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住まいサーフィン編集部

[第37号]住宅ローン残高に応じて所得税などが最長10年間戻る「住宅ローン減税」:FPによる優遇措置の基礎知識

2017年09月05日

前回お話した「すまい給付金」とともに、消費税率の引き上げによる負担を軽減する目的の国の制度が「住宅ローン減税(控除)」です。

住宅ローン控除減税を賢く活用しましょう

住宅ローン金利が歴史的低金利な今、様々な制度を利用して長期的視野で返済計画を立ててください。

はじめに

前回ご紹介した「すまい給付金」とともに、消費税率の引き上げによる負担を軽減する目的の国の制度が「住宅ローン減税(控除)」です。
これは既に収めた所得税(場合によっては住民税の一部からも)が戻るもので、「住まい給付金」のように+αでもらえるのではありません。
しかし最長10年間に渡り年末のローン残高に応じた額が戻って来ますので、忘れずに申請しましょう。

質問1 戻ってくる税金は振り込まれるの?

引っ越した翌年に確定申告をすると指定した口座に振り込まれます。
そして会社員などの給与所得者であれば、次回からは会社が年末調整でやってくれ、12月のお給料に加算されて戻ってきます。
そのため年末にもう一度ボーナスをもらったように感じるかも?!

質問2 どれくらい戻ってくるの?

年末の住宅ローン残高の1%が最長10年間、最大で合計400万円(長期優良住宅などは500万円)戻ります。(消費税率が8%または10%のとき)

実際には
(1)40万円
(2)住宅ローン年末残高の1%
(3)所得税+住民税(一部)
の3つのうち、もっとも少ない額になります。
ケーススタディ1 住宅ローン減税、戻り(控除)額シミュレーション

国土交通省『すまい給付金 住宅ローン減税制度の概要』 より抜粋して引用します。

A.設定条件
家族構成:夫、妻、子ども(2歳)
収入:夫のみ675万円(課税所得 344万円)
住宅価格:5000万円
住宅ローン:4250万円 固定金利2% 元利均等35年払い
購入時期:平成26年6月(消費税率8%)
所得税額:10年間で2割年収upとして設定
B.年末に戻る(控除)額
実際の控除額
C.10年間の控除額合計
376万円

※これはシミュレーションであり、収入などの変化によって変わる場合があります。

質問3 自分たちの場合はいくら戻るか知りたいのだけど?

国土交通省『すまい給付金』HPでは「すまい給付金」と一緒に「住宅ローン減税」についてもシミュレーションできます。操作も簡単なので是非お試しください。

国土交通省『すまい給付金かんたんシミュレーション』

質問4 住宅ローンの借り入れがあれば使えるの?

いいえ、制度の適用には条件があります。
基本的に返済期間10年以上のもので公的あるいは民間の住宅ローンが対象となります。
これを利用して住宅の新築・取得又は増改築等をした場合で、

(1)自分が住む住宅で引き渡しから6ヶ月以内に住む
(2)床面積50平方メートル以上
(3)年収3000万円以下

などの条件を満たす必要がありますので、詳しくは下記HPでご確認ください。

国土交通省『住宅ローン減税』

質問5 二人で住宅ローンを借りようと考えているのだけど?

住宅ローンを二人がそれぞれ契約する「ペアローン」、あるいは二人の借り入れ割合を決めて多い方が契約者となる「連帯債務型」であれば二人とも使えます。
一方、「連帯保証型」は契約者一人しか使えないのでご注意ください。

『二人で住宅ローンを組むときはどうしたらいいの?』

質問6 手続きはどうすればいいの?

引っ越した翌年に所轄の税務署で確定申告をしてください。
申告には、住宅ローンを借り入れた金融機関から送られてくる「住宅ローン残高証明書」、法務局の「登記事項証明書」、職場の「給与等の源泉徴収票」、市区町村役場の「住民票の写し」などが必要です。
この他にも必要な書類があるので、詳しくは国税庁のHPをご覧ください。

国税庁『住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)』

なお給与所得者なら、次からは勤務先に「住宅ローン残高証明書」を提出すれば年末調整されるので確定申告しなくて済みます。手間がかかるのは最初だけなので、忘れずに手続きしてくださいね。

おわりに

今や住宅ローン金利は歴史的な低金利。しかも公的な住宅ローンと言える「住宅金融支援機構のフラット35」なら、長期間ずっと固定金利で借り入れることができます。
となると、もし可能なら、あえて多めに住宅ローンを借り、手持ち資金に余裕を持たせつつ10年間は「住宅ローン減税」を使い、その後に繰り上げ返済などを考えるという方法も考えられます。

住宅ローンを借り入れると、その金額の大きさ、返済期間の長さがとても気になります。
ましてはじめての借り入れならなおさらでしょう。
でも実際の返済において、繰り上げ返済や借り換えなどを使って返済期間を短くしたり、総済額を減らすようにしている方は多いです。
住宅ローンは借りっぱなしにせず、これらの良い制度をうまく利用しながら、長期的視野で返済計画を立ててくださいね。

(本記事は記事執筆時点の2017年5月の最新情報に基づいて執筆されています。)

Author:原 浩也(はらひろや) 先生

(CFP®(ファイナンシャル・プランナー)、基本情報技術者、宅地建物取引士,くらしとお金とパソコンのヘルプデスク『スラウギ』代表)

28年間の総合出版社勤務で情報システム、広告・販売営業、物流開発と、様々な職務を経験し5年前に早期退職。 FP資格を取得後、某大学にて中島智美さんの「マネープランニング講座」講師を務める。 また技術者として高齢者向けのスマホ、タブレット、PC講座講師をするほか、不調PC修復などの出張サポートも行っている。

同い年で共に地方出身の妻、今年社会人になった長男、大学2年の長女の4人暮らし。 結婚を機に26歳でマンション購入。長男が生まれ住み替えて現在居住中。 当コラムは、読者のみなさんがこれから経験するであろうことを、ちょっと先にやってきた私がお伝えします

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