兵庫県神戸市北区の特徴を知る
兵庫県「神戸市北区」の特徴 ― ニッポンの自治体 ―
港町“神戸”とは異なる風情のかつての別荘地、田園風景に住まう街
美しい田園風景や伝統行事、歴史ある有馬温泉など、港町とは違った一面を持つ北区は、六甲山の北側に位置しており、総面積は240.29平方キロメートルで神戸全市面積の約44%を占め、神戸市9区のなかでもっとも広い面積の行政区だ。ニュータウンなどの比較的新しい住宅地と、自然豊かな田園風景が残った農村が調和したエリアで、1973年(昭和48年)に兵庫区から分区したエリアである。
兵庫県・神戸市北区のマンション
2018年に兵庫県・神戸市北区で販売された中古マンション相場価格は840万円~3150万円である。
2019年1月現在、神戸市北区の人口は21万7833人で、総世帯数は9万7744世帯だ。
1973年の分区以降、神戸電鉄に沿ってベッドタウンとして開発が進み、人口は分区当初と比較すると現在約2倍に達している。
「関西の軽井沢」のキャッチで分譲開始、鈴蘭台駅を中心に市街化
同区鈴蘭台が行政・交通の中心部でもあり、また、繁華街でもある。1928年(昭和3年)、同区域のあった山田村で、神戸電鉄が小部駅を開業。神戸市の避暑地として「関西の軽井沢」のキャッチフレーズで分譲開始したのが始まり。
1932年、公募により「関西の軽井沢」のイメージに合う花の名をとって小部駅は「鈴蘭台駅」と改称し別荘地に適した名となったといわれる。
鈴蘭台駅周辺は、区役所などの公共・公益施設が集まる北区の玄関口でありながら、駅前広場や駅へのアクセス道路である鈴蘭台幹線が未整備だった。そこで北区の玄関口にふさわしい街づくりを目指し、2016年2月に鈴蘭台駅を含めた再開発ビル建築工事に着手し、2018年夏のビル完成、2020年3月の事業完了を目指して、工事を進められている。
旧い歴史遺産、有名な有馬温泉、灘に酒米を供給する近郊農家
神戸北区には、古い歴史を伝える名所旧跡や貴重な歴史文化財も多く残る。現存する民家で日本最古とされる箱木千年家を代表とする「茅葺(かやぶき)民家」や、この地域の文化遺産「農村歌舞伎」、国指定重要文化財「石峯寺(しゃくぶじ)」などがある。
また、全国的に知られる北区の魅力でもある、六甲山に湧き出る「有馬温泉」は、日本最古の温泉のひとつに数えられており、太閤・豊臣秀吉がよく訪れたとされる温泉だ。国内外問わず多くの観光客でにぎわう、神戸を代表する観光地でもある。
北区の農家では京阪地区に供給する「花」の栽培が盛んで、淡河町のチューリップは昭和20年代より生産がスタートし、ブランド花産地として有名だ。山田町では北区の花に指定された「菊」の出荷が盛んだ。
また、日本有数の酒蔵がならぶ“灘五郷”の酒蔵に供給するために有名な酒米「山田錦」を生産する農家も多い。山田錦は“山田穂”と呼ばれる系統をベースとして、兵庫県の試験場で育成され、1936年(昭和11年)に命名された品種だ。全国的に見ても日本酒の好適米として高く評価されている。「山田錦」の名称由来は、神戸市北区山田町藍那で栽培されていた系統米の名称で古くから栽培されていたものであるとされる。
このような観光的な資産や農業を支えているのは、山陽自動車道や阪神高速北神戸線、中国自動車道、六甲北有料道路などの主要道路で、神戸の北の玄関口としての役割も果たしている。
公開日:2020.01.06著:吉田 恒道