楽しい「おうちマンション生活」を目指すコラムの2回目はこのへんで! 最後までお読みくださりありがとうございました。

(本記事は記事執筆時点の2016年7月の情報に基づいて執筆されています。)

Author:原 浩也(はらひろや) 先生

(CFP®(ファイナンシャル・プランナー)、基本情報技術者、宅地建物取引士,くらしとお金とパソコンのヘルプデスク『スラウギ』代表)

28年間の総合出版社勤務で情報システム、広告・販売営業、物流開発と、様々な職務を経験し5年前に早期退職。 FP資格を取得後、某大学にて中島智美さんの「マネープランニング講座」講師を務める。 また技術者として高齢者向けのスマホ、タブレット、PC講座講師をするほか、不調PC修復などの出張サポートも行っている。

同い年で共に地方出身の妻、今年社会人になった長男、大学2年の長女の4人暮らし。 結婚を機に26歳でマンション購入。長男が生まれ住み替えて現在居住中。 当コラムは、読者のみなさんがこれから経験するであろうことを、ちょっと先にやってきた私がお伝えします