編集部厳選!マンション知識最前線!? 不定期
住まいサーフィン編集部

年収1000万円でのマンション購入、住宅ローンはいくら借りられる?ペアローンについても解説!

2022年10月17日

更新日最終更新日:

マンションを購入するとき、多くの人が住宅ローンを借り入れます。
年収1000万円と聞くと「比較的自由にお金が使えて、貯金もすぐに貯まりそう」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、家計に余裕があるかどうかは人それぞれです。
年収1000万円でも借入額が多ければ、マンション購入後には返済だけで精一杯になることもあります。

今回の記事では、年収1000万円でマンション購入する場合の住宅ローン借入額や注意点について解説します。

この記事を書いた人

住まいサーフィン編集部

1998年開設、マンションの適正価格や資産価値を判断するための価格情報サイト「住まいサーフィン」の運営スタッフが自宅売買に役立つ情報を更新中。
売り手と買い手の情報格差が大きい住宅業界。
自宅購入で後悔する人を減らすため、業界の専門知識・データを分かりやすくお届けします!

Twitter:@sumai_surfin
Instagram:@sumai_surfin

1. 年収1000万円の手取りはどれくらい?

年収1000万円もあると、平均年収よりもかなり高いと感じる方も多いと思います。

国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、平均給与(年間)は433万円です。

給与階級別で見ると、令和2年に1000万円を超えている人はたったの4.6%でした。
年収1000万円あれば自由に使えるお金も多いように見えますが、実際は税金や保険料などの支払いも多くなっています。

税金・保険料

年収1000万円でも、もちろん1000万円がそのまま手元に来るのではなく、その中から税金や保険料などが差し引かれます。

会社員の場合は、以下が給与等の収入から差し引かれます。

  • ● 所得税
  • ● 住民税
  • ● 社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料※)

※介護保険料は40歳以上のみ

この中でも、特に多く支払う必要があるのは所得税です。
所得税は累進課税制となっているので、所得が多い人ほど税率が上がります。

所得税の計算方法

年収1000万円だと所得税はどれくらいになるのか、計算してみましょう。
今回は独身で、扶養控除は無いケースを考えます。

  • 所得税算出までの簡単な流れ
  • ①収入から各種控除と社会保険料を差し引いて、課税される所得金額を算出
  • ②課税される所得金額に所定の税率を掛けて、最後に所定の控除額を差し引く

収入から控除するものは主に以下の2つです。
その他にも扶養控除や生命保険料控除、住宅ローン控除などがあります。
今回は以下2つの控除のみで計算をします。

  • 〇 基礎控除(48万円)
  • 〇 給与所得控除額(収入1000万円以上なら195万円)

参考:所得控除のあらまし(国税庁)

収入からは社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料)も差し引きますが、今回は社会保険料は合計120万円と仮定します。

収入から各種控除と社会保険料を差し引いて課税される所得金額が分かれば、以下の表から求めることができます。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から194万9,000円まで 5% 0円
195万円から329万9,000円まで 10% 9万7,500円
330万円から694万9,000円まで 20% 42万7,500円
695万円から899万9,000円まで 23% 63万6,000円
900万円から1,799万9,000円まで 33% 153万6,000円
1.800万円から3,999万9,000円まで 40% 279万6,000円
4,000万円 以上 45% 479万6,000円

計算すると以下のとおりになります。

  • 課税される所得金額
  • =給与収入-(基礎控除+給与所得控除+社会保険料控除)
  • =1,000万-(48万+195万+120万)
  • 637万
  • 所得税は、637万×20%-427,500=846,500円

今回のケースであれば、年間所得税は84万6,500円と算出されました。
扶養している人がいればもう少し安くなりますが、それでも少なくない金額です。

また、住民税や健康保険料についても所得が多い人ほど金額も高くなります。

最終的には、年収1000万円の人の手取りは約700~800万円と想定されます。

2. 年収1000万円だと住宅ローンはどれくらい借りられる?

次に、年収1000万円の場合は住宅ローンをどれくらい借りられるのかを見ていきましょう。

住宅ローン審査時には、「返済負担率」がチェックされます。
返済負担率とは、年収に対して年間どれくらいの割合で住宅ローン返済するかを示すものです。

住宅ローン審査で基準とされる返済負担率は、金融機関によって異なります。
例えばフラット35では、年収400万円未満の人は返済負担率30%、年収400万円以上の人は返済負担率35%とされています。

また、住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2022年4月調査)」によると、住宅購入者(住宅ローン利用者)の返済負担率は、15%超20%以内の利用割合が最も多いようです。

返済負担率の厳密な計算方法は金融機関によって異なりますが、大まかに以下の式で実際に計算してみましょう。

  • 返済負担率=年間の返済額合計÷年収(1000万)

返済率15%~35%について以下の表にまとめました。

返済負担率 年間の返済額合計 毎月の返済額 合計借入金額※
15% 150万円 12.5万円 約4,700万円
20% 200万円 16.7万円 約6,300万円
25% 250万円 20.8万円 約7,900万円
30% 300万円 25万円 約9,500万円
35% 350万円 29.2万円 約1億1,000万円

※返済期間35年・元利均等返済・金利0.6%とする

返済負担率35%まで借りられる金融機関であれば、最大借入金額は約1億1,000万円です。

また、利用割合が多い返済負担率15~20%の場合、借入金額は約4,700万円~約6,300万円となります。
6000万円台の物件なら返済負担率は20%前後なので、家計の負担はそれほど大きすぎないと言えるでしょう。

今回は変動金利と仮定しましたが、別の金利タイプであれば金利は上がるので合計借入金額は少なくなります。
金融機関のサイトでも年収や頭金の金額などを入力してシミュレーションできるので、試してみてください。

3. 世帯年収1000万、2人で住宅ローンを借りることはできる?

独立行政法人労働政策研究・研修機構の統計情報によると、2021年の男性雇用者世帯(非農林業雇用者)のうち、共働き世帯の割合は68.8%でした。

また、三井住友トラスト・資産のミライ研究所の「住まいと資産形成に関する意識と実態調査(2022年)」によると、20代の住宅ローン利用者のうち、約2割がペアローンを利用したと回答がありました。
すべての年代平均ではペアローン利用割合は9%でしたが、若い世代ほど利用割合は高いという結果でした。

マンションや一戸建てなど住宅価格の高騰は続いています。
昔の価格なら買えたのに、今は高すぎて買えないと嘆いている方も多いのではないでしょうか。
単独の住宅ローンでは希望額が借り入れられない場合でも、2人なら借入可能額を増やすことができます。
ペアローンの利用者は、今後増えていくかもしれません。

夫婦2人で住宅ローンを借り入れる方法には、ペアローン収入合算(連帯債務型または連帯保証型)があります。

ペアローン

ペアローンとは、1つの物件に対して夫婦や親子2人がそれぞれ住宅ローンを申し込みます。
借入期間や借入額などは個別に決めます。
それぞれが債務者となり、さらにそれぞれがパートナーの連帯保証人になります。

メリットは、住宅ローン控除を2人とも受けられることと、団体信用生命保険(団信)に2人とも加入できることです。

住宅ローン控除には、「借入限度額」があります。
例えば新築マンション(省エネ基準適合住宅)に2022年入居した場合は、借入限度額は4000万円になります。
住宅ローン控除額は年末残高に0.7%を掛けて算出しますが、残高が4000万円以上残っている場合は4000万円で計算されます。
借入額によっては、単独よりもペアローンの方が節税できることがあります。

ただし、ペアローンの場合は住宅ローンを2本契約することになるので、事務手数料などの諸費用も2本分かかってしまうことに注意しましょう。

また、どちらか一方が死亡したり高度障害状態になったりしても、団信により残債がなくなるのは一方のみになります。

収入合算

収入合算とは、夫婦や親子の収入を合わせて住宅ローンを組むことです。
借り入れを申し込んだ人が主債務者となり、収入を合算したパートナーが連帯保証人または連帯債務者となります。
連帯保証型と連帯債務型の違いは、住宅ローン控除適用の有無と、返済義務です。

項目 住宅ローン控除 返済義務
連帯保証型 適用されない 債務者が返済できなければ、返済義務が発生
連帯債務型 適用される 最初から2人に返済義務

連帯債務型は、要件を満たしていれば2人がそれぞれ住宅ローン控除を受けることができます。
ペアローンと違って、事務手数料等の諸費用は住宅ローン1本分だけになります。

しかし多くの金融機関では、収入合算の場合は「連帯保証型」です。
また、金融機関によっては収入合算の取り扱いがないこともあります。

パートや契約社員の場合でもペアローンや収入合算できる?

共働き世帯でも、正社員ではなくパートや契約社員として働いている場合、住宅ローンを2人で借りることはできるのでしょうか。

ペアローンについては、パート・契約社員の場合は審査に通らない可能性が高いです。
住宅ローンは高額で返済期間も長いので、長期間にわたる安定な収入の見込みがないと、金融機関としてもお金を貸すことができません。

しかし、収入合算であればパートや契約社員であっても審査が通ることがあります。
例えばイオン銀行では、正式申込日時点において6ヶ月以上勤続している場合は、パートであっても原則収入合算できるとしています。

勤続年数などの要件は金融機関によって様々です。
収入合算の審査が通らなかった場合でも、諦めずに他の金融機関に審査申請してみましょう。

4. マンション購入後、無理なく返済するための注意点

最後に、年収1000万円でマンションを購入する場合の注意点について見ていきましょう。

マンションは毎月維持費の支払いをしなければならない

マンションは毎月の住宅ローン返済だけでなく、別途管理費や修繕積立金を支払う必要があります。
金額はマンションや専有面積によって違いますが、平均としてはこのようになっています。

マンション管理費の月々の平均相場(70㎡換算)

都道府県 管理費
東京都 22,120円
神奈川県 15,698円
埼玉県 13,616円
千葉県 13,492円

(2018年以降に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)

マンションの修繕積立金の平均月額相場(70㎡)

都道府県 築1年 築5年 築10年
東京都 7,065円 8,326円 12,459円
神奈川県 6,617円 8,486円 11,750円
埼玉県 7,061円 7,576円 10,937円
千葉県 6,106円 7,329円 10,701円

(2010年以降に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)

修繕積立金については、築年を経過するごとに値上げされる傾向があるということを心づもりしておきましょう。
また、大規模修繕時に積立金が足りない場合、一時金を納めなければならないこともあります。

毎月の住宅ローン返済額と維持費の支払いで家計が圧迫されないよう、多少余裕を持った方が安心です。

将来的には各種手当の削減や増税の可能性も?

年収1000万円または世帯年収1000万円の場合でも、生活にどれだけ余裕があるかは家族構成によっても異なります。
特に子どもがいる家庭の場合は、教育費や養育費も必要になってきます。

子育て家庭への支援として国や自治体は様々な政策に取り組んでいますが、一部の手当や補助金については所得制限があります。

例えば児童手当については、2022年10月以降は「世帯主の年収1200万円程度を上回る」場合は給付されなくなります。
今回の見直しでは世帯主の年収のみを基準にしていますが、当初は世帯年収を基準に制限することが検討されていました。
現在受け取ることができている手当について、必ずしもずっと支給されるとは限りません。

また、各種税金についても将来的には増税があるかもしれません
2020年の税制改正で、年収850万円を超える人は所得税が増税されました。
このように、年収が平均よりもずっと多いからこそ、増税や手当の削減がされる際に影響を受けやすくなることがあります。

そのため、マンションなどの住宅を購入する場合は、ある程度余裕をもったマネープランを立てることが大切です。

また、マンションを購入しても、家族構成の変化や予期せぬ事情によって売却することが考えられます。

売却をする場合、住宅ローン残高は一括返済することが一般的です。
注意する点として、マンション売却代金が住宅ローン残高および売却にかかる費用を下回る場合は、自己資金を用意する必要があります。
住み替えローンを借り入れるなどの方法もありますが、できれば売却代金は住宅ローン残高や費用よりも高くなって欲しいですよね。

資産価値が高いマンションだと値下がりしづらいので、万が一のときの備えにもなります。
詳しくは以下の記事で解説しています。

資産価値の下がりにくいマンション・一戸建ての選び方!「資産価値」は何故重要なのか?

2021/8/31

「資産価値」が「将来の安心」「万が一の備え」に繋がる理由と、「資産価値」のある家を選ぶ方法を詳しく解説していきます。

5.まとめ

今回の記事では、年収1000万円でマンション購入する場合の住宅ローン借入額やペアローンについて解説しました。

年収1000万円は平均年収よりもずっと高いですが、マンション価格も高騰しているので、物件価格によっては住宅ローン返済で家計が圧迫されることがあります。
無理のない返済にならないよう、資金計画をしっかり立てましょう。

住まいサーフィンでは、マンション購入に役立つさまざまなサービスを無料で提供しています。

例えば、中古マンション購入検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?

  • ● 「スーモ等で見つけた物件が6,000万円で売出されている。この駅でこの価格少し高い気がするけど、本当に適正な価格なのだろうか?」
  • ● 「適正な価格(沖式査定額:5,400万円)が分かれば、指値(値下げ交渉)を入れて、自分の予算内である5,500万円で強気に交渉出来るのになあ。。」
  • ● 「どのサイトも適正な価格が分からないし、表示されていても、マンション単位で大雑把、お部屋毎に間取り、向き、階数を考慮されていない気がする」

住まいサーフィンの各物件詳細ページでは、お部屋毎に価格査定を行っています。

これにより、購入検討しているお部屋の「適正価格」を正確に把握することができます。

例えば、新築マンション購入検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?

  • ● 「将来値下がりしないか心配。資産性があるかどうか簡単に分かったら良いな」
  • ●「階数や間取りで価格がバラバラ。どの部屋が一番お得で割安なのか分かったら良いな」

住まいサーフィンの各物件詳細ページでは、将来の資産性が一目で判断できる「儲かる確率」を公開しています。
また、「住戸比較レポート」は住戸別の割安度がランキングで確認できるため、お得なお部屋がすぐに見つかります。

儲かる確率や住戸比較レポートは、会員であれば、無料で利用できます。

でもなぜ、住まいサーフィンに出来て、他のサイトには出来ないの?と疑問を持つかもしれません。
そこには、住まいサーフィンにしかない3つの理由があります。

住まいサーフィン独自の特徴

  • 1.広告サイトではないため、売主への忖度が不要
  • 2.サイト開設25年と老舗であるが故に、過去から蓄積されたビッグデータを保持・分析している
  • 3.不動産業者、金融機関、REITといったプロにコンサル及び情報提供している精緻なデータを活用している

しかしなぜ、こんなに有用なデータを無料で公開するの?と怪しく感じる方もいるのではないでしょうか。確かに怪しいですよね。

その理由として、住まいサーフィンを開設した代表の沖有人が掲げる理念があります。
それは不動産売買における情報の非対称性を無くすことです。

昔から、不動産業者は売り手に不利益となる情報を隠すため、騙されて損をする消費者が後を絶ちません。
そんな消費者を減らすために、住まいサーフィンで購入に役立つ情報を無料公開し、理論武装してほしいとの思いがあります。

住まいサーフィンは、購入検討する全ての消費者に情報を活用してもらうため、有料ではなく無料で情報提供を行っています。

ただし、運営にはお金がかかります。
そのため、不動産業者や金融機関等の企業にコンサル提供を行い利益を得ることで、住まいサーフィンの無償利用を実現しています。

無料会員登録するだけで、全ての情報が確認できリスクなく始められます。
退会も簡単に出来ますので、まずは気軽に登録して、マンション購入を成功させましょう!

簡単無料登録はこちらから!