田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第151号]ホテルライクな暮らし~ホテルと併存するマンション

2021年09月09日

タワーマンションに限らず高級マンションには「ホテルライクな暮らし」を標榜するマンションが多い。ある意味、ほぼ全てのマンションがエントランスや〇〇ルームなどに「ホテルテイスト」を盛り込んでいるといっても差し支えないだろう。

しかし「ホテルライクな暮らし」も実際は、吹き抜けのあるエントランスにソファセットが置かれているような見えがかりだけの「ホテルライク」だったりする場合が多い。コンシェルジュのいるマンションの場合は多少「ホテルライク」となるが、それでもホテルのコンシェルジュのようにチケットの手配や近くのレストランの予約をしてくれるわけではない。全くないと書いてしまうと反証があるかもしれないが、多くの人がイメージするホテルコンシェルジュとマンションのそれとに差があるのは確かといって良いだろう。

本当に「ホテルライクな暮らし」をするのならばホテルと提携する、もしくはホテルと融合させるなどすれば良い。実際に海外にはホテルの一部を分譲する(分譲マンションというよりも「ホテルの分譲」)例もあり、首都圏やリゾート地などにも同様の事例がある。しかし、関西ではそのような事例はあまり見かけなかった。淀川アップルタワーレジデンスが隣接するアパヴィラホテルと地下で直結している例などもあるが、その他はせいぜいが近隣ホテルとの連携止まり。

フォーシーズンズホテル京都は客室の一部をフォーシーズンズホテルレジデンス京都として販売しているが、一般的な分譲マンションのような販売手法を取らず金額も近隣相場を大きく上回るブッ飛んだ金額設定で、これも例外といって良い。

そんなホテルと分譲マンションの関係だが、ようやく「共存するマンション」が関西でも現れた。大阪市北区の「梅田ガーデンレジデンス」(住友不動産)と「ブリリアタワー堂島」の2物件だ。

梅田ガーデンレジデンス」は「梅田ガーデン」の一部をしめる定期借地権分譲マンションで、同建物には202室の「ヴィラフォンテーヌ グランド 大阪梅田」と同社の高級賃貸マンション「ラ・トゥール大阪梅田ガーデン」が入る。

住友不動産の「ヴィラフォンテーヌ」ブランド。正直いって関西では知名度は今ひとつ。東京に16棟あるのに対し関西は神戸に一つあるだけなので仕方がない。それに比べ「ブリリアタワー堂島」に入るホテルは超一流ホテルとして名高いフォーシーズンズホテル。ステイタスとしては申し分ない。

それぞれどのようなサービスが提供されるかはWEB上では明らかにされていない。あくまで想像だが「ルームサービスが受けられる」といったわかりやすい提携はないだろう。両物件とも坪単価400万円超は確実で、その価格帯を購入する人からすれば「提携で安く使える」に大きなメリットはない。ただ「そこにホテルがある」というステイタスで十分と言える。同じ建物内にあるホテルを、ゲストルームとして、来客用のラウンジとして利用することができる、それこそ「ホテルライクな暮らし」と言える。

 

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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