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住まいサーフィン編集部

[第36号]新築住宅や宅地建物取引業者が売主の中古住宅を買うと、一人最大30万円がもらえる「すまい給付金」:FPによる優遇措置の基礎知識

2017年08月22日

前回は「教育資金の一括贈与の特例」のお話ししました。
今回は新築住宅や宅地建物取引業者が売主の中古住宅を買った場合、一人最大30万円がもらえる「すまい給付金」についてお話します。

「すまい給付金」がもらえるか確認しましょう

国や官公庁からお金をもらうためには申請が必要です。忘れずにしましょう。

はじめに

マイホームを買うときの消費税率引き上げによる負担を減らそうと出来たのが「すまい給付金」です。
給付なのでもらえます、しかも現金で
消費税率8%の今、一人あたりの給付額は最高30万円で、10%になると50万円に上がります。
平成33年12月までに引き渡し・入居した住宅が対象で、持分のある人はもらえる可能性があります。

質問1 「住宅ローン減税」とは違うの?

はい、違います。
「住宅ローン減税」は借入期間10年以上の住宅ローンのある人が対象で、条件を満たすと所得税や住民税が戻る制度です。(次回解説します)
なお、「住宅ローン減税」と「すまい給付金」は両方使えます。

質問2 どんな住宅でもいいの?

ここ、一番のポイント!
中古住宅は売主が宅地建物取引業者に限られていて、よくある個人間の売買で不動産会社が仲介をする住宅は使えないのでご注意ください。(売主が個人だと消費税がかからないため)
そのため、どちらかと言うと新築物件向けの制度ではあります。

質問3 そのほか住宅の要件はあるの?

床面積が50平方メートル以上で一定の品質が保証された住宅でないといけません。 新築は工事中の検査、中古は売買時の検査で要件が満たされたものになります。
これは金融機関等から5年以上の住宅ローンを借りて購入した場合です。
現金購入なら、50歳以上、年収目安が650万円以下などの要件が加わります。

質問4 もらえる人は誰?

基本的にはその家に住んでいて持分のある人です。 たとえば親に持分があっても、同居していなければもらえません。 また持分ある配偶者でも、本人に住宅ローンがなければ現金購入扱いとなり要件が厳しくなる点は2つめの大きなポイントです。 ※詳しい要件は国土交通省「すまい給付金のHP」 でご確認ください。

質問5 実際にいくらもらえるの?

上記HPからダウンロードしたパンフレットより引用、抜粋します。 ※下記ケーススタディはパンフレットと同じ条件を想定しています。
ケーススタディ1 Aさん夫婦(夫年収450万円/妻は専業主夫で収入ナシ)
※持分割合は夫3/4、妻1/4
a1.妻が50歳以上
夫:20 ☓ 3/4 = 15(万円)
妻:30 ☓ 1/4 = 7.5(万円)
a2.妻が50歳未満
夫:20 ☓ 3/4 = 15(万円) 妻:ゼロ
ケーススタディ2 Bさん夫婦(夫年収450万円/妻年収300万円)
※持分割合は夫3/4、妻1/4  
b.妻も住宅ローン借り入れあり(ペアローンや連帯債務型)
夫:20 ☓ 3/4 = 15(万円)
妻:30 ☓ 1/4 = 7.5(万円)
「すまい給付金のHP」では給付額のシミュレーション もできます。ただし確定額ではありませんので参考情報としてご利用ください。

質問6 手続きはどうするの?

住宅の引渡しを受けてから(当面の間)1年3ヶ月以内にすまい給付金事務局へ申請します。
申請は持分のある人ごとで、必要な書類をそろえ郵送または申請窓口に持参します。
そして提出から1.5~2ヶ月ほどで給付金が入金されます
なお住宅事業者等による代行手続きや給付金の代行受領ができる場合もあるので、詳しくはすまい給付金事務局や住宅事業者等にご確認ください。

おわりに

「すまい給付金のHP」には申請書のダウンロードやパソコンで申請書が作成できる機能 もあります。
でもインターネット経由の直接申請はできないので、作成後は忘れずに申請しましょう。

ところで、この「すまい給付金」に限らず、基本的に国や官公庁からお金をもらうためには申請が必要で、黙っていては戻りません。
インターネットを利用するなどして、利用できそうな制度は積極的に情報収集されることをお勧めします。
特に消費税率が上がる場合、何らかの軽減措置が新設されることもあるので注意しておきましょう

最後の最後に

最近はインターネットで各種申請が出来るシステムが増えてきました。
そのほとんどは操作が簡単で、分からなければ電話で丁寧に教えてくれます。
しかし官公庁系のシステムの中には最新のパソコンに対応していないものが少なくありません。
この「すまい給付金」も同じで、申請書の作成はWindows10では出来ません。
そのため使えるパソコン探しをしないといけないこともあるので、官公庁系のシステムを利用するなら使えるPCとソフトのバージョン確認もお忘れなく。

(本記事は記事執筆時点の2017年4月の最新情報に基づいて執筆されています。)

Author:原 浩也(はらひろや) 先生

(CFP®(ファイナンシャル・プランナー)、基本情報技術者、宅地建物取引士,くらしとお金とパソコンのヘルプデスク『スラウギ』代表)

28年間の総合出版社勤務で情報システム、広告・販売営業、物流開発と、様々な職務を経験し5年前に早期退職。 FP資格を取得後、某大学にて中島智美さんの「マネープランニング講座」講師を務める。 また技術者として高齢者向けのスマホ、タブレット、PC講座講師をするほか、不調PC修復などの出張サポートも行っている。

同い年で共に地方出身の妻、今年社会人になった長男、大学2年の長女の4人暮らし。 結婚を機に26歳でマンション購入。長男が生まれ住み替えて現在居住中。 当コラムは、読者のみなさんがこれから経験するであろうことを、ちょっと先にやってきた私がお伝えします

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