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住まいサーフィン編集部

住宅ローンが残っているときの住み替えはどうやるの?スムーズに売却する方法も解説!

2023年03月24日

更新日最終更新日:

住宅ローンの返済期間は長いです。
国土交通省の「令和3年度住宅市場動向調査」によると分譲マンションの平均返済期間は32年でした。

これだけ長い期間だと、何らかの事情で「返済途中だけど住み替えをしたい」と思う方も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、住宅ローン返済が残っているのに住み替えはできるのでしょうか。

今回の記事では、住宅ローンが残っているときの住み替え方法や早期売却のためのコツについて解説します。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

1998年開設、マンションの適正価格や資産価値を判断するための価格情報サイト「住まいサーフィン」が運営。
宅地建物取引士の資格試験に合格し、不動産の専門知識を持つスタッフが自宅売買に役立つ情報を発信します。
売り手と買い手の情報格差が大きい住宅業界。
自宅購入で後悔する人を減らすため、業界の専門知識・データを分かりやすくお届けします!

Twitter:@sumai_surfin

1. 住宅ローンの返済が終わってなくても住み替えできる?

結論としては、住宅ローンが残っていても住み替えをすることはできます。
ただし、どのタイミングで売却するのか、そして残った住宅ローンをどうやって返済するのか検討する必要があります。

売却には主に「売り先行」と「買い先行」があるので、それぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。

売り先行のメリット・デメリット

売り先行とは、それまで住んでいた家を売却してから、次に住む物件を購入することです。

メリット
● 資金計画が立てやすい
● 売り急ぎの心配が少ない

デメリット
● 仮住まいが必要なことがある
● (仮住まいに引っ越さないと)住みながら売却活動をする必要がある

売り先行では、売却で得た資金を住宅ローンの残額返済や新しい物件の購入費用に充てることができます。
得られる資金の目安が分かってから新しい物件を購入することになるので、資金計画が立てやすいです。

また、売却活動に期限がないので、焦らずに進めていくことができます。
売り急ぎをした結果、思っていたよりもずっと安く売ってしまったというのは自宅売却においてよくあることです。
適切な価格で早期売却するためのコツは記事の後半で解説します。

資金に余裕がない方や住宅ローンが残っている人には売り先行が向いているでしょう。
資金が少ない状況で買い先行をするという方法もできますが、その場合は二重ローンや住み替えローンを利用することになります。
どちらも審査が厳しいローンなので、通常の住宅ローンを借りるよりもハードルは高いです。

売り先行のデメリットとしては、場合によっては仮住まいが必要になる点が挙げられます。

売却してから新しい物件への入居まで期間が空いている場合、賃貸住宅などに住むことになります。
家賃や仲介手数料などの費用がかかるだけでなく、引っ越し作業や賃貸住宅へ住むための各種手続きも必要です。
その後には新しく購入した物件へ引っ越すことになるので、引っ越し費用や手続きの手間は2倍かかってしまいます。

売却と新居への入居の時期が近い場合は、マンスリーホテルやマンスリーマンションを利用するという方法もあります。
トランクルームや荷物一時預かりサービスなどを活用するのも良いでしょう。
どちらにしても、費用や手間がかかってしまうのは大きなデメリットです。

もう一つの売り先行のデメリットとして、家に住みながら売却活動をする点が挙げられます。
内覧への対応が必要になり、せっかくの休日がつぶれてしまうこともあるでしょう。

また、少しでも家を良く見せるために、内覧があるたびに片付けや整理整頓をしっかりしなければなりません。
内覧への対応に疲弊してきたら、早めに仮住まいへ引っ越すのも選択肢の一つです。

買い先行のメリット・デメリット

買い先行とは、先に次に住む家を購入してから、今まで住んでいた家を売却することです。

メリット
● 自分のペースで家を探すことができる
● 仮住まいを用意する必要がない
● 家を空けてから売却活動ができる

デメリット
● 住宅ローンが残ったままだと、二重ローンや住み替えローンを利用することになる
● 売り急ぎしてしまうリスクがある

物件によっては、販売時期が限られている場合やすぐに購入申し込みをしないと買えない場合があります。
そのため買い先行は、購入したい家がある人や自分のペースで家を探したい人に向いています。

仮住まいを用意する必要もないので、諸費用の出費を抑えられますし、引っ越しも一度だけで済みます。
どちらも買い先行の大きなメリットです。

売却活動については、住んでいた家を空けてから売りに出すことになります。
生活しているところを他人に見られたくないという方にも買い先行は向いているでしょう。
また、家が空いた状態で売却活動をするので、不動産会社に鍵を渡して見学案内を任せてしまうことも可能です。

このように買い先行にはメリットが多いです。
一方で、購入の資金をどうするのかが重要なポイントになります。
資金が十分にあるなら良いですが、問題になるのは以下の2パターンです。

  • ① 住んでいた家の住宅ローンは完済しているが、新しく家を買うための資金がない。
  • ② 住んでいた家の住宅ローンは完済していない。

①については、売却で得た資金があれば購入資金を賄える場合と、売却で得た資金があっても購入資金すべてを支払うことはできない場合の2パターンが考えられます。

前者の場合は、一時的に不足となる金額を借り入れる「つなぎ融資」を利用します。
通常の住宅ローンよりも金利が高いため、売却活動が長引くとそれだけ支払う利子も高くなってしまいます。
後者の場合は、普通の住宅ローンを借り入れます。

②については、二重ローン(ダブルローン)または住み替えローンを利用することになります。

二重ローンとは、残っている住宅ローンはそのままにして、さらに新しい住宅ローンを別途組むことです。
二重ローンは審査が厳しいので、残債の状況などによっては通らないこともあります。
売却先が決まっていれば審査が通りやすいこともあるようですが、基本的には審査に通るのは難しいと考えた方が良いでしょう。
また、審査に通っても住宅ローンを二重で支払うことになるので、毎月の返済が大変になります。
そんな状況から早く抜け出すために売り急いでしまうリスクもあります。

住み替えローンとは、残った住宅ローン返済額と新しい物件の購入額を併せて借り入れることです。
詳しくは後ほどご説明しますが、売却の期限が決まっているため、住み替えローンについても同じく売り急ぎのリスクがあります。

資金面に余裕がある方や、二重ローン・住み替えローンを利用してでもどうしても購入したい物件があるという方は、買い先行が良いでしょう。

2. 住み替えローンとは

次に、住み替えローンについて詳しく見ていきましょう。

住み替えローンとは、売却資金で住宅ローンを完済できないときに、残債と新しい物件の購入額を併せて借りられるローンのことです。
売却資金で住宅ローンを完済できる場合は、借り入れることはできません。

住宅ローン返済が残っていても、住み替えローンを利用することで、新居との二重ローンになることを避けることができます。

二重ローンは、売却活動が長引くほど毎月の負担が大きくなっていきます。
また、住宅ローン残債を考慮した上で借入可能額が決まるため、二重ローンでは希望する金額を借りられないということも。

しかし、住み替えローンは売却と購入を同時に行うことになるため、支払いは1本だけになります。
借入額は予定売却額を基に決定するため、二重ローンの場合よりも多く借りられることがあります。

住み替えローンにはデメリットもある

一方で、住み替えローンにはいくつかのデメリットがあります。

一つ目は、金利がかなり高いことです。
金利は金融機関や借入条件によって異なりますが、普通に住宅ローンを借りるよりも高くなります。

通常の住宅ローンでは、金融機関が設定した基準金利から優遇されます。
例えば三井住友銀行では、2023年3月現在の基準金利(変動金利)は年2.475%です。
しかし、WEB申込専用住宅ローンでは-2%引き下げられ、金利は0.475%になっています。
この金利は、優遇金利とも呼ばれています。

しかし、住み替えローンは優遇金利ではなく、基準金利そのままであることが多いです。
三井住友銀行の2023年3月時点の変動金利だと、金利は年2.475%となります。
金融機関によっては多少優遇されることもありますが、引き下げ幅は通常の住宅ローンに比べるとずっと小さいです。

住宅ローン残債と新居の購入費用を借り入れるため、借り入れる金額が高額になる人も多いでしょう。
二重ローンと住み替えローンのどちらが良いのかは、諸費用を含めたシミュレーションをして検討してください。

二つ目のデメリットは、購入と売却を同時に行う必要があるため、売却や新居探しに期限が設定されてしまうことです。
新居購入日の関係で急いで売却をしなければならなかったり、売却時期の関係で時間をかけて新居を探せなかったりするリスクがあります。
どのようなスケジュールにするのか、いくらで売却に出すのかなどを不動産会社や金融機関と相談しながら綿密に計画しましょう。

また、売却の流れについては、下記の記事をご覧ください。

マンション売却の流れを11ステップで詳しく解説!

2022/11/04

マンション売却で戸惑わないために、売却の流れを解説していきます。

通常の住宅ローンと違って、取り扱っている銀行は一部だけ

住み替えローンは、すべての金融機関が取り扱っているものではありません。
取り扱っている銀行の方が少ないです。

住み替えローンの取り扱いがある金融機関の例をご紹介します。

銀行名 ローンの名前 借入金額に関する備考
三井住友銀行 住み替えローン 借入金額は100万円以上1億円以内
みずほ銀行 みずほ買い替えローン 借入金額は50万円以上3億円以内
りそな銀行 りそな住みかえローン 新規住宅の担保評価額
+最高1,000万円まで
横浜銀行 住宅ローン(お住み替え) 新たな住宅の新築・購入資金
+最大2,000万円まで

上記以外にも、取り扱っている地方銀行があります。
金融機関によっては年収に制限がある場合や変動金利が無い場合があるので注意してください。

フラット35の住宅ローン「機構住みかえ支援ローン」

全期間固定金利のフラット35には、「機構住みかえ支援ローン」というものがあります。
この住宅ローンは先ほどご紹介した住み替えローンとは違います。

「機構住みかえ支援ローン」では、従前住んでいた住宅を賃貸にした上で、新たに取得する住宅のために最長35年の住宅ローン(全期間固定金利)を組むことになります。

機構住みかえ支援ローン

出典:機構住みかえ支援ローン

従前の住宅に住宅ローンが残っている場合は、借上げの可否に関する審査に通る必要があります。

機構住みかえ支援ローンの詳細については、住宅金融支援機構のHPをご確認ください。

3. 住宅ローンが残っていてもスムーズに住み替えするための方法

最後に、住宅ローンが残っていてもスムーズに住み替えをするための方法をご紹介します。

売却で大切なのは売り出し価格

住み替えには売り先行と買い先行がありますが、どちらにおいても重要なことがあります。
それは、適切な売り出し価格を設定することです。

売り先行の場合、売却が長引けば住み替えの日は遠のきます。
欲しい物件があっても、売却ができなくて逃してしまうかもしれません。
相場よりも安い金額にすれば早期売却することはできるでしょう。
しかし、せっかくなら少しでも高い価格で売りたいですよね。

また、買い先行の場合は二重ローン解消やつなぎローン返済のために、かなり安い価格で売却してしまうことが考えられます。
住み替えローンは売却と購入が同時になるので、スケジュールによっては焦って安い金額で売却してしまうかもしれません。

仲介をする不動産業者に相談をすれば、ちょうどいい価格を教えてくれるのではないか?と思う方もいらっしゃるでしょう。
確かに不動産業者は売却の専門家です。
しかし、不動産業者は仲介依頼を獲得するために、相場よりもずっと高い価格で提示してくることがあります。

高すぎる価格で売り出すと売却期間が長引き、結果的には大幅に値下げしてしまうことになります。

売却査定でマンション・一戸建ての相場価格を知る

それでは、適切な売り出し価格はどうやって知れば良いのでしょうか。

まずは売却する物件を査定して、相場価格を調べましょう。

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先ほどもご説明したように、依頼を獲得するために、査定価格を相場よりも高く提示してくることがあります。

そこで、一括査定をする前にご自身で情報収集を行いましょう。

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4.まとめ

今回の記事では、住宅ローンが残っている場合の住み替え方法や住み替えローンについて解説しました。

売り先行と買い先行、どちらにもデメリットがあります。
住宅ローン返済状況やご自身の資金事情だけでなく、いつどんな家を購入したいのかを踏まえて、早めに検討をしましょう。

※マンション以外にも各種不動産売却については不動産一括査定のすまいステップも参考にしてみてください。

また、この家が欲しいと思ったときすぐに行動できるようにするためには、周辺相場などの情報収集がポイントになってきます。

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