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マンションや一戸建てを購入すると、毎年「固定資産税」を支払わなければなりません。
毎年払うものだと聞くと、どれくらいかかるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、マンション購入した人が固定資産税を支払う時期や、その計算方法を詳しく解説します。
目次
1. 固定資産税って何?いつ払うの?
そもそも、固定資産税とは何でしょうか。
固定資産税とは、固定資産の所有者が、固定資産の所在する市町村(東京都23区は都)に納めなければならない税のことです。
固定資産とは、土地・住宅などの家屋・その他償却資産(事業用資産)を総称したものになります。
マンションを購入した人は土地と家屋を区分所有することになるので、その資産価値に応じて算定された税額を支払う必要があります。
固定資産税額は、個人の専有面積やマンションの築年数によって変動します。
そのため同じマンションでも住人ごとに税額は異なり、また毎年同じ税額を支払うものではありません。
固定資産税の計算方法については、後ほどご紹介します。
固定資産税と同じ時期に支払う税金に、「都市計画税」があります。まずはこの2つの違いを見ていきましょう。
固定資産税と都市計画税
固定資産税は先ほどご説明したように、土地や家屋を所有する人全員が納める必要がある税金です。
それに対して都市計画税は、原則では「市街化区域にある」土地や家屋を所有する人に課税されます。
参考:都市計画税(総務省HP)
市街化区域とは、都市計画法で以下のように定義されています。
市街化区域
すでに市街地を形成している区域 及び おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
市街化区域には、用地地域が設定されています。用途地域の記載があれば、そこは市街化区域ということです。
市街化区域かどうかは、以下の方法で調べられます。
- ●自治体の都市計画図を確認する
- ●マンションの物件概要から確認する
都市計画図は、自治体によってはHPで公開されていることがあります。
それがない場合は、電話や窓口で問い合わせることで調べることができます。
マンションによっては、HPなどの物件概要欄に用途地域等が記載されていることがあります。
物件概要に記載されていなくても、不動産会社に聞けば市街化区域かどうか教えてくれるでしょう。
東京都23区では、一部河川区域のみ市街化調整区域で、それ以外はすべて市街化区域となっています。
マンションを購入する場合、市街化区域となっているケースがほとんどです。
固都税を支払う時期
固定資産税と都市計画税(以下、固都税)は、どちらも毎年4~6月頃に自治体から納税通知書が送られてきます。
その年の1月1日現在に土地や家屋を所有している人が納税義務者です。所有しているかどうか、自治体は登記簿から判断します。
納付期間は自治体ごとに異なりますが、東京都は年4回(6月、9月、12月、2月)に分けて納入します。
最初の納付期限までに一括で支払うことも可能です。
マンションを購入してから1年目の固定資産税はいつ支払う?
1月2日以降に所有者が変更となっても、納税義務者は1月1日現在の所有者です。
しかし、商慣習として、買主が引き渡し日以降の固都税額(日割り計算)を売主へ支払うことが多いです。
例えばマンションを購入して、7月1日に引き渡しをするとします。
この場合、7月1日~12月31日までの固都税額を日割り計算し、買主に支払います。
なお、関東の不動産では起算日は1月1日ですが、関西の場合は4月1日が一般的なようです。
上記のケースを関西の場合に置き換えると、買主は7月1日~翌年3月31日までの分を支払う必要があります。
2. マンションの固定資産税の計算方法
次に、マンションの固都税はどのように算出するのか見ていきましょう。
評価額によって税額は決まる
マンションの土地・家屋の固都税は、以下の式で算出することができます。
固定資産税
課税標準額×税率1.4%
都市計画税
課税標準額×税率0.3%
※税率は自治体によっては異なることがあります。上記は東京都の現在の税率です。
課税標準額は、固定資産税評価額に軽減措置を適用したものです。
軽減措置については後ほど解説します。
固定資産税評価額とは課税台帳に登録された価格のことで、「固定資産評価基準」に基づいて自治体が決定します。
固定資産税の相場や平均が知りたいという方もいらっしゃるかと思いますが、この評価額は地域や建物構造等によって大きく異なるので、一概には言えません。
土地の固定資産税評価額は、公示地価(国土交通省が公表する土地の価格)の約7割を目安に決められています。
一方家屋の固定資産税評価額は、再建築価格(まったく同じ建物を再建築するのにかかる金額)が基準になっています。
家屋の場合はこの固定資産税評価額にさらに「経年減点補正率」を適用して、課税標準額が決められます。
経年減点補正率とは、築年数を考慮して減額補正をすることです。
つまり、築年数が経過するほど家屋の固定資産税は安くなるということになります。
土地や家屋の固定資産税評価額は、毎年4~6月に自治体から送付される納税通知書に記載されています。
また、自治体の「固定資産課税台帳」を閲覧することでも確認できます。
しかし、この固定資産課税台帳は所有者本人や同居の親族、相続人の代表など限られた人しか閲覧することはできません。
マンション購入前に固定資産税評価額が知りたい場合は、不動産会社に相談してみましょう。
概算の固都税費用を教えてもらえることがあります。
なお、固定資産税評価額は、3年に1回見直されます。
軽減措置
山林などの土地であれば、固定資産税評価額は課税標準額と一致します。
しかし、マンションなどの住宅用の土地や家屋の場合は、軽減措置が適用されます。
マンションの軽減措置は、以下の表のとおりです。
固定資産税 | 都市計画税 | 新築マンション | 中古マンション | |
---|---|---|---|---|
家屋 | 120㎡相当分までを限度として、 5年間2分の1減額 (認定長期優良住宅の場合は7年間) |
減額なし | 〇 | × 新築限定 |
土地・ 小規模住宅用地※ |
評価額が1/6 | 評価額が1/3 | 〇 | 〇 |
土地・ 一般住宅用地 |
評価額が1/3 | 評価額が2/3 | 〇 | 〇 |
※一戸あたり200㎡以下の部分。200㎡を超えた分は一般住宅用地となる。
家屋については、以下の要件を満たす必要があります。
- ●3階建以上の耐火・準耐火建築物
- ●居住部分の床面積の割合が1/2以上
- ●専有部分のうち居住部分の床面積に、
廊下などの共用部分の床面積を按分して加えた
床面積の合計が50㎡以上280㎡以下
このように、新築マンションは家屋の固定資産税が大幅に減額されていることが分かります。
特に認定長期優良住宅の場合は7年間も減額されます。
ただし、申告が必要なので忘れないように注意しましょう。
参考:認定長期優良住宅にかかる固定資産税・不動産取得税が軽減されます(東京都主税局)
タワーマンションの場合は階によって税額が異なる
2017年に税制が改正され、タワーマンションは高層階であるほど固定資産税が高くなりました。
税制上のタワーマンションとは、高さ60m以上(約20階建て以上)とされています。
タワーマンションの1階を100とすると、階が上がるごとに、これに10/39(0.256)加算されます。
つまり1階上がるごとに、固定資産税は約0.25%増額となります。
改正前はタワーマンションの階数に関わらず、床面積が同じであれば固定資産税額も同じでした。
このように少し不公平感がありましたが、この改正により、タワーマンションの低層階に住む人は固定資産税額が安くなりました。
3.固定資産税額を試算してみる
ここまで、固定資産税の計算方法や軽減措置について見てきました。
それでは、実際にマンションを購入したときに固定資産税額がどれくらいになるのか、シミュレーションしてみます。
新築マンションの場合
以下の新築マンションを購入したと仮定します。
- ●専有面積70㎡
- ●土地の固定資産税評価額3,000万円
- ●家屋の固定資産税評価額1,500万円
- ●タワーマンションではない
新築マンションの場合、固都税は以下のとおりになります。
固定資産税
土地:3,000万円× 1/6 ×1.4%=70,000円
家屋:1,500万円× 1/2 ×1.4%=105,000円
固定資産税合計:175,000円
都市計画税
土地:3,000万円× 1/3 ×0.3%=30,000円
家屋:1,500万円×0.3%=45,000円
都市計画税合計:75,000円
固都税合計:250,000円
中古マンションの場合
以下の中古マンションを購入したと仮定します。
- ●専有面積70㎡
- ●築10年
- ●土地の固定資産税評価額3,000万円
- ●家屋の固定資産税評価額1,500万円
- ●タワーマンションではない
中古マンションの場合、家屋については経年減価補正率が適用されます。
築10年の減価補正率適用:1,500万円×0.7397=11,095,500円
固定資産税
土地:3000万円× 1/6 ×1.4%=70,000円
家屋:11,095,500円×1.4%=155,337円
固定資産税合計:225,337円
都市計画税
土地:3,000万円× 1/3 ×0.3%=30,000円
家屋:11,095,500円×0.3%=33,286円
都市計画税合計:63,286円
固都税合計:288,623円
中古マンションの場合は家屋の軽減措置がないため、新築に比べると高いです。
しかし、家屋は経年減価補正率が適用されるので、家屋分の固定資産税については年々安くなります。
固定資産税は毎年必ず支払う必要がある税金です。
マンションを購入する際には、家屋の軽減措置がなくなったあとの金額も意識するようにしましょう。
4.まとめ
今回の記事では、マンションの固定資産税を支払う時期や計算方法などについて解説しました。
マンションを購入するときは住宅ローンの返済額や管理費・修繕積立金だけに目が行きがちですが、固定資産税も毎年支払わなければならない税金です。
土地の固定資産税は地価に影響されるため、地価が上がれば税額も上昇します。
マンションの税金や減税については以下の記事で詳しく解説しています。
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